11月3日、愛知県名古屋市熱田神宮西門前〜三重県伊勢市市背神宮内宮宇治橋前にて8区間106.8キロで争われる第45回全日本大学駅伝対校選手権が開催された。
先月の出雲駅伝では4位だった早稲田。最低でもひとつでも上の順位をと臨んだ今大会であったが、またしても4位という結果に終わった。優勝は駒澤大学で、全日本3連覇を達成した。
ハイペースでのスタートとなった。号砲とともにカリウキ(第一工大)、中村(駒大)、設楽悠(東洋)が引っ張り、集団は最初から縦長に。早稲田の1区柳利幸(教2)は6、7番手を走行していたが、先頭は区間新ペース。集団はいくつかのグル―プにわかれ、柳は第2集団につけた。しかし10キロを過ぎたあたりから、柳は徐々に苦しい走りに。顔を歪め、足をもつれさせながらもなんとか襷を繋いだ。トップと2分41秒差、15位での襷リレーとなった。
2区は4年連続、エース大迫傑(スポ4)。柳から襷を受け取ると、1キロを2分52秒と落ち着いた入り。後方から来た西池(法政)が大迫にぴったりとつき、2人で前を追う格好となった。次々に前をいくチームを拾っていくと、ラスト1キロでスパート。最後は西池をも20秒ほど引き離した。大迫は6人抜きの力走でトップとの差を1分54秒まで縮めた。38分08秒で井上(山学大)、山中(日体大)と同タイムの区間賞。第88回箱根駅伝1区以来の区間賞獲得となった。
3区は大学駅伝デビューとなった平和真(スポ1)。大舞台の経験は豊富なルーキー、「攻めの走りがしたい」と語っていた。その言葉通り積極的に前を追い、順位をひとつあげ8位での襷リレー。さらに前の見える好位置で山本に託した。「走るからには区間賞を狙いたい」と言っていただけに、区間7位には悔しさも残るかもしれない。この経験を糧に更なる成長を期待したい。
4区は2年連続となる山本修平(スポ3)。同じ愛知県出身の平から襷を受け取ると、積極的に前を追った。8キロ手前で6位争いをしていた明治と山学大に追いつき集団を形成。そこから明治がこぼれると、5番手を走る大東大も見えてくる。最後には山学大も離し、単独6位で5区武田に襷を繋いだ。出雲後には「自分たち上級生がしっかりしないといけない」と厳しい言葉が出ていた山本。区間3位は本人には物足りないかも知れないが、見事な追い上げでチームをシード圏内まで押し上げ、後半への流れを作った。
5区は先月の出雲駅伝で大学駅伝デビューをはたした武田凜太郎(スポ1)。山本が作った流れをそのまま引き継ぐように、軽快な走りで前との差を詰めていく。「5区か6区を走ると思って準備している。目標は区間賞、最低でも区間上位の走りを」との意気込み通り、区間4位の快走で2チームを抜いて4位で中継所へ。出雲駅伝に続き、得意のロードでしっかり役割を果たした。
6区は高田康暉(スポ2)。昨年は悔しさを残した全日本だったが、今大会は直前に10000mの自己ベストをマークするなど好調で迎えた。高田は落ち着いた入りで、7.5キロ付近では後ろから追ってきた明治との4位争い。しかし高田の表情には余裕があり、1キロほど並走したのち一気に仕掛け明治を引き離した。スパートの直前には渡辺駅伝監督からの檄も飛んだ。高田はそのまま後続との差を引き離し、区間3位となる走りで6区を終えた。
7区は井戸浩貴(商1)。井戸もまた10000mのベストを更新するなど調子をあげている選手。大舞台の経験は無いが、井戸は淡々と落ち着いた走りを見せる。木村(明治)が区間賞ペースで追い上げて来るが、焦ることなく並走し前を追った。最後まで粘った井戸は中継所前で維持を見せ、明治より1秒早く襷リレー。40秒以上あった3位日体大との差を17秒までつめる、区間3位の好走。シードを決定づける素晴らしい走りだった。
アンカー8区には田中鴻佑(法4)。最長区間で他大のエースも多く集う8区を任された4年生田中。明治と並んでスタートすると、早めのペースで日体大に追いつき3位集団を形成する。集団はほどなくばらけ、明治には離されてしまうものの、日体大を引き離し12キロ付近では完全に単独走となった。さらに後ろからはオムワンバ(山学大)が徐々に迫っており、気の抜けない状況ではあったが、田中もしっかりとリズムを刻む。ゴール地点では駒大が5時間13分09秒で優勝のテープを切り、その約6分後。5時間19分22秒の記録で、田中が4位を保ってゴールした。
出雲駅伝に引き続き、4位という結果に終わった全日本大学駅伝。「3大駅伝のうちひとつは獲りたい」との目標も、残すは箱根のみとなった。しかし全日本では4位という結果こそ同じだが、内容において異なる点もあげられる。
出雲では、優勝した駒沢大学に区間記録においてもひとつも及ばなかった。東洋大学に対しても上回ったのは1区間だけと、まさに完敗だ。しかし今回の全日本では2区で駒澤を上回り、東洋には2区と4区で勝ち7区でも同タイムと、差は縮まっていると言える。
また懸念されていた層の薄さだが、今回1年生の井戸が区間3位の好走を見せるなど明るい兆しも見える。また一人が崩れても悪い流れにならず、全員で立て直していける強さは証明された。まだまだ課題はあるだろうが、「距離が伸びるほど早稲田は有利」という渡辺駅伝監督の言葉もあるように、箱根にむけて期待の高まる全日本となった。
2013年第45回全日本大学駅伝対校選手権大会
区間 |
氏名 |
学年 |
学部 |
出身 |
個人記録 |
区間順位 |
チーム順位 |
1区 |
柳 利幸 |
2 |
教育 |
埼玉・早大本庄 |
45.19 |
15 |
15 |
2区 |
大迫傑 |
4 |
スポ科 |
東京・佐久長聖 |
38.08 |
1 |
9 |
3区 |
平和真 |
1 |
スポ科 |
|
28.06 |
7 |
8 |
4区 |
山本修平 |
3 |
スポ科 |
愛知・時習館 |
41.05 |
3 |
6 |
5区 |
武田凜太郎 |
1 |
スポ科 |
|
34.56 |
4 |
4 |
6区 |
高田康暉 |
2 |
スポ科 |
鹿児島・鹿児島実業 |
36.27 |
3 |
4 |
7区 |
井戸浩貴 |
1 |
商 |
兵庫・龍野 |
35.55 |
3 |
4 |
8区 |
田中鴻佑 |
4 |
法 |
京都・洛南 |
59.26 |
6 |
4 |
|
|
|
|
計 |
5.19.22 |
|
4 |
関連URL
早稲田大学競走部公式サイト
|