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[ア式蹴球部] 「2010早慶サッカー定期戦特集」

早慶戦直前!古賀聡監督インタビュー


 早慶戦直前インタビューのラストに登場して頂くのは、古賀聡(H4、教卒)監督。現役時代は早大を卒業後、鹿島アントラーズやサンフレッチェ広島などで活躍し、引退後は昨年まで鹿島アントラーズユースの監督を務めるなど指導者としてキャリアを積んでいる。そして今年度より、40歳という若さでア式蹴球部の監督に就任し母校の再建を託された古賀新監督に、前期のチームの戦いについて、そして来る早慶戦への意気込みを聞かせて頂いた。


 

古賀聡監督プロフィール
早稲田大学教育学部 平成4年卒
2008年-09年 鹿島アントラーズユース監督

――まず始めに、今シーズンのこれまでのチームを振り返ってみての率直な感想を聞かせてください。
 シーズンがスタートして、トレーニングから4年生を中心に自分達で環境を高めようというような取り組みをやってきて、どちらかというよりも指導者主導というよりも『選手主導』でトレーニングからゲームを戦ってきたというような状況なんですが、その中でスタートは良い形で切れたんですけども、リーグ戦で言えば拓大の試合(第7節、●1-2)で最後の時間帯で失点をして逆転されたというようなところで、非常にそこで難しかったのは、自分達の中で上位のチームと対戦する時はすごく挑んでいくという気持ちで臨めて良い戦いをしていたんですが、逆に(下位相手には)受けて立つというような感じにどうしてもなってしまって、その中で最後まで戦い切れなかったというようなところが課題として浮き彫りになってきています。
 ただ、拓大戦と順天堂大戦(第8節、●1-2)に関しては残念だったんですけど、それから総理大臣杯予選にかけて徐々に本来の90分最後まで挑んでいって戦い続ける姿勢が大方戻ってきているので、これからまだチームは成長過程ですし、後期に向けて戦う集団として取り組んでいきたいと思っています 。

――これまでの戦いから感じたチームへの手応えは?
 良さとしては好守においてアグレッシブにプレーを出来る時には良い戦いになると思うし、積極的に相手にプレッシャーをかけてボールを奪ってゴールに早く迫っていくっていうことができますし、攻撃においても積極的に相手の背後を突きながら、またその中で相手の変化を見てバイタルエリアを攻略したりとか、なるべく内側で受けてそこからスピードアップを図ったりだとか、積極的に、アグレッシブにいけている時には、非常に良い戦いになっていると思います。

――逆に、課題として感じた部分は?
 あまり機能しない時には、やっぱりボールを奪いに行くっていうことがおろそかになってしまって、パスや連携も曖昧になって決まらずに簡単に中盤からバイタルエリアまでボールを運ばれてしまうところは課題ではあります。

――監督就任にあたり、チーム作りにおいてまず始めに取り組んだことは?
 サッカーの面というよりも、まず早稲田、ア式蹴球部の伝統的な良さは自分達で環境を整えて作り上げて、自分達で戦って目標を達成してきたというのがこれまでの伝統なので、それをもう一度見つめ直して、受け身ではなくて自分達で全てを作り上げるんだというところから入ってきたつもりですけど。

――監督が学生だった頃と、今のア式で違いを感じる点は?
 違いはまず、技術的なレベル(笑)。格段に今の方が上がっているということと、昔よりも各個人が考えて行動できますし、よく僕らの頃よりも学生個人がしっかりしてるし、自分の頭で考えて行動できる集団になっていると思います。

――昨年までは、鹿島アントラーズユースで指揮を執られていましたが、大学生を指導するにあたって難しさを感じる点や心掛けていることは?
 それぞれ自分のサッカー観だったり自分の考えをしっかり持っている選手が多いので、そこはしっかり尊重しながら、その中でチームの幹となる部分だけをしっかりと伝えて、あとの枝葉の部分については自分達で作り上げていくというようなスタンスでやっています。その中で、やはり人数も多いので、試合に出られるのは11人ということで、サブの選手だったりBチーム、Cチームだったりという選手にもしっかりと目を向けて、コミュニケーションをとっていくことが非常に大切なことだなと考えています。


 

