10月11日、大学3大駅伝開幕戦となる第22回出雲全日本大学選抜駅伝(出雲駅伝)が行われた。今年の出雲駅伝は、3連覇を狙う日大、箱根2連覇中の東洋大などを含めた22チームが、島根県の出雲大社〜出雲ドーム間の44.5qを6区間で襷をつないだ。
各校がエースや主力を欠く状況の中、ベストの布陣で優勝を狙う早稲田は、1区に昨年と同様、安定感抜群の矢澤曜(教3)を起用。エース級の選手を1区から使うことで、早めに他校を引き離したい早稲田の思惑は的中。矢澤は、序盤から山梨学院大・コスマスが作る速いペースにぴったりつき、4q付近で既に3位以下の大学を置いていく。しばらくコスマスと併走を続けた後、矢澤が仕掛けたのはラスト1q地点。一気にスパートをかけトップに躍り出ると、2位山梨学院大とは17秒差をつけての襷リレーで見事区間賞に輝いた。
トップで襷を受け渡し、波に乗りたい早稲田は、続く2区に期待のルーキー大迫傑(スポ1)を起用。序盤、大迫は堂々と余裕を持った走りで、第1中継所では17秒差だった2位との距離を28秒差まで広げていく。中盤3qを過ぎたあたりから次第にペースが落ち、2位日体大・福士に9秒差までつめられてしまったが、何とか持ちこたえ1位を死守。区間3位というまずまずの結果で大学初駅伝での大役を果たした。
各校からエース級の選手が集う3区には、1ヶ月前の日本インカレで復活の兆しを見せた八木勇樹(スポ3)が登場。前半、八木は後続との秒差を保ちつつ堅実な走りを披露。途中苦しそうな表情を見せたものの、後半の粘りで2位日体大との差をじわじわ広げていく。ラスト1qでは持ち味のスピードが光り、2位との差を28秒にまで広げトップのまま襷リレー。明治大・鎧坂などを差し置いて区間賞を獲得した。
前半の良い流れを受け継ぎ4区に登場したのは、昨年もこの区間を走り、惜しくも1秒差で区間賞を逃した佐々木寛文(スポ2)。佐々木は、序盤からスイスイと進む快調な走りで、あっという間に後続を引き離していく。第4中継所で襷を渡した時点で、2位日体大との差を46秒にまで広げる好走を見せた。更に、区間記録を39秒更新しての区間賞に輝き、昨年の悔しさを払拭する結果となった。
トップ独走の状態で5区に襷を受け取ったのは、大迫と並ぶ注目のルーキー志方文典(スポ1)。大学初駅伝ながら、終始落ち着いた走りを展開していく志方。終盤で、2位日体大・早川のペースアップにより、徐々に差を縮められていったが、ラストはペースを上げてトップ独走をキープしアンカーに襷を託した。区間5位という結果ではあったものの、昨年までの区間記録を上回るタイムでの好走となった。
全区間で最長(10.2q)の6区アンカーを務めたのは、昨年と同様に、ロードで定評のある平賀翔太(基工2)。もはや独走状態ではあったものの、平賀は守りに入ることなく攻めの走りを貫き、後続との差をぐんぐん広げていく。昨年は日大・ダニエル、東洋大・高見にかわされ悔しい思いをしたが、今年は誰にも前を譲ることなく、貫禄の区間賞で優勝のゴールテープを切った。最終的に2時間10分5秒という大会新記録(コースが変更されてからの記録)でゴールした早稲田は、1区で矢澤がトップに躍り出てから、最後まで一度も他校に抜かれることなくトップを守りきり、14年ぶりの優勝を果たした。
絶対的エースが不在のチームだからこそ、個々がしっかり走ることで優勝につなげた今大会。しばらく三大駅伝での優勝から遠ざかっていた早稲田にとって、出雲駅伝での一勝は、今後の全日本・箱根への追い風となるに違いない。ただし、今回の一勝が三大駅伝三冠に向けての序章にすぎないのも事実である。残す二戦での勝利を、『総合力の早稲田』で掴み取って欲しい。
2010年第22回出雲全日本大学選抜駅伝競走
個人記録
区間 |
氏名 |
学年 |
学部 |
出身 |
個人記録 |
区間順位 |
チーム順位 |
1区 |
矢澤 曜 |
3 |
教育 |
神奈川・多摩 |
23.07 |
1 |
1 |
2区 |
大迫傑 |
1 |
スポ科 |
東京・佐久長聖 |
16.56 |
3 |
1 |
3区 |
八木勇樹 |
3 |
スポ科 |
兵庫・西脇工 |
23.15 |
1 |
1 |
4区 |
佐々木寛文 |
2 |
スポ科 |
長野・佐久長聖 |
17.54 |
1 |
1 |
5区 |
志方文典 |
1 |
スポ科 |
兵庫・西脇工 |
18.53 |
5 |
1 |
6区 |
平賀翔太 |
2 |
基理工 |
長野・佐久長聖 |
30.00 |
1 |
1 |
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計 |
2.10.05 |
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関連URL
早稲田大学競走部公式サイト
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