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2015/11/01[競走部]

早稲田は4位 東洋大学悲願の初優勝
第47回全日本大学駅伝対校選手権大会 レポート

 11月1日、愛知県名古屋市熱田神宮西門前〜三重県伊勢市市背神宮内宮宇治橋前にて8区間106.8キロで争われる第47回全日本大学駅伝対校選手権が開催された。史上初の5連覇へ挑む駒沢と、出雲駅伝優勝を果たし、三冠へ向けて乗りに乗っている青学の対決が注目された。しかし、結果は波乱の展開となった。


 

 1区を走るのは中村信一郎(スポ4)。出雲後に「4年生は本気だから」と涙を流し、自らもチームも鼓舞して臨んだ。そんな中村は序盤から一色恭志(青学3)や服部勇馬(東洋4)、中谷圭佑(駒沢3)ら各校のエース級たちと先頭集団を形成する。最初の1キロを3分05秒で入り、互いを牽制し合いながらスローペースでレースは進んでいく。7キロ過ぎの給水で中村が一色に水を渡す場面も見られ、9キロ過ぎでも依然として先頭集団は13〜14人で形成。11キロ過ぎのアップダウンを利用して一色が仕掛けるも、中村や服部、中谷もそれに着いていき、12キロ過ぎには今度は中村が前へ出る。中村は終始いい表情で、一色や服部らとラストスパートを繰り広げ、1、2、3位ほぼ同時で襷を渡した。区間3位という好成績で、早稲田にとっていいスタートとなった。

華の2区を任されたのは、出雲で4区区間3位の走りを見せた平和真(スポ3)。平は服部弾馬(東洋3)や小椋裕介(青学4)らと最初の1キロを2分42秒とハイペースで入る。5.7キロ地点まで3人で先頭を走るも、平と小椋が給水で水を取っている間に、服部が一人取らずに抜ける。さらに、後方からひたひたと近づいていた工藤有生(駒沢2)が2位へと浮上し、平は順位を落としてしまう。早稲田は1位東洋と37秒差の5位で襷を渡した。

 スピード区間である3区を任されたのは、三大駅伝デビューとなる藤原滋記(スポ2)。3位で襷を受け取った田村和希(青学2)は、西山雄介(駒沢3)をかわし2位へ浮上。1位を行く口町亮(東洋2)も一時は田村と区間新記録も目指せるタイムでレースを進める。また、後方7位を走る湊谷春紀(東海1)も5キロを14分33秒で入り、一年生ながらもいい走りを見せた。早稲田の藤原は7キロ過ぎ、前を行く西山とアップダウンを利用し、互いに一歩も譲らない駆け引きを繰り広げた。藤原と西山は1位東洋と1分20秒差、2位青学と44秒差でほぼ同時に襷を4区へと繋いだ。そして、中継点で早稲田とは1分の差があった東海は、25秒差まで詰め5位へと浮上した。 

中盤の重要区間を走るのは武田凛太郎(スポ3)。2位で襷をもらった久保田和真(青学4)は、中継点で36秒あった差を4キロ過ぎで10秒差まで追い上げ、1位櫻岡駿(東洋3)に迫る。5.5キロ過ぎ青学は東洋に追い着き、そのまま抜くと思われたが、櫻岡も離されず久保田と一緒に走っていく。一方早稲田は其田健也(駒沢4)と並走しながら前を追っていく。11キロ過ぎに久保田が一旦仕掛けるも、櫻岡はたんたんとそれに着いていく。早稲田と駒沢の3位争いも互いに牽制しながら残り2キロに差し掛かる。櫻岡のラストスパートに久保田は着いて行けず、苦しい表情を見せる。また、3位争いのスパートは武田が其田を振り切り、1位東洋と1分12秒差で3位を死守し、4位駒沢と7秒の差をつけた。武田は区間2位という成績でチームに貢献した。 

5区は昨年区間11位のリベンジに燃える光延誠(スポ2)。先頭は高橋尚弥(東洋4)と、8秒差で襷をもらった下田裕太(青学2)が走る。スピードが持ち味の光延はいいピッチで7キロ20分26秒で入り、前を懸命に追う。先頭は残り2キロになっても高橋と下田の並走が続き、残り600mでスパートをかけ、意地のぶつけ合いとなった。わずかに青学が先に襷を渡し、早稲田も1位と1分37秒差で3位、4位の駒沢とは47秒差で6区へと繋いだ。そして、光延は区間4位の好走を見せ、昨年のリベンジを果たした。

  

