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 今年の箱根駅伝。記憶にも新しいことだが、5位という好成績で5年ぶりのシード権を獲得することが出来た。監督として就任4年目の年、就任当時からどのようなチームを目指し、チームをまとめあげてきたのか、その指導法などについて語ってもらった。





 
 

――最初に監督の話が来たときのリアクションとしては?
 コーチを一年間やっていて、コーチからの昇格という形で監督になることができたのは監督をやる上でよかったと思います。早稲田の監督というのも世間からも注目されますし、優勝というのが最低条件になってきますからいきなり監督をやるよりはある程度選手達のことをわかっていたのもよかったと思います。背負うものが大きい分、やりがいももちろんあります。

――就任当時の難しさというのは?
 バトンタッチしたチームがちょうど厳しいときで1年2年というよりは長いビジョンでのチーム作りを条件としてやっていましたから。(4年目を迎えて)いまのチームは自分の中でも7割方、形になってきていると思うので、結果というものはもちろん出していかなければというのはありますね。125周年という節目の年に優勝争いするというのは就任当時から言ってますので、言ったからには結果を求めていきたいと思います。

――チームの調子も上向きつつあると思うのですが。
 野球にしてもサッカーにしても駅伝にしても、競技も違えば競っている大学の数も違うんですけど、駅伝に関して言うと各大学の力がとても拮抗しているので何処の大学が優勝候補っていうのがあんまりないんですよね。毎年毎年優勝候補が変わるレベルなので監督の采配っていうのはすごい重要ですし、優勝候補じゃないチームが優勝するってこともあるんです。だからといって言い訳が出来る年ではないですから、結果というのは自分自身に厳しく追求していきたいなと思っています。

――監督とは選手にとってどのような存在であると思いますか?
 信頼されなければならないと思っています。選手と監督の信頼関係というのは一番大事なところでそれがないとチームは強くならないと思いますね。

――その信頼関係を築くためには。
 コミュニケーションであったり一人一人との会話が大事であると思います。ただ全部が全部僕一人でできるわけじゃないですからそういう意味ではコーチをつけてなるべく選手が孤独にならないようにはしてあげたいと思っています。


 
 

――選手の成長を実感するのはどのような時でしょうか?
 陸上の場合ってタイムが縮まれば成長してるって実感するんですけど、それだけではなくて大学3年生4年生になって他の学年を引っ張っていける力を持ったときですね。ただ強いだけで許される競技でもないですし、最終学年になった時どれだけチームに貢献できて下の学年を引っ張っていけるかじゃないでしょうか。1年2年3年と階段を簡単にあがっているように思うんですけど、それがなかなか出来ない子が多いですね。力がつくのと同時に人間的にも一学年成長してもらって最後に大学四年生で一番強くあってほしいと思ってます。

――これまで成長を強く実感した選手はいますか?
 駒野(教育4)は早実の頃から山登りでやらせるって育ててきた子なので。まあ悪い子じゃないんですけど自分に甘い子で、強いんだけどただ強いだけっていう選手だったんですよ。それがキャプテンになってすごく変わりましたね。今年なんかキャプテンで山登りっていうのは彼に胸を張って任せられるようになりました。周りを見れてチームをまとめられる選手に成長しました。

――強い選手の共通点をあげるとすると。
 ある程度強い選手は宇宙人的なところがあるんで、ほんと自分勝手というかわが道を行くというタイプの人が多いと思うんですよ。かといってチームになじまないわけではないですし。僕もそうだったんですけど、ちょっと変わっていたほうがよくて、それぐらいじゃないとほんとのスーパースターにはなれないってことですね。自分の色みたいなものを持っていることが大事です。

――メンバーから外れてしまう選手がいると思うのですが、そのような選手に対してのサポートはどのように行っているのですか?
 どうしても人間駄目なとき腐りがちなんですけど、そこをなんとか勇気付けてあげようとは思ってます。前を向いて上を向いてやっていこうというのが弱いときからの僕の心情でやってきていますので、テンションが低くてチームをマイナスにしてしまう選手っていうのが僕は嫌いですね。だからこそ、駄目なときでも明るく接してほしいというのがありますね。僕が一年目の時から弱いときの雰囲気というのが僕は大嫌いで明るい雰囲気でって言うのはいつも選手には言ってましたから。それがお遊びの集まりじゃなくてやはり体育会の本当に強いチームを目指しているので、その辺を履き違えないようにはしていますけど。

――選手を起用する上での大切にしていることは。
 僕は経験は大事にしますね。高校の時の実績はあるなし別にして、大学に入ってからの実績、経験を重視したいと思っていますね。高校の時の実績を重視して使いすぎると失敗してしまう部分があるので。その辺は四年間見てきて自分も勉強になりました。

――高校と大学時点の指導に違いはありますか?
 高校の強豪校から来ている子というのはすごく管理されてきちっきちっとやっている子が多いんですよ。あと、うちは一般受験の子もいますし、一匹狼でやってきている子もいるんで一応大学に入ったら高校ほどはしないんですけど僕のやり方でそこそこ管理はしますね。でも、自分である程度できる能力を身につけていかないと将来的に社会人で続けるにしてもやめて働くにしてもその先にプラスにならないと思うので、0から10まで全部やらせることはないです。ただ、放任主義でもチームっていうのは強くならないと思うので、その間を取ってやっています。

――自分でやる力というのは。
 ある程度自分のパターンというのを決めさせて方程式でやらせるようにはしてますね。気候が変わって急に熱くなったりすると能力が高い子はそれにうまく順応して違う方程式に当てはめることが出来るんですけど、それが出来ない子は体調を崩したりして苦労しますね。やっぱり40人も選手がいれば十人十色でいろんな選手がいて4年間ただいるだけで終わってしまうということもありますから。全く無名で入ってきてメンバーに入る子もいますし。

 

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(TEXT=村山裕太、PHOTO=神崎風子)

 

 


 
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