10月10日、島根県出雲市を舞台に6区間44.5キロで行われる、第23回出雲全日本大学選抜駅伝競走の区間エントリーが発表された。
1区(8.0キロ)を走るのは、大迫傑(スポ2)。箱根駅伝でもスターターの責任を全うし、早稲田を優勝へと導いた立役者である。今シーズンは数々の大会で自己新記録を出し、夏にはユニバーシアードの世界舞台でも10000メートルで堂々の金メダルを掴み取った大迫。早稲田のエースとして挑む三大駅伝の初戦、対する他校の顔ぶれは、新・山の神で名を馳せる柏原(東洋大)やユニバーシアードハーフマラソンで3位と好調な早川(東海大)、さらには前月に行われた日本インカレ5000メートルで大迫に先行し、優勝をさらった駒大期待のルーキー・村山など、例年以上に各校のエース、準エース級が揃ったと言える。レースの流れを作り出す重要な区間で序盤からハイレベルな争いが予想されるが、持ち前のスピードと距離への適性を生かした積極的な走りで首位での襷リレーが期待される。
大会最短区間の2区(5.8キロ)を走るのは、矢澤曜(教4)。今シーズン自己記録の更新はならなかったものの、各大会において安定した成績を残した矢澤。前月の日本インカレを棄権したことから不安の声も上がったが、ラストイヤーに懸ける想いは人一倍強いはずである。「つなぎの区間」とも言われる2区だが、今年は明治大のエース・鎧坂や、駒大・上野らがエントリーをしており、決して気の抜けない区間となった。持ち前の堅実な走りで区間上位に食い込んでほしい。
エース区間である3区(7.9キロ)を務めるのは、早大期待のルーキー・山本修平(スポ1)。1浪を経て早稲田に入学した彼は、10000メートル28分台を持つスピードランナーである。夏の数度にわたる合宿でも1年生ながら先頭を引っ張る姿が見られ、好調ぶりをアピールした。トラックシーズンにおいても物怖じせず、積極果敢に先頭争いに加わろうとする姿勢が印象的な山本。例年ここでの区間順位が優勝を左右するが、今年の他校エントリー状況を見ると、ライバルとなりそうなのは駒大・攪上くらいか。区間賞を目指し、幸先の良い駅伝デビューをしてほしいところである。
つなぎの区間と言われる4区(6.2キロ)を走るのは、三田裕介(スポ4)。自身3年ぶりの出雲駅伝出場となった。今シーズンは大会への出場はないものの、合宿では常に先頭を走る姿からは上級生としての頼もしさが伺える。この区間には駒大随一のスピードを有する油布や箱根駅伝では区間賞を獲得した田中(東洋大)らもエントリーされており、ハイペースな戦いが予想されるが、早大長距離ブロック長の意地を見せつけて区間上位での走りを期待したい。
5区(6.4キロ)を務めるのは、前田悠貴(スポ3)。昨年の全日本大学駅伝、そして箱根駅伝ともに区間2位の活躍を見せた前田。出雲駅伝は初出場となる。今シーズンは5000メートル、10000メートル両方で自己記録を更新。特に10000メートルでは見事28分ランナーの仲間入りを果たし、チーム一の好調ぶりを発揮した。他校でも突出した選手はエントリーされていないため、この区間での前田の走り次第で優勝の可能性がさらに近づく。区間賞はもちろんのこと、後続との差を大きくつけてアンカーへとつないでほしいところである。
アンカーの6区(10.2キロ)を走るのは、平賀翔太(基理3)。3年連続の最終区起用であるため、この区間の特性や走り方はお手のものであろう。昨年の同大会では、始終坦々とペースを刻んで優勝テープに飛び込み、区間賞も併せて獲得した平賀。今シーズンは調子が良くなかったが、合宿を通して感覚が戻り、今現在も上がり調子だと言う。そんな彼を待ち受けるのは、佐久長聖時代の同期であり今は日本をも代表する選手にまで成長した東海大エースの村澤を筆頭に、駒大・窪田、東洋大・設楽(啓)ら。最終区にして最長区間のため、ここでの順位変動も十分に予想される。スピードと持久力に優れた平賀がどこまで粘れるかがポイントになるだろう。
トラック、ロード双方におけるスピード時代がますます本格化している昨今において、距離の短い出雲駅伝はまさにハイレベル、ハイスピードな戦いとなることが予想される。
加えて、優勝候補として挙げられている各校の実力が非常に拮抗していることや、エントリー状況を見ても、今年は特に前半での出遅れが致命傷へとなりかねない。終盤での逆転劇を避けるためにも5区までにしっかりと貯金を作っておくことが大事になってくるのではないか。
今年の早稲田は主将の八木勇樹(スポ4)をはじめ、佐々木寛文(スポ3)や志方文典(スポ2)が戦線から外れるなどチーム状況に不安も見られるが、今現在組めるベストな布陣で5冠中の「3冠目」を狙いに行く。
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