早稲田は前年の秋リーグの苦い経験をいまも忘れてはいない。ホーム・早稲田大学記念会堂での開幕4連敗。しかし春リーグを5位で終え、東日本インカレではベスト4入りと「崩れないチーム」を目標に掲げ、著しく成長を遂げている。
初戦となる順大戦はこれまでのリーグ戦とは違った戦いを見せてくれた。第1セットを先取されてしまうものの、東日本インカレで活躍を見せ、リーグ戦ではスタメン入りした黒木陸(スポ2)が安定したスパイクでその後の3セットを立て続けに取り開幕勝利を飾った。さらに、続く2日目も苦手としてきた中大に対しセットカウント3−1と危なげなく勝利。リーグ戦では早稲田にとって相性の悪かった順大、中大に対してここにきてやっと勝利をあげることができたのである
その後の3・4日目、東海・筑波、2強との対戦。早稲田は胸を借りるつもりで試合に臨んだ。東海にはフルセットまで持ち込む接戦の末、惜しくも敗れてしまう。さらに筑波に対してもリーグ戦開幕以降初めて筑波から1セットを奪うもののセットカウント1−3での敗戦。2連敗となってしまったものの、この2試合を通して選手たちは東海・筑波との距離を確実に縮めることとなった。
5・6日目は調子の上がりきらない駒大、法大の両校であった。早稲田はその好調さのままに駒大にはセットカウント3−0での快勝、法政については1セットを献上するものの、低迷する法大に実力の違いを見せ付けセットカウント3−1で勝利を飾った。
しかし、7日目の国武戦がひとつの岐路となっていた。下位リーグへの可能性を残してはいるものの、勝利をあげることで東海を上回って決勝リーグを迎えることができる試合である。試合は両者の持ち味を発揮するような形でともに繋ぐバレーを展開した。しかし、フルセットの末ではあったが勢いのある国武大を振り切った早稲田が重要な一戦を制したのである。この結果によって、東海をセット率で上回った早稲田は筑波に次いで2位で上位リーグを迎えることとなった。
決勝リーグ・初戦の相手は東海。ここで早稲田は予選リーグと同じ結果で試合を終えることはなかった。この試合でキーマンとなったのがこれまで出場の機会に恵まれていなかった柴小屋康行(スポ2)である。東海に傾きかけた流れを柴小屋への選手交代が一気に引き寄せた。結果、セットカウント3−1で勝利し東海の背中を捉えた。その後、順調に国武大を3−0で制すと、最終戦・筑波と戦いを迎えた。筑波の姿は見えているものの、そこに広がる差というものをはっきりと感じさせられる試合結果となってしまった。
筑波にはストレートで負けてしまったものの、リーグ戦を19年ぶりの2位という好成績で終えた選手たちの表情は明るかった。今回のリーグ戦では選手自身が楽しむバレーを結果に繋げたことは本当に評価できることだろう。どのバレー部にも見られないこのスタイルを貫く早稲田がここにきてやっと結果を出すことができたのである。この結果を最終的に示すのは全日本インカレということになる。昨年度のベスト16という苦い思い出を払拭し、インカレで最高の成績を残し一年を締めくくってほしい。
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