来る6月29日、東京・国立競技場にて第57回早慶サッカー定期戦が行われる。昨年度は、1−1で迎えた後半43分、松橋優(スポ4)の劇的な決勝ゴールで終えたこの試合。今年も、また両校のプライドを賭けた熱いが行われるに違いない。今回は、両チームの戦力を分析し、試合展望を試みた。
早稲田の戦力分析
早稲田のシステムは3−4−1−2。 GKは時久(スポ4)。昨年は大学選抜として世界一を経験。DFの中心は金守(社学3)。昨季は唯一の全試合フル出場。監督の信頼も厚い。脇を固めるのは、塗師(スポ2)と中川(社学1)。塗師は昨季の新人王で、ヴェルディでJリーグにも出場するなど経験豊富。一方、中川はU―19代表に名を連ねる逸材。これに共に長身の山口(スポ4)、堀江(理工4)が控える。
ボランチは、主将の金田(スポ4)と鈴木(スポ3)。このコンビも3年目。金田は、闘志溢れるプレーでチームを牽引。鈴木は正確なロングパスで攻撃の起点となる。彼の復帰後、リーグで勝利を重ねたのは偶然ではない。控えは横山(スポ3)。長身で技術が高くCBもこなす。右サイドは松本怜(スポ1)。徳永(FC東京)の卒業後、スピーディーなドリブルで新人ながらレギュラーを奪取。左サイドは中島(社学3)。序盤、選手が次々入れ替わり、不安視されていたポジションも、彼の小気味いいドリブルで、突破口となった。ここには堅実な守備の松本征(教育2)が控える。
トップ下は、兵藤(スポ3)か山本(スポ3)のいずれか。共に“違い”を生み出せる存在。得点力にも優れ、兵藤はここまで5得点をあげている。山本が出場の場合は、兵藤はボランチが濃厚。FWは渡邉(スポ2)と松橋(スポ4)の国見コンビ。渡邉はキープ力と強烈なシュート力が持ち味。今季ゴールを量産し、真価を発揮しつつある。一方、昨年の早慶戦MVP松橋は序盤怪我で欠場。終盤に復帰も、まだ本調子ではない。回復が待たれる。
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リーグ終盤戦を三連勝で終え、チームは上り調子にある
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控えるのは、島村(スポ3)と前田(教育3)。「スーパーサブ」島村は、今年も健在。途中出場が主ながら驚異的な決定力を誇る。均衡時、勝負を決めるのはこの男かもしれない。前田は、チーム一の俊足。後半での投入は相手への脅威となる。また、強靭なフィジカルの市川(スポ1)、レフティー反町(スポ1)と、二人の1年生も出場を伺っている。
慶應の戦力分析
一方、慶應のシステムは3−6−1。GKは山本(2年)。上背はそれ程でもないが、技術は非常に高い。DFの中心は主将・蒲生(4年)。横浜ユース出身で、鋭い読みが持ち味。1年次からレギュラーで4回目の早慶戦となる。脇を冨田(3年)、浅海(2年)が固める。
MFは、守備的な役割を果たすのが田中(4年)と織茂(1年)。田中は守備的なポジションはどこでもこなすユーティリティープレーヤー。織茂はU−17代表経験を持つ注目のルーキーである。サイドは根岸と坪内(共に4年)。相手を欺くフェイントから高精度のクロスを供給し、チャンスを作り出す。攻撃的な役割を果たすのが、斎藤(4年)と巻(2年)。共に昨年からのレギュラーで、ボールテクニックに優れスルーパスを狙う。FWは大河(2年)。昨季、塗師と共にリーグ新人王に輝くなど、得点感覚に優れたストライカー。昨年の早慶戦でも同点ゴールを決めた。高校時、静岡選抜の中川(1年)が控える。
今年の実績は、早大が前期、関東1部3位。総理大臣杯出場権獲得。一方、慶大は関東2部7位、総理大臣杯は予選1回戦で敗退と、大きな差がある。しかし、昨年度の試合からもわかるように、戦前の実績は、この試合においては意味を成さない事は言うまでもない。更に昨年に比べ、徳永(FC東京)、矢島(清水)などのスペシャルな存在がいない分、選手個々の能力差は縮まった感さえある。ただ、早大は今期、1部リーグで厳しい試合を経験しており、その差がどの程度生きてくるかが鍵になりそうだ。とにかく失点しないこと、そうすれば慶應を勢いにのせることなく、試合を優位に進められるだろう。
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