これまで91回の激闘を生み出してきた箱根駅伝。今年度101周年を迎えた早稲田大学競走部は、第1回大会から箱根駅伝への出場を果たしています。1920年開催の第1回大会は全4校中3位。初優勝はその2年後、第3回大会でした。それから不出場は7回のみ。84回の出場は、中央大学(89回)、日本大学(85回)に次いで3番目に多い数となっています。箱根駅伝95年の歴史の中で、数々の名勝負を演じてきた早稲田大学。皆様の記憶に残る名場面は何でしょうか?読者の方々から頂いた声をもとに、早稲田大学名場面集と題して振り返りたいと思います。
●1区4年連続区間新
第67回〜第70回大会の1区は早稲田大学が4年連続区間記録を更新しました。第67回大会では当時1年生だった武井隆次選手が8年ぶりに1区区間新記録を樹立。翌年も自身も記録をさらに更新しました。第69回大会では櫛部静二選手が従来の記録を1分13秒縮める1時間2分9秒をマーク。第70回大会では渡辺康幸選手がさらに56秒更新し、この1時間1分13秒は現在でも歴代2位の記録です。
●第71回大会 3区間連続区間新
第71回大会では、2区渡辺康幸選手―3区小林正幹選手―4区小林雅幸選手が3区間連続で区間新記録を樹立しました。この年は往路優勝を果たすも、復路で山梨学院とデットヒート、全4度の首位交代のすえ破れ、惜しくも総合優勝は逃しました。
ちなみに1大会での連続区間新の最多は4区間で、第3回大会に5区〜8区で早稲田大学が記録しています。
さらに70回大会の1区(渡辺康幸)、72回大会の5区(小林雅幸)、69回大会の7区(武井隆次)、59回大会の9区(坂口泰)、60回大会の10区(遠藤司)を合わせて、72回大会終了時には実に10区中8区の区間記録を早稲田大学が所持していました。
●第84回大会 復活の2位
第79回大会の15位から4年連続で11位以下と低迷していた早稲田大学ですが、第83回大会では2区区間賞の竹澤健介選手の活躍もあり6位。そして第84回大会では竹澤選手が3区区間賞の走りでチームを5位まで押し上げると、5区駒野亮太選手が「山の神」と呼ばれた順大今井正人選手の区間記録まで7秒と迫る好走でトップに立ち、見事往路優勝。復路も6区加藤創大選手の区間賞などで8区まではトップをキープ。惜しくも9区で駒澤大学に首位逆転を許しましたが、早稲田復活を強く印象付ける堂々の2位でした。
●大学駅伝三冠達成
早稲田大学名場面として最も票を集めたのは、まだ記憶に新しい第87回大会。早稲田大学は18年ぶりの箱根駅伝総合優勝を果たしました。総合記録は当時のコースで初めて11時間を切る10 時間59分51秒。しかしこの大会、早稲田の区間賞は1区大迫傑選手のみでした。それでもチーム順位を常に2位以内に保っての優勝は、まさに全員駅伝で勝ち取った勝利と言えるでしょう。特に箱根山中の下りで転倒しながらも区間2位の力走を見せた高野寛基選手や、「2代目山の神」東洋大柏原竜二選手に食らいついた猪俣英希選手、復路で東洋大の猛追を振り切った北爪貴志選手に主将中島賢士選手といった4年生の活躍が多く挙げられました。
さらにこの2010年度は出雲駅伝、全日本大学駅伝も制しており、大学駅伝三冠を達成しました。これは10年ぶり史上3校目の快挙でした。
他にも、2区櫛部静二選手が体調不良によりふらふらになりながら3区花田勝彦選手に襷渡しした第67回大会や、78回大会での原田正彦選手、森村哲選手、空山隆児選手、桜井勇樹選手の4人の区間賞、世代の2大エースだった竹澤健介選手と東海大の佐藤悠基選手の対決が実現した85回大会の3区、前主将山本修平選手の山登りなど、たくさんの名場面を挙げていただきました。
いよいよ明日に迫った第92回箱根駅伝。今年はどんな名場面が見られるでしょうか。積み上げてきた選手・スタッフ全員の努力が実を結びますように。1月3日、大手町でエンジ色が舞う姿に期待しましょう!
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