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  一年前の春、大いなる期待を背に早稲田大学競走部の門を叩いた選手がいた。棒高跳の笹瀬弘樹選手である。中学校から本格的に棒高跳を始めて以来、各年代で日本最高記録をマークするなど、常に世代のトップを走り続けてきた笹瀬選手。活躍の場を大学に移しても、関東インカレ優勝や日本選手権3位などの輝かしい実績がもの語る通り、その勢いはとどまることを知らない。そんな彼の目に、大学という新たな環境での1年目はどのように映ったのだろうか。そしてその先に見据えるものとは?
新2年生特集の第三回として、日本陸上界期待のボウルター笹瀬選手のインタビューをお送りします。





 
笹瀬弘樹選手プロフィール
  スポーツ科学部2年
  浜松市立高・静岡出身
  自己ベスト 棒高跳:5m41
  08年関東インカレ  優勝
08年全日本インカレ 2位
08年日本選手権 3位

――まず昨年一年を振り返ってみていかがでしたか?
 環境が変わる年ということで、うまく新しい環境に慣れていけたらと考えていたんですけど、思った以上に結果がついてきたかなという感じがします。どうしても環境の変わり目というのは崩れることが多いので、そこをうまく対処できたのは僕にとってはプラスだったかなと思います。

――昨年出場した試合の中で、特に印象的な試合はありますか?
 関東インカレも、僕の中では初めての対抗戦ということで「エンジの重み」を感じたんですけど、やっぱり一番印象に残ったのは日本選手権です。今までは学生という枠の中で一人だけ飛び抜けてやってきた部分があったので、シニアに入って一般の選手とか自分より上の存在と一緒にやれるというのがすごいワクワクして、あの試合は今でも印象に残ってます。

――昨シーズンの試合を通して感じたことや手応えは?
 高校までは少しごまかしでもやってこれたと思うんですけど、一般でやると他の選手は跳躍自体も上手くまとまっていて自分とは全く違う感じだったので、シニアから学ぶことがたくさんあって自分にはプラスになることが色々ありました。

――具体的に成長を感じた点は?
 「メンタル面」ですね。高校時代は上に立って自分のペースで悠々とやってきたんですけど、シニアに入ったことで自分よりも記録が上の選手がたくさんいて、自分のペースで出来ない中でいかに心を落ち着かせて自分のペースに引き込んでいけるかっていうことが大切になってくるので、メンタルの部分は強くなれたような気がします。

――逆に感じた課題などはありましたか?
 僕のポイントは助走が速いところなんですけど、助走の面ではある程度は出来たかなと思います。でも、空中の動作の面では課題が残った試合がいくつかあって、内容的には納得いかなかったですね。

――大学に入り、練習内容や環境にも変化はありましたか?
 僕の高校も走るメニューが多くて、ここ(早稲田)も走るメニューが主なんでそこは同じですね。あと、高校の時よりも練習量は少ないんですけど、その分質が高いので結構疲れます。でも、僕の中では走ることは好きなのでかなり楽しいです。早稲田は、他の速い選手と競えるっていうところが良いですね。

――やはり短距離でトップレベルの選手と練習できるのはプラスになることが多いですか?
 見て学ぶことが本当多いです。例えば、僕は木原(博、スポ4)さんの走りを尊敬してるんで、木原さんの走りを見てポール(棒高跳)につなげようという意識があります。色々な人たちの走りを見てるんですけど、やっぱり木原さんですね。本当に速い選手と一緒にやれるっていうのがプラスになっていると思うし、何より楽しいです。

――この一年で自分が一番変わったなと思うのはどんな点ですか?
 前向きになったことですかね。高校の時も前向きにとは思ってたんですけど、以前よりも楽観的に考えられるようになったかなと思います。今までは、試合のときに気合いの入るところと入らないところがあって崩れてたんですけど、だいぶ高校の時よりは安定してきたかなと思います。

――精神面での成長や安定が、記録の安定にもつながっているんですね。
 昨年は5m40が5回か6回だったと思うんですが、5m40で安定出来たことで「一年目でよく頑張ったね」って言ってもらえることも多いんですけど、自分からしたら日々進化していきたいんで、自己ベストが出なかったっていうのが悔しいところでもありますね。


 

笹瀬選手の武器は助走のスピード。
100mでも10秒81の俊足の持ち主。

――改めて、早稲田を選んだ理由を聞かせてください。
 僕としては、早稲田は他の大学とは一つレベルが違うような学校で、僕なんかが入っていいのかなって最初は思ったくらいなんですけど、歴代の選手の方々を見ていくと短距離の選手でも本当にいい選手がたくさんいて、憧れの場所でもありました。そこから推薦の話が来た時には本当にもう泣きそうな位嬉しかったですね。他の大学からも話は来ていたり、海外に行くようなことも考えてたんですけど、早稲田から話が来た時点で即決でした。

――早稲田は伝統のあるチームですが、その伝統を感じるのは特にどんな時ですか?
 やっぱりエンジを着ているときですね。OBの方々が見てる前で失敗は出来ないという緊張感があります。

――早稲田のいいところは?
 陸上に関して言えば、他の大学にはない練習中からの緊張感。それと、各個人が違う課題をもってやっているにも関わらず、人から教わることも多いところですね。

――大学生活の方はいかがですか?
 いやー、単位取りの方も厳しくて(苦笑)…。昨年は思い通りに授業の方を入れられなくてうまくいかなかったんですけど、まあ何とか陸上を頑張ろうと思っているので、単位は最低限しっかり取れればと。

――寮生活は?
 僕は一人でいるのも好きなんですけど、みんなでわいわいがやがやするのも好きなんで意外といいかもしれないです。始めの頃は、もう毎日合宿してるような感じでしたね。あと、一年の時は当番があったんできつかったですけど、なくなってみるとやっぱり快適です(笑)。

――趣味は?
 パソコンをいじることですかね。そんなメカニック系のことまではしないですけど、インターネットとかで色んなページを見ていって「あっ、こんなことあるんだ」って見つけたり、DVDをコピーしたりとか。あと趣味と言ったらゲームとかサッカー。サッカーはゲームでもしますし、自分自身でもサッカーします。やっぱり昔サッカーをやっていたんで、今でも忘れられないです。近くにボールがあるとずっと触ってますね。

――今後どんな大学生活を送っていきたいですか?
 文武両道を高校の時からやってきたし、勉強も競技につながってくる部分もあると思うので、勉強もしっかりやっていきたいです。まあでも、主にはスポーツ、競走部の方で頑張っていきたいなと思います。

 

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(TEXT、PHOTO=岡崎聡)

 

 


 
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