 6区は出雲では思うような走りが出来なかった井戸浩貴(商3)。コースはほぼ直線であるため各校の駆け引きに注目される。井戸は前を行く青学と東洋を見える位置まで捉えたいと、5キロを14分32秒という好ペースで区間3位の走りを見せる。しかし、後ろを行く馬場翔大(駒沢4)は5キロ14分15秒という、井戸を上回るペースで入り、中継点では47秒あった差を5キロ地点で26秒差まで詰めた。早稲田から見ると徐々に駒沢の姿が大きく迫り、9キロ過ぎには20秒差になった。先頭は渡邉心(青学4)が11キロ過ぎ野村峻哉(東洋2)を突き放しにかかるが、次の中継点が見えると、それを待っていたかのように野村がいっきに渡邉を追い抜いた。東洋が1位で通過し、10秒差で青学が続いた。早稲田は1位と1分41秒差と離され3位、4位の駒沢とは14秒差まで詰め寄られた。

 7区を任されたのは期待のルーキー永山博基(スポ1)。アンカーへ最もよい順位で襷を渡したいところである堀龍彦(東洋2)は橋本崚(青学4)が迫ってきても堂々とした表情でたんたんとした走りを見せる。3位を行く早稲田は、中間地点で4位の高本真樹(駒沢2)と25秒の差を広げ、そのまま突き放しにかかる。一方、アンカーに神野大地(青学4)を控えた青学にとって、1位東洋との差を30秒以内にして逆転したいところである。それを阻止すべく、堀は最後のアップダウンを利用して、苦しい表情ではあるがラストスパートで橋本を突き放す。1位で東洋が通過し、逆転も射程圏内の27秒差で青学も通過した。早稲田は3位でアンカーへと託し、4位の駒沢とは約1分の差をつけた。5位は東海、6位は明治が通過。順大は明治と21秒差の7位でシード権獲得のため必死で前を追う。シード権内のチームもドミニクニャイロ(山学大1)が後方から追い上げてくるため、油断は出来ない状況である。早稲田の永山は区間2位という好成績でデビュー戦を終えた。


 
最終区間をつとめるのは佐藤淳(スポ3)。昨年7区区間12位のリベンジを果たしたいと挑んだ。1位の東洋と27秒差で襷をもらった神野は、前半から飛ばしていくと思われたが、比較的落ち着いた入りとなった。5.5キロ地点ではその差が33秒と若干広がり、上村和生(東洋4)も必死で逃げる。そしてゴールまで7.9キロ地点ではその差が約1分に広がり、神野はなかなか東洋の姿を捉えることが出来ない。一方早稲田の佐藤は、中継点では約1分あった差を大塚祥平(駒沢3)に22秒差まで詰め寄られてしまう。伊勢神宮に続く直線でさらに差は詰まってしまうが、佐藤も汗を拭いながら懸命な走りを見せる。そしていよいよゴールの時。依然として東洋が1位を守りきり、見事全日本大学駅伝初優勝を果たした。続く2位は青学で、アンカー神野の追い上げは敵わなかった。早稲田は駒沢に逆転を許し、4位という結果に終わった。し烈なシード権争いが予想された後続は、5位に東海、6位に明治が入り、惜しくも山梨学院大はシード権獲得はならなかった。

昨年6位というシード落ちを経験してから今大会までの一年間。チームはこの悔しさを忘れず、優勝を目指して練習してきた。結果は4位で優勝には届かなかった。しかし、1区の4年生中村がいい流れを作り、それに続くようにして下級生の好走も目立った。この流れを止めることなく、残された日々を大切にして箱根につなげてほしい。 

     

2015年第47回全日本大学駅伝対校選手権大会

区間
氏名
学年
学部
出身
個人記録
区間順位
チーム順位

1区

中村信一郎
4
スポ科
香川・高松工芸
43分11秒

2区

平和真
3
スポ科
愛知・豊川工業
38分11秒
3区
藤原滋記
2
スポ科

兵庫・西脇工業

27分41秒
4区
武田凜太郎
3
スポ科
東京・早稲田実業
40分53秒
5区
光延誠
2
スポ科

福岡・鳥栖工業

34分19秒
6区
井戸浩貴
3
兵庫・龍野
36分12秒
7区
永山博基
1
スポ科
鹿児島・鹿児島実業
35分26
8区
佐藤淳
3
スポ科
愛知・明和
59分43秒
5時間15分36秒
 
4

 

関連URL
早稲田大学競走部公式サイト

(TEXT=川口恵、PHOTO=橋本梨香)
 


 
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