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[ア式蹴球部] 「早慶サッカー定期戦特集」

第59回早慶サッカー定期戦 試合展望


 来る6月20日(金)、聖地.国立競技場にて第59回早慶サッカ ー定期戦が行われる。昨年は両チーム相譲らぬ展開で、0-0 の引き分けに終わったこの試合。長い伝統を誇り、両チー ムにとって特別な試合である早慶戦では、今年も両雄の気 持ちがぶつかり合う熱い戦いが繰り広げられるに違いない 。そこで今回は、両校の戦力分析、試合展望をお送りしま す。


 

今季から7番を背負う岩田啓佑(教4)。
チームメイトからの 信頼も厚い副キャプテンだ。

早稲田の戦力分析
 早稲田のシステムは4-4-2。GKは伊藤(スポ4)か菅野(商2)。 伊藤は、今年J1・京都サンガF.C.の特別指定選手になるな ど、大学サッカー界を代表する守護神。一方の菅野は、安 定感のあるプレーで監督の信頼も厚くここ数試合スタメン 出場が続いている。DFは、岡根(スポ2)と小川(スポ2)の長 身二年生コンビ。技術もあり、将来性抜群の好素材だ。ま た、二人の高さはセットプレーでも大きな武器となる。そ の脇を固めるのは、ディフェンスに定評のある中川裕(社学3) と精度の高いキックが魅力の野田(スポ2)。この他に、空中 戦に絶対的な自信を持つ梅澤(教4)や今季急成長中の宮本( 一文3)らが控える。

 今年の早稲田はボランチに好選手が揃う。攻守のバランス に優れた主将の塗師(スポ4)に上手さの光る副将の岩田(教4) 。さらに、抜群のパスセンスを誇り、昨季後半はレギュラ ーとして活躍した中野遼(スポ2)と堅実な守備が売りの松本 征(スポ4)も出場の機会を窺う。 右サイドは松本怜(スポ3)。リーグ戦中盤までは怪我に苦し んだが、ここ数試合は本来のパフォーマンスを取り戻し、 スピードあるドリブルで度々チャンスを演出する。左サイ ドは最近3試合で2得点を記録している菅田(人3)。非常にガ ッツのある選手で、試合では積極的に声を出しチームを鼓 舞する。

 FWは渡邉(スポ4)と中川翔(スポ3)。06、07年と二年連続リ ーグ戦得点王の渡邉は、強さや高さ、巧さを兼ね備えたプ ロ注目のストライカー。一方の中川翔は、元々は中盤の選 手だが、今井監督にその攻撃力を買われFWとしてのポジシ ョンを確立しつつある。豊富な運動量とDFの裏を狙う動き は相手チームにとって大きな脅威となる。 控えるのは、皆川(スポ2)と小井土(教1)。皆川は、ゴール への積極性が身上のプレーヤーで、流れを変えることので きる切り札的存在だ。ジェフユナイテッド市原・千葉U-18 出身で各年代でのユース代表経験を持つ小井土は、本来のFW だけでなくMFもこなす期待のルーキー。

慶応の戦力分析
 慶応のシステムは4-5-1。GKは山本(4年)。今年度も全試合 に出場し、慶応のゴールマウスを守り続ける絶対的守護神 だ。DFの中心は経験豊富な淺海(4年)。淺海とコンビを組む のは三上(3年)。また、竹田(4年)とFC東京U-18出身の田中(1 年)の両SBは、精度の高いクロスボールでチャンスを演出す る。

 今年の慶応は、中盤にテクニックのある選手が多い。ボラ ンチには、中町(3年)と加美(2年)。中町は、昨年までJリー グ(J2、湘南ベルマーレ)でプレーし、今季から慶応ソッカ ー部に加わったという異色の経歴を持つ。その能力は折り 紙つきで、アシスト、キープ力だけでなく得点感覚にも優 れる。

 MFで攻撃的役割を果たすのが、河井(1年)、巻(4年)、中川 靖(3年)の3人。その中でも注目なのはルーキーの河井。昨 年の全国高校サッカー選手権大会で、藤枝東高校を準優勝 に導いた若き司令塔は、プレーの場を大学に移しても、リ ーグ戦前期で7得点(リーグ2位タイ)5アシスト(同1位)と、 まさにチームの核として大活躍を見せている。慶応の10番 を背負う巻は、技術もあり度々攻撃の起点となる。また、 ボランチをこなす器用さも持ち合わせる。中川靖は、今期 リーグ戦でチーム2位の5得点をあげている選手。

 FWは主将の大河(4年)。ストライカーとしての得点力は勿論 、周囲の選手を生かすプレーも出来る慶応の大黒柱的存在 だ。先日の総理大臣杯予選では、2試合連続得点をマークす るなど、好調を維持している。 その他サブには、1トップもこなせる風間(1年)や日高(1年) 、06年度の2部新人王の織茂(3年)などが控える。

 

エースの渡邉千真(スポ4)は、今年こそ待望の早慶戦初ゴー ルなるか。

試合展開予想、見どころ
   今年度の成績は、早稲田が関東1部7位(4勝6敗1分)、総理大 臣杯出場権獲得。対する慶応は関東2部首位(9勝1敗1分)、 総理大臣杯予選3回戦敗退。今年の慶大は、リーグ戦での独 走、先日の総理大臣杯予選でも1部の明治大に勝利するなど 、勢いに乗っており自信を持って早慶戦に臨んでくるだろ う。もちろん強さの理由は勢いだけではない。今年の慶応 は、昨年までの早稲田のような「パスサッカー」を持ち味 としており、サイド攻撃や中央からの崩し、ミドルシュー トなど多彩で厚みのある攻撃を仕掛けてくる。守備も2部最 少の10失点と安定している。下馬評では、慶応有利の声も 聞かれるほど今年のチームは強力で完成度が高い。対する 早稲田も、チーム状況は確実に上向いてきており良い状態 で早慶戦を迎えられるだろう。

 今回の試合でまず鍵となるのは「中盤の主導権争い」だろ う。慶応は中盤で積極的にボールを回し、リズムを作ろう としてくることが予想される。早稲田としては、素早いプ レスなどで、慶応に中盤での自由なパス回しを封じること で、相手に試合のペースを握らせないようにしたい。そし て最も大事なのは「先制点」。早稲田としてはエース渡邉 を中心に、つなぐところはつなぎ、緩急のある攻撃で何と しても先取点を奪いたい。いずれにせよ、先制したチーム が試合を有利に進められるのは間違いない。どちらが先制 するかに要注目である。

 何が起きるか分からないこの一戦、6月20日は選手たちの活 躍を観に、是非とも国立競技場に足を運んで頂きたい。

関連URL
ア式蹴球部公式ホームページ

(TEXT=岡崎聡、PHOTO=神崎風子、田辺里奈、EDIT=池田恩)
 


 
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