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 2011箱根駅伝エントリーメンバー紹介もついに最終回。ラストに登場するのは猪俣英希、高野寛基の2選手。二人はこれまでエントリーメンバー入りの経験はあるものの、本番での出走経験はなく、今回走ることになれば4年目にして初の箱根出場となる。憧れの箱根で走ることを夢見て早稲田の門を叩き、4年間努力を重ねてきた二人の最初で最後の箱根にかける想いとは?


 大学初駅伝となった11月の全日本大学駅伝では、6区で区間2位の好走を見せた猪俣英希(スポ4)選手。早稲田伝統の「一般入試組」の象徴的存在で、今シーズンはこれまでの地道な努力が結実し、今やチームに欠かせない選手へと成長した。その長い距離での安定感と堅実で粘りのある走りは、まさに箱根向き。憧れのエンジのユニフォームを身にまとい臨む最後の晴れ舞台で、持てる力を全て出し切り、そして
1月3日大手町には笑顔の猪俣選手の姿があることを期待したい。




 

猪俣英希選手プロフィール
スポーツ科学部4年
福島・会津高校出身
自己記録 5000m:14分05秒04
10000m:29分08秒4
ハーフマラソン:63分24秒
10年全日本大学駅伝:6区 区間2位

――集中練習は順調に積めましたか?(取材を行ったのは12月18日)
 そうですね。途中で疲れが出ちゃって少し休むところもあったんですけど、疲労は溜まりながらも良い練習が出来ていますね。今はきついですけど我慢して、良い感じに仕上げていきたいと思います。

――全日本大学駅伝以降の調子はいかがですか?
 全日本が終わったあとは結構疲労が表面に出てきて、上尾前も若干体調を崩しかけたりしたんですけど、それでも何とか上尾には合わせることが出来て、万全とは言い切れない中でもそれなりの走りが出来たっていう感じですね。

――箱根駅伝を控えた現在の心境は?
 チームの目標は一つ『総合優勝』って定まっているので、そこに対する若干の不安と楽しみな気持ちが入り混じっている感じですかね。

――不安とは?
 特に具体的な不安要素があるわけではなくて、(箱根での総合優勝が)本当に一番叶えたい夢で、何としても掴み取りたいものなので、それが取れなかったらどうしようみたいな漠然としたものです。

――昨年と比べてチームの雰囲気に違いはありますか?
 やっぱり(出雲、全日本と)2つ取っているっていうのが絶対大きいと思うんですね。箱根でではないですけど、勝ち方を覚えたというか、勝ちに触れたっていうのは絶対に大きくて、変な力みっていうのは少しとれたかなっていうのはありますね。全日本では主力の矢澤(曜、教3)がうまくいかなくても周りで取り返せたっていうのもあって、決して焦る必要はないというか、みんなで補っていけるっていうのを確認できたのは大きいなって思います。

――これまでの2冠がプレッシャーではなく、チームに良い要素を生み出しているんですね。
 そうですね。僕もそれはすごい感じていて、2つ勝ったことで気が緩んだりとか、(チーム全体が)浮足立つかなって思ってたんですね。ところが逆に、勝つたびに締まっていくような雰囲気を僕自身感じていて、もちろん終わった後疲れとかが出たりとかする選手もいましたけど、その中でも締まった雰囲気でやってこられたのかなと思います。

――猪俣選手は3年連続でのエントリーメンバー入りとなりましたが、過去2年との心境の違いは?
 やはり今年は「どう自分が走るか」っていうのに特化してというか集中している感じですかね。今までは自分の意識の中で「出られるかどうか」っていうのがまずあって、その後に「どう走るか」っていう順番だったので、もちろん今年も当日にならないと分からないですけど、本当に本番でどう走るかっていうことしか考えてないです。

――全日本以降メディアなどから注目されることが多くなったと思いますが、競技に集中する上で大変な部分もあったのでは?
 自分でも、一般受験とか初駅伝とかっていう話題性で結構取り上げて頂いているなっていうのはすごい感じるんですね、正直。ただ、実力が本当に伴っているかっていうと、うちにはもっと強い選手がいますし、他大学だって僕より強い選手がたくさんいるので、そういう事実を自分がちゃんと知っているんで、全日本以降もそこは変に浮足立ったりせずに、その期間でどれだけ自分の力を磨けるかっていう風に思ってやってこれたんで、そこまで影響はなかったです。

――全日本で早稲田での初駅伝を経験して感じたことは?
 やっぱりエンジのユニフォームが単純に憧れでしたし、カメラに映されているのとかも分かりながら走ってたんで、ちょっといつもと違ったフワフワした感じが若干ありましたね。

初のエンジのユニフォームでのレースは、5月に行われた関東インカレのハーフマラソン。8位入賞を果たした。

――全日本で感じた課題と収穫は?
 全日本はレース自体の内容としてそんなに悲観すべきものではないと思っているのですけど、ただ区間賞が取れなかったことを一つ反省点としています。中盤若干ペースが落ちてしまって、そこでもう少し我慢して押していくことが出来れば、きっと区間賞も狙えたと思うので、そこは課題として、中間疾走でいかに中だるみしないかっていうことを今は課題としてやっていますね。今はスタミナを磨く練習をみっちりやっているので、ここで自信と力をつけて、本番物怖じせずに押していける走りが出来ればなと思いますね。

――今年はトラックシーズンから安定して走れている印象がありますが、その要因は?
 結構曖昧な表現になってしまうかもしれないんですけど、「自分の身体の仕上げ方が分かった」っていうのが一番大きいですね。今までは、試合にさしあたって一番は疲労を残さないことをメインとしていたんですけど、逆にそれだけだったんで結構失敗していたことが多くて、そうじゃなくて今年はどういう状態で仕上げればいいのかっていうのを自分の中の感覚として分かるようになってきて、それが確立されてきたので結果に繋がってきたのかなと思います。

――猪俣選手にとって、箱根駅伝とは?
 『一番の夢舞台』ですよね。日の目を浴びるというか、高校球児で言う甲子園くらいの気持ちですね。

――走りたい区間などはありますか?
 うちの首脳陣が発表してくれるのは本当直前なので、詳しい区間はまだ選手達は分からないと思うんですけど、自分で思っているのはおそらく復路で起用されるなっていうのは思っているんで、特に9区、10区辺りはイメージしてますね。

――箱根は4年生の活躍がカギを握ると思いますが、学年全体の雰囲気や調子は?
 非常に良いと思っています。エントリーされている選手はもちろん、やはり今回エントリーされていない選手も雰囲気作りとかそういうところから自分達が出来ることを必死にやっていますし、本当に目標に向かって一丸となっているんで、エントリーされているメンバーも調子が上がってきていて練習の中でも存在感を出せているので、良い形では来ているのかなと思います。

――自分が考えるチームの中での役割や自身の強みとは?
 ハーフマラソンとかそういう距離になったら、チームの中でも結構僕が持ちタイムとか結果からしても出しているんで、長い距離ですね。そういうところでしっかりと安定した走りをすることが一番求められているのかなと思います。

――最後に、箱根でのチーム、個人としての目標を聞かせてください。
 チームも個人ももちろん総合優勝ですね。自分がもちろん区間賞を取れたら最高なんですけど、どんな走りであれそれが総合優勝に繋がればいいと思っています。

 

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(TEXT、PHOTO=岡崎聡)

 

 


 
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