皆さんは乗馬には触れたことがあっても、馬術には無縁な方もそう少なくはないのではないだろうか― 早稲田大学馬術部は1946年創立した歴史ある大学16番目の体育会部。30人の部員と20頭の馬が一心同体となって関東大会やジュニア選手権等で多くの活躍を残している。普段は東伏見にある馬場(ばば)で練習を積み、培った技術と馬との信頼関係で大会上位入賞を狙っているのだ。
馬術は@馬場、A障害、B総合の3つの種目で争われる。
まず、@馬場とは、どう馬をきれいに見せるかを競う種目である。えんび服をまとって美しく乗りこなす。馬の首が収まっている(少し垂れている)状態が綺麗とされ、その馬の様子からきちんと調教されているかがよくわかってしまう競技だ。A障害は高く設定された丸太を越えられるかが勝負のポイント。いかに落とさないでコースを回りきれるかで勝敗が決まる。その際、タイムも重要だ。B総合は、@Aに野外を加えた3つを3日間でこなす。言うまでもなく総合力が試される。野外というのは山の中を走る競技で山のアップダウンや崖からの飛び降りなど様々な障害が待ち受けている。疲れている中で体力と精神力で上回ったペアだけが勝利を手にする。
これらの競技をこなすためには、やはり前にも挙げたが練習は欠かせない。そんな中、生き物との兼ね合いなだけに馬術部の朝はとにかく早い。
7:00
→馬場の掃除、馬のごはん
8:00→練習開始
馬の準備運動、練習、練習後の手入れ等 11:00→
練習終了
これが毎日のスケジュールである。練習の休みである月曜日以外は日々こなしている。中には横浜や茨城から通う選手もいて、朝家を出るのは5時前だそう。「最初はつらかった」と話す選手も多く、大変さが伝わってくる。加えて馬の世話、特に朝一番のごはんをあげるために毎日男子部員が交代で泊まり込みをしているそう。本当に馬術にかける思いがこれでもかと感じられた。この生活は代々受け継がれているもの。現在も、生活はもちろん、技術などあらゆることを上級生が下級生へ伝えている。 ところで「馬といえばニンジン!」と思ってはいないだろうか。これは間違い。馬によって食べ物にも好みがあるそうだ。例えば、バナナにいたっては、「皮ごと」、「皮をむいたもの」、「食べない」と分かれてしまう。バナナを食べることにも意外性を感じるが、まずは違いを把握する大変さが感じられた。この違いを理解するには馬ときちんと向き合わなければならない。まさに「人間」と関わる時と同じだ。しかし、それだけに「競技を通じて馬が頑張って障害を乗り越えてくれた時、指示に従ってくれた時嬉しい」と部員は語るようにこれも馬術にかかわる醍醐味であり、魅力の一つなのだろう。
知れば知るほど奥が深いと感じる馬術。部員一人一人がひたむきに馬術に取り組む姿からも見て取れた。今後も「感謝・団結・成長」(馬術部方針)を大切に、アットホームな「馬術部」を築いていく。
取材した日は上級生の馬に乗る姿を下級生が見ている姿が見受けられました。「お互いの乗る姿を見ることも気づきがあって勉強になるんです」と1年生。大学からの初心者が多い部の一つですが、非常に仲が良く、うらやましい限りです。練習中、鋭い指摘は飛ぶこともありましたが、それは相手を思ってのもの。本当に和やかな雰囲気が流れていて、楽しく取材できました。第2回は、主将インタビューです!
関連URL
馬術部公式ホームページ
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