第45回全日本大学駅伝対校選手権大会の区間エントリーが前日の今日、発表された。愛知県名古屋市の熱田神社西門前〜三重県伊勢市の伊勢神宮内宮宇治橋前、全8区間106.8キロ、26チームで争われる今大会。今年で7大会連続の本選出場となった早稲田の命運を握る選手は―。
レースの流れを左右する1区(14.6キロ)には先月の出雲駅伝と同様、柳利幸(教2)が抜擢された。出雲では序盤積極的に前で走り、一時は先頭集団で他校と争う姿勢を見せた柳。その攻める姿勢とこれまでの実績をもっての選出だろう。柳の脅威となるのは、出雲で1区区間賞の中村匠吾(駒沢大)、設楽悠太(東洋大)、市田孝(大東大)あたりか。どの大学もエース級の選手を配置しており、最後まで目が離せない混戦模様となるのは間違いない。
エース区間2区(13.2キロ)には日本学生長距離のエース、大迫傑(スポ4)が起用された。4年連続2区での出走となる。日本選手権10000m2位、今年は世界選手権に出場するなど多岐にわたるトラックでの活躍を見せる。今回はロードだが、海からの風がなければ比較的走りやすいコース。類まれなるスピードを生かし、前半の攻め・後半の粘りを繰り広げたい。西池和人(法大)、八木沢元樹(明大)など名を連ねるものの、エースの意地で大迫にはぜひとも区間賞を狙ってほしい。
3区(9.5キロ)は期待のルーキー平和真(スポ1)。今大会の最短区間でスピードランナーが集う中、三大駅伝初出場となる。先月20日に行われた記録会で10000mの自己ベスト29分11秒47をたたき出し、調子は良好。高校時代からロードに強かった平は「区間賞でチームに貢献したい」と意気込む。3区の最後の上りさえうまく攻略できれば夢ではない。
前半戦最終区4区(14.0キロ)には山本修平(スポ3)がエントリー。シーズン前半の不調をものともせず、駅伝に照準を合わせるかのように全カレ、出雲と着実に調子を上げてきている。服部翔大(日体大)、村山謙太(駒沢大)らの存在が山本を脅かすことになるだろう。前半最後の山本で優位に立てれば、流れが大事な駅伝の上位入賞も現実味を帯びてくる。
ここまでの前半は小刻みなアップダウンが多く、いかにコースを把握してレースを組み立てられるかがカギになるであろう。続いて、繋ぎの区間と称される5区、6区、7区にも早稲田の層の厚さを象徴する、有力なランナーが名を連ねる。
5区(11.6キロ)には武田凜太郎(スポ1)がエントリー。大学に入って5000m、10000mのベストを更新し、先月の出雲では三大駅伝の初出場を果たすなど大きな成長を遂げている選手だ。ウィルウィン事前対談で「ロードが得意で、今から楽しみ」と語った武田の言葉には自信がみなぎっている。
6区(12.3キロ)には高田康暉(スポ2)。2年生ながらチームの中核を担う高田は前回5区を走り終わって「すごく悔しい」と順位を落とした反省を口にする姿が印象的だった。それを踏まえた走りはいかに。山男として箱根で注目された関口頌悟(法大)も登場する。選手が通るのは正午ごろ。上昇する気温との戦いになりやすいため、細心の注意をしたい。
7区(11.9キロ)は大学駅伝デビューとなる井戸浩貴(商1)。夏合宿から着実に力をつけてきた注目株だ。先月20日の記録会では10000m29分30秒を切ってきた。アンカーにつなぐ大事な区間だけにプレッシャーも大きいが、エンジの力を見せつけてくれるはずだ。 レースを飾る最終区8区(19.7キロ)には田中鴻佑(法4)。距離が延びれば伸びるだけ強い田中は、最長距離の8区にも十分対応できる。アンカー勝負の鍵を握るのが伊勢神宮手前のだらだらとした上り坂。ここまでにどれだけ体力を温存できるかがポイントだ。他校には設楽啓太(東洋大)、オムワンバ(山学大)、矢野(日体大)ら実力のある顔が揃うが、チームの砦として乗り切ってほしい。
先日行われた出雲駅伝では、序盤につまずくも、チームの総合力で4位という結果を収めた早稲田。全日本では、総距離も格段に伸び、各校ほぼベストメンバーを揃えてくるだけにさらなる激戦が予想される。だからこそ今年で2連続3位と安定の実績を誇る早稲田だが、油断してはならない。東洋大と駒沢大の2強と言われる今年、それをくつがえすような走りを伊勢路で表現してほしいところ。「挑戦者」として戦う大迫をはじめとした選手達の奮起に期待しよう。
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