昨年からア式蹴球部の監督に就任し、今年勝負の2年目の戦いに臨んでいる今井敏明監督。試合中はベンチから大きなジェスチャーと声で指示を出す姿が印象的な熱い監督だ。昨年レギュラーとして活躍した選手に加え、新たな戦力も積極的に起用しながら戦ったリーグ戦前期の結果は5位。チームを率いる今井監督に、今回はリーグ戦前期を振り返っての感想、そして間近に迫った早慶戦についてお話を聞かせて頂きました。
――まず始めに、リーグ戦前期(5勝4敗2分の5位)を振り返ってみての率直な感想は?
第4節目の流通経済大との首位決戦(●1-3)で、立ち上がりにこっちにチャンスがあって点取れなくて結局痛い負けを喫してしまって、その後も勝ち切れなくて。あれが優勝戦線から離脱してしまうきっかけになってしまったんで、痛かったかなという気がしますね。
――開幕当初は3連勝するなどチームは好調でしたが。
内容そのものとしてはその後の勝てなかった試合でも、同じようにある程度はやれている部分はあったんだけど、失点をしなかったことがあの時期は勝ちにつながっていたんだと思います。
――その後勝てない時期(4節〜9節)が続きましたが、その要因は?
その後の国士舘(●0-1)との試合なんかもそうだけど、結局こっちがチャンス、決めるところで決められない、そこのところの「決定力」、シュートの精度とかの部分が足りなかったのかなと。
――それでも10、11節と連勝で前期を締めくくりました。
やっぱり去年のこともあるし、選手もこのままじゃいけないっていう気持ちがあったんでしょう。そういったところで多少は進歩してると思いますね。
――先日の総理大臣杯予選についての評価は?
本大会出場を逃したのは非常に痛かったなっていうのが率直なところで、あの時は前線の選手の動きが思うようにいかなかったのが勝てなかった理由かな。
――シーズンここまでの戦いを終えて、見えてきたチームの課題は?
やっぱり、ラストのフィニッシュの部分、そこのところをもっとオフェンスでもディフェンスでもこれからしっかりやっていかなくちゃいけないと思ってますね。ある程度中盤は計算できるようになってきているので、トップのところと、ディフェンスの最後の部分を突き詰めてやっていく必要があるかなと。
――前線の選手では、富山(=貴光、スポ1)選手が1年生ながら開幕から活躍していますね。
富山は2月の半ば位から合流してやってるんで、ある程度の計算は出来ていました。ただ彼の持っているポテンシャルからすれば、もっともっとパフォーマンスが良くなってもいいはずなんでね。そうすれば、当然結果もついてくると思いますよ。
――その他の1年生も数名リーグ戦出場を果たしていますが、今年の1年生はいかがですか?
今年の1年に限らず、2年も1年も良いですよ。だから、彼らがまだ順調に伸びれば上の学年にも刺激になるだろうし、今はまだ出てない選手でもそういった意味で可能性を秘めているプレイヤーが多いかなと思いますね。
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監督の話しぶりからは、チームの成長への手応えと自信が窺えた。
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――松井(=亮大、スポ2)選手や胡桃澤(=祐也、スポ3)選手など、Bチームからの新戦力の台頭も目立ちました。
松井にしても胡桃澤にしても、去年も見ていてかなり良いプレーをしてたのは分かってたから、いつ使うかっていうところだけでした。だから(試合に出るようになったのが)こういうタイミングになったっていうだけで、そういう意味じゃ「早稲田で自分がやりたい」って入ってきてる選手達を集めてやってるんで、この先もそういう選手がいつ出てきてもおかしくはないと思いますよ。
――上級生についてはいかがですか?
やっぱり去年のリーグ戦で2部に)落ちるかどうかっていう、ある種苦しい状況を通ってきているから、自分達がどういう風にしなくてはいけないかっていうのを肌で感じてきている分、そういう経験が生かされているのかなと思います。
――早稲田での監督生活も2年目に入りましたが、チーム作り、指導法などの点で昨年と変えたことはありますか?
今年は、下條(佳明、昭53年卒)ヘッドコーチが加わったんで、普段の練習、グラウンドの部分は彼に任せる比重が大きくなっているから、そういった分、逆に俺は選手をよく見て、判断できるようになったっていう部分が変わったところかな。
――今のチームに求めることは?
特別に突出したタレントがいるわけじゃないから、そういう意味で11人、もしくは交代要員、さらに言えばメンバーに入らなかった人間を含めて全員が同じような気持ちでゲームに臨んでいくっていう部分が一番重要だし、それがしっかりやれてれば、これからも勝っていけると思いますよ。
――選手を見極めるポイント、基準はどういったところに置いていますか?
やっぱり、コンスタントに全力を尽くしていけるっていう選手が一番だし、チームが勝つために自分のすべてをぶつけられる選手を俺は選びたいなと思ってやってます。
――期までに強化したい、鍛えなおしたいところは?
最後の突破するとか、逆に(突破)されちゃダメだとか、そういうギリギリのところのプレーっていうのをもっと追求して、そこで打ち勝っていく力をつけていくことですね。それはメンタル的な部分もそうだし、テクニックも含んだ戦術的な判断もそうですね。
――チームが監督の目指す形に近づけているという手応えはありますか?
形そのものには俺はあまりこだわりはないから、それよりも、選手そのもののモチベーションとか勝利に対する意欲とか、フォアザチームの精神とか、そういったことが浸透してきてるなっていう風には感じてきてますね。
――ここからは早慶戦について伺います。6月28日の早慶戦では、どんな戦いをしたいですか?
今年は慶應も強いから、なかなか簡単には勝てないだろうと思ってますけど、ただやっぱり俺はやるからには絶対に勝とうと思ってるし、そうなることを期待します。
――昨年(○4-2)、監督として立った早慶戦の舞台はいかがでしたか?
別に、どうってことはなかったかな。ただ2点先に入れられたから「おっと」と思ったけど(笑)、勝てたから良かったんじゃないですか。
――リーグ戦前期でも対戦しましたが、改めて今年の慶應の印象はいかがですか?
中盤の選手達が去年からみんなずっと一緒にやってるんで、そういった部分でのコンビネーションは非常に良いんじゃないかなとは思いますよ。ただ、リーグ戦の終盤とかこの前の総理大臣杯予選辺りをみると、ちょっとメンバーが変わった時に力が多少落ちるんじゃないかなと思ってますけどね。
――勝利へのポイントは?
やっぱりね、ちょっとしたところで気を抜かないっていうところが一番大きいんじゃないのかなと思いますよ。それと中盤での戦いで、うちがコンパクトに、アグレッシブにやれるかっていうところが大きいと思います。
――最後に、早慶戦を見に来てくれる早大生、ア式ファン
にメッセージをお願いします。
今年はちょうど60回記念大会ということもあるし、これだけ続く伝統ある試合でしっかり頑張れる今の選手を俺は育てたいと思うし、そういう選手が全力を尽くしてやる姿をぜひ見て頂きたいと思います。
就任当初から「アグレッシブさ」などのメンタルの部分の重要性を強調する今井監督。監督の考えが選手達にも着実に浸透しつつある今年、チームは苦しみながらも一歩一歩前に進んでいる。悲願のタイトル獲得に向け、まずは監督自身「負ける気がしない」という早慶戦で、ワセダの強さを見せつけてほしいところだ。チーム一丸となって勝利を目指すア式蹴球部の戦いを今後も見守って頂きたい。
関連URL
ア式蹴球部公式ホームページ
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