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[米式蹴球部特集] 栄光への軌跡

リレー人物紹介其の弐:山下愛トレーナー


 ビッグベアーズには2種類のトレーナーがいる。主にケガをした選手のケアを行うアスレチックトレーナーとフィールドやウェイトなどのトレーニングの指導を行うストレングストレーナーだ。今回紹介する山下はビッグベアーズで初めての学生ストレングストレーナー。常に新しい道を模索し続けているひとだ。


 

山下愛ストレングストレーナー。

――ストレングストレーナーのやることについて教えて頂けますか。
 ストレングス(トレーナー)の仕事内容は、フィールドやウェイトでのトレーニングの指導です。例えばウェイトだとフォームが一番大切なので、間違ったフォームで練習しているとそれが意味のないものになってしまいます。だから選手のフォームチェックをしたり、選手の相談にのることで、より質の高い練習ができるようにしているんです。

――入部した時からストレングストレーナーを志望していたんですか。
 いや、違いますね。始めはテーピングをするアスレチックトレーナーをやろうと思っていました。もともとアメフトという競技はテーピングとトレーニングそれぞれのプロフェッショナルがいるんです。でも私たちのチームの学生トレーナーはテーピングをするアスレチックトレーナーしかいなくて、トレーニングを指導するストレングスはプロの方が週に1度いらっしゃるだけだったんです。そこで入部した時「誰もやったことのない(ストレングストレーナーの)ポジションがあるよ」って言われて、トレーニングも好きでしたしやることにしました。でもその時は、実際にどんなことをするのか想像できていませんでしたね。

――同じポジションの先輩がいないと大変ですね。
 そうですね、上がいない分自分の好きなようにはできるけれど、やっぱりいた方がいいです。1年生の時は、ウェイトのフォームを教えるにしても、知識もスキルもないので、チームの流れについていくので精一杯。プロのストレングスコーチの村上さんという方にトレーニングを教えてもらって、選手の体を実際に触って勉強をしていました。本当にきちんと仕事がちゃんと出来始めてきたのはごく最近です。今年、3年目に入って、チームのフィールドトレーニングに関しても部分的に任せられるようになって、メニューを考え始めました。


 

フィールド練習で選手に指示を出す山下。

――今もストレングストレーナーは山下さんおひとり?
 いいえ、今年になってふたり男の子が入ってきました!でも私は部内での活動の仕方やフォームも出来る限りは教えていますが、やはり村上コーチから直接習った方が良いので、今は研修に行かせてウェイトをしっかりやっているところです。今しっかりウェイトを自分自身で行うことが、2年生、3年生になって絶対に生きてくるんです。

――どういうことですか。
 結局いくら選手が理論的に(トレーニングに関して)言われたとしても、ウェイトには感覚の問題があるので、自分がつかんだ上で選手に伝えるのと伝えないのでは全く違います。それに今の段階ではメニューを自分たちで考えるというよりも、村上コーチにいただいたことをどれだけチームに反映できるのか。それが一番重要なんですよ!村上コーチがいくら良いことを考えてくれても、週に1度しか来れない。だから毎日選手と一緒にいる私たちが、どれだけきちんと浸透させられるかが大切なんです。

――なるほど。ところでトレーナーをやられている方はスポーツ科学部の方が多いですけれど、山下さんは違いますね。
 本当はスポ科に入りたかったのですけれど、落ちてしまって…(笑)。でも今は人間科学部でバイオメカニクスといって人間の動きの分析をやっています。まあウェイトだと人間の動きなので、人科で良かったなとおもいます。


 

 

――そうですね、ビッグベアーズには人間科学部のトレーナーの方が他にも何人かいらっしゃいますよね。
 そうですね、でも私のゼミにはトレーナーをやっているのが私しかいないんです。だから他の部のトレーナーとはなかなか知り合えなくて。いろんなやりとりが出来たら良いのにとは思うのですけれど。

――それでは最後に今後の目標を教えて下さい。
 いろいろとあるのですけれど…。指導スキルや知識をもっと上げること、同じポジションの後輩がさらに活躍できるようなチーム内の環境作りをすること、トレーニングメニューのスケジュールをもっと早く配ること…。でもやっぱりまずは自分が人間的にもっと成長することですね。何があってもどっしり構えて堂々としていられる人になりたいです。

 チーム初のストレングストレーナーとして、日々のトレーニングの側面から選手を支える山下。それゆえ彼女の存在は表舞台に出るポジションではない。だからこそ試合を観戦する時、どうか想像して欲しい。「前よりあの選手の動き、良くなったかも」、そう思ったら、その影には懸命にチームを支える山下の姿がみえるはずだ。

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(TEXT=近藤優美子、PHOTO=神崎風子、米式蹴球部提供)
 


 
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