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 箱根駅伝直前選手インタビュー、トップバッターは井上太郎選手(人4)です。
温和な性格の中にも4年生としての強い闘志が覗いていた井上選手。今回が大学三大駅伝初のエントリーとなりました。
エントリー発表日の12月10日には人一倍強い想いを持っていたようです。その想いとは…?




 
井上太郎選手プロフィール
  人間科学部4年
 愛媛・八幡浜高校出身
 自己記録 5000m:14分36秒3
       10000m:30分41秒71
ハーフ:65分07秒  

――現在のコンデションは(取材を行ったのは12月17日)
 春はあんまり良くなかったんですけど、夏合宿を経て調子が上がってきて、この前の上尾ハーフ以降もすごい順調にここまで来てて、箱根にちょうどピークを持って行けるかな、っていう状態です。

――上尾ハーフではそれまでの自己ベストを大幅に上回る記録でした。その要因は?
 6月に教育実習に行って。地元に帰ったんですけど、地元の中学校でパワーをたくさんもらって、そこから自分の中で何かが変わったかなというのがありました。昨年よりも充実した夏合宿ができて、そのあとも上手くコンデションが合って、ハーフが走れたのかなという感じがします。

――大学最後の駅伝で初のメンバー入りを果たしました。エントリーされたときの心境は
 あの、箱根エントリーの12月10日がうちの母親の誕生日で。毎年毎年その日にエントリーが発表されるんですけど、それまではいい報告ができなくて。でも、今年はエントリーを朝練の時に聞かされたんですけど、選ばれてほっとした思いと、いい報告ができるなっていうことで。良かったです。

――お母様はなんとおっしゃっていましたか?
 報告したときに、最初「やったね」じゃなくて「信じてた」みたいなことを言われたんです。「今日の朝、夢で見たんだよね」って。「エントリーされた夢ともう一つ見て…」って言ってて。もう一つは、僕が箱根を走ってる夢を見たっていう話をしてくれて。「そうなんだ〜、頑張るよ」っていう話をして、「誕生日おめでとう」って言って。「ありがとう」って。

――走りの強みは
 やっぱりタフなところですかね。合宿とかでもきつい練習になるほど、みんなが苦しめば苦しむほど、自分はもっとテンションが上がってくるというか(笑)、そういうところがあるので。
あと、アップダウンがきついコースが箱根路は多いんですけど、そういうコースでもしっかりと走れるようなところが自分のセールスポイントかなと。なんか逆境に強いというか。自分で言うのもあれですけど、そういうところかなと思います。

――それを踏まえた上でご自身では何区に適していると
 僕の中では8区が適しているかなと思っていて。8区は15キロ過ぎくらいから遊行寺の坂っていう坂があるんですけど、そこがきついところなので。坂は得意なんですけど、5区ほどずっと登ったりするのは自分の中ではきついのかなっていうのがありますし、山の適性も強くないかなとは思うんですけど、アップダウンがあったりするコースに関しては自分の中では適性があるのかなって。

――東洋、駒澤よりも早稲田が勝っていると感じる部分は?
 やっぱり人間力だと思うんです。渡辺(康幸=平8人卒)監督が穏やかな方なので、その監督の下でやってる僕たちにもそういうのって伝染してきて。なんていうか、きつい時でもポジティブに色々考えられたりできるところがすごくいいところなのかなと思いますね。
あとは、スポーツ科学部であったり人間科学部であったりスポーツ系の学部で色々勉強してきたことを自分たちの中で還元できていると思っているので、そういうところもいいところだし、練習環境もちょっと都心から離れてやっているところも強みかなと。

――今年は4年生の個性が強いと伺いました。
 そうですね(笑)。特に僕たちの学年は、高校の時にランキング1・2・3とか矢澤(曜=教4)であるとか、注目された奴らが入ってきて、その中で一緒にやってくる途中で色々とぶつかりあうこともあったりして。なんですかね…、僕らの学年がそういった意味では一番ぶつかってきたのかなっていうところも感じるし。
でもその中で分かり合える部分も生まれてきたり、そこから団結したりっていうのもあって。「上級生にも下級生にも絶対に負けない」みたいな気持ちは僕たちの学年が一番強いので、そういった部分で僕たちの学年の個性が強いって見られているのかな、と。

――では、勝つためにチームに求められていることは。現状を踏まえた上での課題はありますか?
 それは昨年度の箱根を見てもらえれば分かると思うんですけど、やっぱり早稲田は4年生が走らないと勝てないと思っていて。出雲も全日本も矢澤とか三田(裕介=スポ4)が頑張ってはくれてたんですけど、それが箱根になると、距離も20キロになりますし、ますます4年生の4年間積み上げてきたパワーが、チームを引っ張る原動力になると思うので。4年として「自分たちがチームを引っ張っていくんだ」っていう気持ちをもっと出していかないといけないかなと思います。そうしたら自ずと総合優勝も見えてくるかなと。

――昨年度の4年生で特に印象に残っている方は
 僕の中では全員。全員すごいと思うんですけど、特に猪俣(英希=平23スポ卒)さんは同部屋で。すごくストイックにやられていて、自分にも他人にも厳しい方で。結構自分も色々と言われましたし、今まで怪我がちで腐ってる時期が多かったんですけど、そういう時にも喝を入れてもらったりして。そのときは「なにくそ」とか思いましたけど、今思えばすごいありがたかったなと思いますし。
高野(寛基=平23スポ卒)さんとも結構交流があって、ご飯とか連れてってもらったり、すごく温厚な方で。北爪(貴志=平23スポ卒)さんとも1、2年と一緒の部屋ですごく面倒見のいい方で、走るときはきちっと走りますし。
中島さん(賢士=平23スポ卒)にしても、途中からキャプテンとしてチームを引っ張っていただいて、チームのみんなに気を配れるキャプテンで、走りの点でも4年生としてしっかりと示されていたんで。どの人がっていうのは言えないですけど、ほんとみんなですね。もう憧れです。

――箱根に勝つためのポイントとは
 あの…、僕が復路走りたいって言ってるのに、こう言っちゃなんなんですけど、駅伝っていうのは流れが大切だと思ってて。往路で流れを作れないと厳しい戦いになると思うんで、往路でいかにいい順位で走れるか。あとは復路でやっぱり4年生が多く出ると思うんですけど、そこでしっかり差を縮めるっていうか、逆転するなり引き離すなりという走りをする。そこが勝つポイントかなとは思うんですけど。
今、大迫(傑=スポ2)とかがエース格には育ってますけど、やっぱり「全員がエース」という気持ちで僕たちはやっているので。重要じゃない区間は無いと思っていますので、一人一人がその区間で役割を果たせれば総合優勝できると思っています。

――それを踏まえた上で、井上選手の役割とは
 自分のセールスポイントがさっきも言った通りタフさなので、他チームが苦しんでいるときにいかに差を広げられるかっていうところが大事かなっていうのと、とりわけスピードがあるわけではないんですけど、チームに勢いをもたらす走りっていうのは自分自身でできると思っていて。気迫溢れる走りであったりそういうものを見せていけたらな、と思います。

――最後に箱根駅伝への意気込みを。
 今年、二つ落としてますけど、「最後は絶対に勝つ」って気持ちでみんなやっていますし、自分もその気持ちでやっているので、必ず総合優勝して笑って卒業したいと思います。

(TEXT、PHOTO=矢野真由実)
 


 
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