来る6月29日、第56回早慶サッカー定期戦が東京・国立競技場で行われる。これまで数々の名勝負を生んだ両校の対戦。今年も双方のプライドを賭けた熱い試合が行われるにちがいない。今回は両校の戦力分析を中心に、試合を展望します。
早稲田の戦力分析
早稲田のシステムは3−4−1−2。GKは時久(スポ3)。前期リーグは負傷欠場したが、総理大臣杯で復帰し順調な回復を見せた。DFの中心は金守(社学2)。的確な判断と指示で、ピンチを救う。その脇を固めるのは共にハードマークが持ち味の岡(人4)、山口(スポ3)。プロでの出場経験もあり、新人ながら早くも存在感を示す塗師(スポ1)が控える。ボランチは、運動量豊富な金田(スポ3)と展開力が光る鈴木(スポ2)。ともに昨年からのレギュラーで連携は抜群。右サイドはアテネ五輪代表の徳永(人4)。キャプテンとして最終学年を向かえ、今年は大学でのプレーに専念。攻守ともにレベルの違いを見せ付け、今回も観客を沸かせるに違いない。左サイドは玉田(商4)。前期リーグ途中からレギュラーを獲得し、左サイドでのドリブルからクロスへの一連の動きはまさに職人技。トップ下は山本(スポ2)。1年からレギュラーを獲得していたが、その高い技術にさらに磨きをかけ、チャンスメイクだけでなくゴールも狙う。このポジションには出場は微妙だが、U−20代表の兵藤(スポ2)が控え、ワールドユースでは残念な結果に終わったが、世界で何を学んだのか、もし出場すればそれを示してくれるだろう。FWは矢島(人4)と高橋(人4)の4年生2トップ。矢島は前期リーグでは序盤怪我に苦しんだが、復帰してからは豪快なドリブル突破と正確なポストプレーを披露、勝負所での得点などエースとしての重責も果たしてきた。一方の高橋は、スピードあふれるドリブル突破と高い決定力で、常に攻撃陣を支え、今回も慶應ディフェンスを散り散りにするだろう。他にも、スタメンの可能性も高い松橋(スポ3)、昨年の定期戦でゴールを決めた島村(スポ2)、そして先日ついにデビューを飾り2試合連続得点を決めるなど早くも大物振りを発揮する渡邊(スポ1)が控える。
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慶應の戦力分析
対する慶應のシステムは3−5−2。GKは前川(4年)と山本(1年)のいずれか。山本はFC東京出身で、
高校時は東京選抜。正確なセービングで、1年生ながらレギュラー争いに食い込み、前期の早慶戦では好セーブを連発した。DFの中心はキャプテンの松井(4年)。横浜F・マリノスユース出身で、1年からレギュラーを張り、名実ともに慶應を引っ張る存在である。さらに共にFC東京出身の冨田(2年)、高橋(2年)が脇を固める。MFの中心は蒲生(3年)と斎藤(3年)の両ボランチ。横浜ユース出身の蒲生は大学2年時に関東選抜に選出され、DFもこなすなど高い守備力を誇る。斎藤は桐蔭学園出身で、前期リーグでの対戦では、先制点をアシストするなど、正確なパスでチャンスを演出する。攻撃の中心は鈴木滋(4年)。強靭なフィジカルの持ち主で、鋭い飛び出しから得点を奪う。前期リーグでは5得点をあげ得点ランク3位に輝いた。またスーパーサブとして鈴木隼(2年)が控える。
試合展開予想
慶應は前期を7位で終え、総理大臣杯予選では、1回戦で中央大に0−4で敗戦。対する早稲田は前期を首位で終え、総理大臣杯予選では決勝でシードの東京学芸大に7−0で圧勝し、7年ぶりの全国への切符をつかむなど両校の勢いの差は歴然である。しかし、この様な重要な試合ではその勢いのままに終わらないことは多い。前期リーグでの対戦で、ボールを圧倒的に支配しながら、カウンターで敗戦を喫したように、慶應は、守備を固め、カウンター狙いでくるはずである。いかに早くこれを崩し先取点を奪うかがこの試合の焦点といえる。早稲田の攻撃のポイントは2つ。今年のチームの攻撃スタイルであるサイドアタック。玉田、徳永の両サイドが個人技、連携から突破しクロスをあげる展開が増えれば、中には決定力の高い3人(4人)が揃う為、得点のチャンスは確実に巡ってくる。そしてもう1つはセットプレーである。このチームには鈴木、兵藤、徳永とプレースキッカーがそろっている。得点を奪うのはそう難しくはないだろう。この2つから先取点さえ奪えば、慶應も前へ出ざるを得なくなり、あとは早稲田のゲームになるに違いない。
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