4月21日、季節外れの寒空の下で第82回早慶レガッタが開催された。早慶レガッタは数ある体育会のうち、最初の早慶戦であるため注目度も高い。この日も11000人もの人が詰めかけてその声援が飛び交うのに対して、朝から嵐のような雨と風が選手や観客に吹き付ける最悪のコンディションとなってしまった。しかし、この寒さに負けない「熱い闘志みなぎる早慶同士の白熱した戦い」が繰り広げられ、観るものすべてを魅了する結果となった。
今年の早稲田の目標は、もちろん男女ともに勝利、3連勝である。その目標を達成するべくまず先陣を切る種目となったのが女子舵手付クォドルプル。前人未到の23連覇を昨年に成し遂げており、やはり今年も向かうところ敵なしといった選手の能力の高さを見せつけた。スタート直後から最高のスタートを切って波に乗った早稲田はどんどんスピードが増して慶応を引き離していく。安定の漕ぎは顕在で、あっという間にゴールしたと思えば艇差は判定できないほど。公式記録表には「大差」の文字が躍った。タイムは4分02秒57、貫録のレースだった。
続いて行われたのが第二エイト。4季連続で負けているレースであるが、今日は序盤からほとんど差のない拮抗した争いに。今年から750m延長されて3750mとなった長丁場の中で抜きつ抜かれつの展開を見せる。しかし、徐々に慶応に差を広げられて一時は2艇身差になってしまう。このまま行ってしまうのかと思われた矢先、今日のクルーたちは一味違った。ラスト1000m付近吾妻橋から怒涛の追い上げで桜橋に差し掛かったころに追いつくとそこから一気にラストスパート。ほぼ並んでゴールをしたように思われたが、結果は1/3艇身差、1秒という僅差をもってして逆転勝利。タイムは13分32秒45でまさに絵に描いたような激戦をものにした。
そして、今大会の最後を飾る対校エイトはこれらの結果から3連勝という大きな期待のかかるレースに。この時対校エイトに合わせたかのように雨風が止み、すべてが今か今かと一戦を待つ状態となった。そんなプレッシャーをもってしても早稲田クルーは「ウォーミングアップでいいものができているからレースで表現しよう」(新藤耕平主将・スポ4)といつも通り漕ぐことを意識していたためか、レース前の士気を高める円陣では時折笑顔が見受けられていた。いよいよ15時30分、波の様子を見てスタート。両校いいスタートを切るもゴールへ近づくたびに慶応に大きなリードを広げられてしまう。レース前に「きつい時こそ仲間を信頼する」(新藤)と語っていたように一生懸命漕ぎ進めるもののいっこうに差が縮まらずそのままゴール。今年は2連敗どころか7艇身差をつけられる完敗に「単純に弱いから負けてしまった」(新藤)と言葉少なだった。タイムは14分17秒37だった。これからの早稲田の課題は気持ちの作り方ももちろんだが、根本的な実力の向上が求められるようだ。
明暗分かれる結果となった今年の早慶レガッタ。たくさんのドラマがあったが、特にエイトは良くも悪くも反省点が多く残るレースとなったに違いない。今後もインカレを含むたくさんのレースが控えている。一瞬にして釘づけにさせる早稲田のクルーたちが、今回の経験をばねにさらなる躍進してくれることを願う。
関連URL
早稲田大学漕艇部公式サイト
早慶レガッタ公式サイト
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