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2008/6/22[ア式蹴球部]

「確かな手応え」。第59回早慶サッカー定期戦、2点差を跳 ね返し4-2で逆転勝利。

 
 

 6月20日、国立競技場にて第59回早慶サッカー定期戦が行わ れた。リーグ戦前期は7位と苦しい戦いが続いたが、先日の 総理大臣杯予選では2年ぶりの本選出場を決めるなど、上昇 傾向にある早稲田。対する慶應大も、例年にないほどの充 実した戦力を誇り、圧倒的な力でリーグ戦2部の首位を快走 している。両校のプライドをかけたこの一戦は今年も、訪 れた9,514人の観衆を熱狂の渦に巻き込む、見ごたえある激 しい試合となった。

 早稲田は、主将の塗師亮(スポ4)や副将の岩田啓祐(教4)な ど、スタメンには4年生が6人名を連ねた。試合は、開始直 後から激しい主導権争いが繰り広げられる。そんな中、ま ずペースを掴んだのは慶應。16分、左サイドからのCKをフ ァーサイドで12番・田中奏が頭で合わせ、早稲田は先制を 許してしまう。続く18分には、ハーフライン付近でボール を受けた6番・織茂からのロングボールが、ゴール前の巻に 通り、これを冷静に決められ0-2。慶應の勢いに押され早く も追い込まれた早稲田は20分、塗師に代え松本怜(スポ3)を 投入し状況の打開を図る。そんな中、チームの窮地を救っ たのは松本征也(スポ4)。26分、前線で相手のボールをカ ットし、そのまま相手DF3人の間を強引に突破しシュート。 普段は守備に自らの役割を見出す松本征の「良い意味で、 早慶戦の雰囲気に呑まれて決められた」というゴールで早 稲田が1点を返す。37分には、渡邉千真(スポ4)からのパス を受けた松本怜がDFライン裏に抜け出すも、ここはトラッ プが大きくなり相手キーパーがキャッチ。着実に流れを引 き寄せる早稲田は41分、カウンターからのボールを左SHの 菅田恭介(人3)が、オーバーラップしてきた中川祐平(社学3) にパス。その中川裕からの絶妙のクロスを中川翔平(スポ3) がスルーし、最後は渡邉が右足を振り抜き慶大ゴールに突 き刺してみせる。「練習通りだった」(今井監督)という、 鮮やかなサイドからの攻撃が決まり、早稲田は同点に追い 付き、2-2で前半を終える。

 後半開始から、慶大は織茂(3年)に代え得点力のある風間(1 年)を投入。一方の早稲田も、前半からの良いリズムのまま 攻撃を展開。すると59分、CKのこぼれ球を再び渡邉が押し 込み、ついに逆転に成功する。前半の2点リードから一転、 追う展開となった慶大もここから底力を発揮する。72分に は、左サイドからのクロスにDF二人に挟まれながらも11番 ・大河が頭で合わせ、主将としてチームを鼓舞すると、79 分にもFKのボールに田中奏が飛び込み決定機を迎える。し かし運も味方につけた早稲田は、慶應に得点を許さない。 追加点を狙う早大は、その後も岩田や松本怜などが積極的 にミドルシュートを放つ。諦めない慶應の後半最大のチャ ンスは85分、左サイドからのクロスに、ゴール前でフリー の28番・中町がヘディングシュート。しかしこれを、キー パー伊藤拓真(スポ4)が右手1本で止めるファインセーブ。 ここ3試合出番のなかった伊藤だが、ここ一番で会心のプレ ーを見せた。得点が奪えず次第に焦りの色を見せ始める慶 應に対し、最後まで攻めの気持ちを崩さない早稲田は88分 、菅田のゴール前へのクロスボールのこぼれ球を拾った岩 田が、自ら持ち込んで勝負を決定づける4点目のゴール。結 局、早稲田が4-2で勝利し、MVPには2得点を挙げたエース渡 邉が選ばれた。

 試合終了後今井監督が、「正直そんなに(早稲田と慶応との 力の)差は感じなかった」と話すように、どちらが勝っても おかしくないような試合だった。両チームともこの試合で 創ったチャンスの数はほぼ同じ。そんな互角の勝負を分け たのは、苦しい時期を乗り越え積み重ねてきた「経験」と 、チームとしての「意地」、そして何より絶対に負けられ ないという強い「気持」だった。序盤の2失点など課題は残 ったが、4年生を中心にチーム一丸となって掴んだこの大逆 転勝利は、非常に大きな意味を持つだろう。貴重な同点ゴ ールを演出した中川裕も、「4点とり返すことが出来て、リ ーグ戦の時よりも成長したと思う」とチームへの確かな手 応えを口にした。

 「去年のチームは上手かったと思うけど、今年は下手なチ ーム。でも、自分たちなりにやればいい」という今井監督 の言葉通り、この日の試合では、昨年までのサッカーを追 い求め過ぎるのでなく、自分たちのサッカーを体現しよう とする選手たちの姿があった。元々他のチームに引けを取 らない実力を持つ今年の早稲田。練習通りのプレーが出来 ず苦しんだリーグ戦前期で失いかけた「自信」を取り戻す 一戦になったのではないだろうか。チームは、この勢いの ままに7月6日より行われる総理大臣杯本戦で悲願のタイト ル獲得に挑む。今後のア式蹴球部の活躍から目が離せない 。

関連URL
早稲田大学ア式蹴球部公式サイト

(TEXT=岡崎聡、PHOTO=池田恩、神崎風子、EDIT=池田恩)
 


 
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