競走部・江里口匡史(スポ3)選手の素顔に迫るRealVoice2009の第3回。
(前編はこちら)
2部構成の後編では、早大競走部の話から寮生活、休日の過ごし方など、彼の大学生としての側面にスポットライトを当て、母校『ワセダ』への思いを語って頂いた。
江里口匡史選手プロフィール 熊本・鹿本高校出身 スポーツ科学部3年 12月17日生まれ
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――早稲田を選んだ理由は? これが一つ決め手だというものは無いんですけど、礒(繁雄)監督に熱心に誘われたというのもありますし、昔から雑誌やテレビで早稲田大学の選手達が活躍しているのを見て憧れもあったので、自分がそこで陸上をする機会があるのなら、そこでやりたいなと思って入学しました。
――入学してみて感じた競走部の雰囲気は? 僕はイメージとして早稲田大学っていうのは大学の名前も大きいですし、活躍している選手もたくさんいたので、大学の競走部の人数もすごくいるんだろうなと思って入学してきたんですけど、実際人数はすごく少なくて、「この人数でやってるんだ」って知ったときに、「じゃあなんで勝てるんだろう?」ってまず思いましたね。当時はリレーでずっと勝ち続けていましたし、駅伝も少し低迷しつつありましたけど、竹澤(健介、現エスビー食品)さんもいましたし、「この中で強い選手が出るのは何でだろう?」って考えたら、この競走部という環境の中で生活していると、「一人ひとりが人間として自立している人が多いな」と感じました。ただ陸上をやっているというよりは、人数が少ないからこそ、自分の役目や役割、自分が出来ることを自覚しながら、一人ひとりが全く無駄なく動いているようにも見えたので、そういった点に強さがあるのかなと思って。やっぱり先輩たちはすごいなと思いましたね。
――早稲田の伝統や歴史を感じるときは? 伝統とかそういうものと言えるかは分からないですけど、やはり「繋がり」があるっていうのが、この大学の良いところじゃないかなと思います。大学名を出すだけで、「自分も何年卒のOBです」って言って声をかけて下さる人もいますし、寮の方に電話やお手紙で頑張って下さいというような言葉もかけて下さる方も多いので、そういう直接は部と関わりがなかった人も応援してくれるのは嬉しいですね。もちろん部に関わった人で、現役で競技をされているOBの方は大学に来て僕ら後輩の事を面倒見てくれますし、選手を引退されても後輩たちのために動いてくださる方もすごくいらっしゃって、やっぱりそういった上からの繋がりが、僕が感じる早稲田大学の良さだと思います。
――競技をする上で、「早稲田」という看板は特別なものに感じますか? もちろん早稲田大学で競技をやるってことは、やはり学生スポーツの中では常に中心にいなければいけないと思っています。先輩たちもそういうスタンスでやってきましたし、僕らもそれを受け継いで自分達が陸上界を引っ張っていくっていう気持ちが必要だと思うので、そういう面ではやはり自分達が競技だけでなくて人間性の面でも、大学の名前を背負うからには先輩達もやってきたことを自分もやっていかなければいけないと思います。
――伝統ある競走部において、今年ついに100mの早稲田記録保持者になりましたが。 入学して以来ずっと目標にしてきたタイムでしたし、今年の世界陸上の参加標準A記録も10秒21で、その前の早稲田記録が10秒20だったので、世界陸上を目指すんだったら超えなきゃいけない記録でした。今年のシーズンに入る前から10秒1っていうものをすごく意識していて、6月の日本選手権で早稲田記録を破ることが出来たんですけど、その時早稲田記録を持っていた小島茂之(平14年卒)さんも同じ試合に出ていて同じ組で一緒にレースを走っていたので、小島さんの前で記録を出せたって言うのが、僕としても嬉しかったです。
――10月にはその小島さんの引退レースにも参加されましたね。 小島さんには大学に入って以来のたった2年半なんですけど、その中でも本当に数え切れないくらいお世話になりました。この人がいたから自分もここまで来れたっていう思えるところがすごく多くて、そういった選手が引退されるっていうこともすごく残念ではあるんですけど、その場に立ち会って一緒に走る事もできて、走り終わった後は、言葉には出来ないくらいの感謝の気持ちしかなかったです。やはり小島さんも、僕や慎太郎(木村、スポ4)さん、その他競走部の後輩たちに自分の気持ちを託して引退された面もあると思うので、今度は僕らが小島さんの分もと思ってやることが、恩返しになると思います。小島さんの存在が僕のなかでも大きいですし、これから小島さんもまたグラウンドにきて指導して下さると思うんで、もっともっと吸収して記録を伸ばしていけたらと思います。
――短距離ブロックの雰囲気は? 短距離ブロックがどのチームでも中心になると、すごく盛り上がると思うんですよ。やっぱり4継が勝てば、チームは盛り上がりますし、そういった影響を一番与えやすいのが短距離だと思うんで、短距離が中心で引っ張れる部っていうのがすごく組織として強いチームになれると思います。やはり一人ひとりが考えを持って自立しようとするスタンスがあるっていうのが、すごく重要な事じゃないかと。ただチームにいるだけではダメですし、(チームに)いるからにはチームの中の自分って言うものを確立していかなければ、試合でも自分のやるべき事が見つかってこないと思うので、そういう点では短距離ブロックに限らず、どのブロックもそういうスタンスを持っているっていうのが雰囲気として良いものに繋がっているんじゃないかなと思います。
――競走部の中でも、礒繁雄監督の存在は非常に大きいと思うのですが。 礒先生は、レースに対しても普段の生活態度にしても「良いものは良い、悪いものは悪い」とどの選手に対しても冷静にはっきりと言ってくれる人なので、競技での指導に関してだけでなくて、人としても尊敬できる方です。そういった人と実際に競技に対しても色々話が出来るってことは、すごく自分のためにもなっていると思うので、礒先生は僕個人としてもそうですし、部全体に対してもとても重要な存在ですね。
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