箱根に向かって襷がつながれていた同じ頃、国立競技場では全国大学ラグビー選手権の準決勝が行われた。 王者帝京へのリベンジを誓う早稲田は何が何でも決勝へ進みたいところだが、準決勝の相手は、筑波大学。関東大学対抗戦では試合終了間際に逆転し20-17と勝利するも、苦しめられた相手だ。
試合序盤は押されぎみの早稲田、前半6分には筑波にペナルティゴールから先制を許してしまう。前半10分にはトライも決められ0-8。しかし、ここで崩れないのが今の早稲田。ここから反撃を見せる。相手ディフェンスをCTB坪郷勇輝(商4)が弾き飛ばすなど力強いプレーも見え始めた前半20分、素早いパスをつなぎFB藤田慶和(スポ2)がトライ。SO小倉順平(スポ3)もコンバージョンを決め1点差に迫る。その3分後にはFB藤田がゴール付近でボールを持ちながら体を翻し、WTB荻野岳志(先理3)も体勢を崩しながらも走りぬくなど、トライには繋がらなかったが相手ディフェンスを翻弄する。そして後半27分にはSO小倉のペナルティゴールで10-8と逆転。良い流れで後半に入る。
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前半トライを決めた直後のFB藤田 |
後半は後藤禎和監督が「長い長い厳しい時間帯」と言うように、自陣で防戦一方の時間が続く。スクラムで押し込まれそうになるもゴールライン寸前で止め、強烈なタックルでボールを奪われれば、すぐにまたディフェンスに戻り、我慢の時間を耐え抜いた。
迎えた後半28分相手の長い攻撃をやっと押し返し、相手ゴール前で 力強く押し込んだスクラムからSH岡田一平(スポ2)がスクラムトライ。PR垣永真之介主将(スポ4)が「一年間やってきたことが凝縮されていた」というほどの渾身のスクラムから生まれたものだった。その後は34分にFB藤田、37分にWTB深津健吾(スポ3)が立て続けにトライを決める。後半は筑波に一つのトライも許さず29-11で勝利した。
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復帰戦ながら堂々の活躍のSO小倉 |
「あれだけスケールの大きなプレイヤーなので、ボールを持った時は自由に動かせた」と後藤監督が言うように今日は日本代表としても活躍するFB藤田のダイナミックで伸び伸びとしたプレーが随所に見られた。 また怪我をしていたSO小倉とHO須藤拓輝(スポ4)も復帰。HO須藤に関しては予選リーグ3回戦時には、後藤監督が決勝に間に合わないのではと考えるほどの重傷。しかし、「世の中には不思議な事が多々ありまして治るはずのない怪我が治ることもあるんでね」(後藤監督)と、驚くべき回復を見せた。
1月12日の決勝戦、相手は5連覇を狙う帝京。試合後「決勝に必要なものは?」と問われ、後藤監督は「精神力」、垣永主将は「気合と根性」と即答した。 「かなり攻め込まれましたがあそこを耐えきったということは僕らの春苦しんできた課題が克服されたのかなと、心の底から自信になる」(垣永主将)と、この試合も自信に変えて、王者帝京にも負けない強い心で決勝へ挑む。
(TEXT=磯綾乃、PHOTO=猪野史夏)
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