試合中は冷静に試合を見つめる姿が印象的。

――古賀監督自身のサッカーや考え方が浸透している感触は?
 そうですね、試合ごとにAチームならAチームの20数名が自分達で集まって、ビデオを見て自分達が感じた問題のシーンを抜き出して、自分たちで意見を出し合って修正しようという試みを毎試合やってくれているので、そういった意味で、先にこっちから働きかけるよりもまず自分達で考えて、それはそれとして次につなげて、チームとしてはチームでスタッフが感じていることを映像で指摘していくような形でやっているので、そういった「まず自分達で」というところはみんな実践してくれてると思います。

――今後、選手達に求めていきたいことは?
 日々のトレーニングを意識高く臨んでくれていると思いますし、雰囲気を良くするっていう感じはすごい強みではあるんですけど、まだまだ一人ひとりがもっと全力で取り組んだり、もっと激しく競争意識をもって臨んだり、逆に思ったことや意見を思いっきり仲間同士でぶつけ合って、よりよいものにしていくっていう意識は少し欠けてるので、そういった点も思っていることをぶつけ合ってやっていってくれたらもっとよくなっていくと思います。

――リーグ戦は混戦模様ですが、後期リーグ戦を勝ち抜くために必要なものは?
 それはもう、チーム全員で最後までトレーニングから戦い続けるっていうことが全てだと思うんで、そこがおろそかになればやっぱり結果も出てきませんし、『トレーニング=ゲーム』って当初から謳ってますんで、ゲームで結果が出ないということはトレーニングに問題があるということなので、トレーニングから部員全員が戦い抜いていくことが結果に繋がってくると考えてます。

――ここからは早慶戦についてお話を伺います。6月25日の早慶定期戦ではどのような戦いをしたいですか?
 まずは、『戦う集団としての姿』を皆さんに見て頂きたいということですね。試合は90分なので、最後までどんな勝負であれ戦い続けるという姿を見て頂きたいと思います。

――前期リーグの対戦では接戦の末敗れてしまいましたが(第2節、●0-1)、今年の慶應の印象は?
 中盤に能力の高い選手がいるので、やっぱりそこから動きがあって崩してくるチームだと思います。そこをしっかりケアして、ただ相手に合わせてケアするだけじゃなくて、自分達の戦いができれば必ず勝てると信じているので、まずは自分達が積み重ねてきたことを信じて90分最後まで戦い続けてきたいと考えています。

――監督自身、学生時代の早慶戦の思い出は?
 ほとんど勝てていないので、学生時代は当時慶應は2部だったんですけど、早慶戦に関してはなかなか勝ちきれない試合が多かったので、僕自身も今年は勝利を掴み取りたいと思っています。

――チームのここに注目してほしいというポイントは?
 ピッチの中でも色々と難しい状況が出てくると思うんですけど、その中でも自分達でピッチの中でサブの選手も含めて問題を解決するために表現しあうというか、伝えあって、自分達で考えて仲間に発信して行動に移していく、それをチームとして共有して問題を克服していくというような『自立した姿』を見て頂きたいと思っています。

――最後に、早慶戦を見に来てくれる早大生、ア式ファン にメッセージをお願いします。
 本当に部員70数名、スタッフを合わせると80数名いるんですけど、部員全員で総力を上げて最後まで戦い抜くということは誓いたいと思いますし、自分達の良さを最大限出して中身の濃い素晴らしい戦いをお見せすることを約束したいと思います。

 古賀監督の指導方針を象徴する『自主性』というキーワード。それは選手を心から信じ、尊重する気持ちの表れであり、その気持ちに呼応するように選手達もこれまで以上に精力的に日々のトレーニングに励んでいる。選手と監督の厚い信頼関係は、今年のチームの大きな強みと言えるかもしれない。
 『WASEDA The 1st』というスローガンを掲げた今年度のア式蹴球部。チームは苦しみながらも、選手、スタッフが一体となって着実に歩みを進めている。早慶戦でも、古賀監督が自信を持って送り出す選手達が、最後まで戦う姿勢を前面に出した熱いプレーで国立を沸かせてくれることだろう。


関連URL
ア式蹴球部公式ホームページ

(TEXT=岡崎聡、PHOTO=鈴木雄介、矢野真由実)
 


 
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