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[特別企画] 競走部 九鬼巧選手インタビュー「TO THE NEXT!!!」

九鬼巧選手特別インタビュー(第4回)

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――ではリレーについて。予選、決勝と出走が叶わなかった悔しさが九鬼選手の部員日記(※競走部HP部員日記8月20日付)から伝わってきました。その時の気持ちを改めて教えて頂けますか?
 部員日記には本当に今の自分の素直な気持ちを全て書きました。出られないって分かっている中でも、やっぱりあの舞台を見ると人生の中で一番の競技場だと思いましたし、観客の声援や雰囲気も僕の中では今までで一番だったので。「走りたいな」っていう気持ちが芽生えてくる一方で、走れないっていう現状があって。予選の前日にメンバーが正式に発表されてゼッケンが配られたんですけど、僕の元には来なくて。そのまま悔しい思いをして終わっちゃったという感じでした。

――ここでの悔しさを今後にどうつなげていきたいと考えていますか?
 この悔しい気持ちは絶対一生忘れないことですし、忘れようと思っても多分これから先も周りで言われることだと思います。例えば大会に出た時に「ロンドンオリンピック代表」って言われることが絶対あって、それは何年経っても続くことで。逃れることはできないので、この悔しさは忘れちゃいけないし、忘れられないので、今回こういう経験ができたことは良い体験ではあったかなとは思います。

――100m記録保持者である伊東浩司さんもはじめて出場したオリンピックでは補欠でしたよね。
 伊東さんとはオリンピックの時からやりとりをさせてもらっていたんですけど、実は先週、全国の小学校の陸上競技大会で、伊東さんが解説に来られていたので、お会いさせてもらって、色々お話をさせてもらったんです。伊東さんにバルセロナオリンピックの時の気持ちを伝えてもらって、「もっと悔しがらなきゃだめだ」と言われて。「これはこれでまた次に、っていう考えは絶対にない」とも言われて。そういう思いを伝えてもらいました。

――リレ―メンバーと思い出に残っていることはありますか?
 オリンピックでリレーの決勝が終わった時、僕はサブトラックで待ってて、写真を撮らしていただいたんですけど、4人で撮っている時に僕もいれさせてもらって。「5人でちゃんと走ったよ」っていうふうに記者の方に言ってもらえたのが僕の中では嬉しかったことですね。

――それではここまでのシーズンを総括していただけますか?
 まだシーズンは終わってないですけど、本当に夢のような日々がずっと続いていました。僕の中ではオリンピックは自分の経験としてはなっていないことですけど、それを「あの時があったから良かったね」って言えるようになるには、やっぱりこれから先も活躍しなきゃいけないですし、そのためにはもう1回、この秋に10秒2台を出したいなっていうのを先生との話の中で再確認させてもらいました。
 オリンピックから当初帰ってきた時には、僕の中では秋にもう1回自己ベスト出して、来年の世界陸上の標準記録Aを破って悔しい思いをぶつけたいっていうのがすごく強くて気持ちだけが突っ走っていたんですけど、先生に「それは違うんじゃないか」と言われて。そこで、今年はもうここまでよく頑張ったんだから、とりあえずこの今の走りをもう1回見直して定着させるためにも、次のインカレであったり国体や対抗戦で10秒2台を出したいなっていうのが出てきて。もう1度土台を固めて、来年へステップアップできる年にしたいというのを確認し合えました。
 その意味で先生には感謝しています。もしもずっと一人でやっていったら、全カレで潰れていたと思いますし、気持ちを切り替えられないまま終わってしまっていたと思うので。気持ちを切り替えられたかはまだ分からないですけど、もう1回この秋注目していただければと思います。

――最終的な理想像はありますか?
 そうですね、山縣には本当にオリンピックの準決勝で黒人と戦えるっていう姿を見させてもらったので、将来的には僕もその場で黒人と戦いたいですし、そういう力をつけたいなっていうのがあります。

――山縣選手と共に短距離界を牽引していきたいという思いは?
 牽引できたら良いですけど、彼は2つも3つも上を行っていますからね。僕がライバルと思っていても、向こうがライバルだと思っているかは分からないですけど、でもこうやってずっと追い求める選手がいることは僕の中では大きいことですし、それが同級生っていうのは本当にすごいことだなと思います。

――最後にファンの方へ一言お願いします。
 オリンピックが終わって、僕の中ではこれからが陸上人生の第2シーズンの始まりだと捉えています。その初試合が全カレでもありますし、これから4年後を目指す上でのシーズンの始まりだと思っているので、また応援していただければなと思います。

今後の活躍も楽しみにしています!

 全4回にわたってお送りした九鬼巧選手スペシャルインタビュー、いかがでしたか?
満を持して入学した大学1年目の苦しみ、2年目の飛躍、そしてオリンピックでの体験。どのエピソードからも九鬼選手の競技における「気持ち」の大きさが伝わってきました。
 4年に1度の大舞台が幕を閉じた今、九鬼選手は悔しさと向き合っています。その悔しさを良い力へと変換できた時、さらなる境地へとまた一歩進んでいくのでしょう。これからもっともっと強くなる。そう感じさせられたインタビューでした。
 九鬼選手の次戦にして自身の陸上第2シーズンの幕開けは9月9日〜日本インカレとなります。大学王者を決めるこの戦いに九鬼選手がどう挑んでくるのか。皆で注目しましょう!
 

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(TEXT 、PHOTO=矢野真由実
 


 
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