「20世紀で最大のヒット商品は」。私がここ数日で購入した雑誌には、どれにもこのような企画が掲載されていた。テレビ、携帯電話、車、飛行機などなど。今世紀に生まれ、人の生活を大きく変えたものが並んでいた。
自分自身は今世紀の最後から数えて、22年しか生きていない。しかしこんな私が「今世紀もっともヒットしたもの」を考えてみると、それは「スポーツ」ではないかと思う。
今世紀、急速に制度化され、産業化され、世界中の人を同じルールの上で平等に出会わせたスポーツ。その理念からも、そこを通して得られる身体的満足、教育、経済などの社会的効果を考えても世界の人々にとって魅力あふれる文化であることは確かだ。また今世紀に限らず未来においても、ずっと人とともにあり続けるものだと思う。
早稲田大学にとっての20世紀。大隈重信公が創立したこの大学で営まれてきた数々の歴史。その中にもスポーツは強く根付いている。
私もスポーツとともに生きてきた。スポーツを楽しみ、スポーツをとおしていろんなものを得てきた。そしてこの4年間、早稲田のスポーツとともに過ごしてきた。
今回、記念すべき場で総長とスポーツについて語る機会を与えていただいたことに、まず感謝したい。
しかし現在の気持ちとして、私が20世紀の早稲田のスポーツを語るということ。これには正直自分は応えられない。ここ4年間しか実体験として関わっていない私に、100年もの歴史を語れようはずはない。もし知識のみで語るならば、それはその時々の早稲田スポーツを生きた先輩方に失礼であると考えるからである。
私は「今」を語りたい、と思っている。今世紀積み上げられてきた早稲田のスポーツ。それはすべて今この瞬間に受け継がれている。どんな過去があろうとも、今私たちにとって、早稲田のスポーツが何なのか、それが大事だ。過去にすがるのは簡単だ。しかし過去は今に集約されなければ意味がない。スポーツにおいても、選手の過去の経験は今この瞬間、コートの上で生かされるから意味がある。
21世紀。早稲田のスポーツはどうなるのか、どうしていくべきなのか。その答えは、「今」にしかない。今の早稲田スポーツと真正面から向き合い、逃げずに考え、行動することが唯一の答えだ。この機会に、多くの人が「今」の早稲田スポーツと向き合うきっかけを作りたい。そのために、私は早稲田スポーツの「今」をあますことなく、感じるままに語ろうと思っている。そしてそれが20世紀の早稲田スポーツを語るということになるのではないだろうか、と考えている。
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TEXT=さかいひろゆき
早稲田大学第二文学部4年。ワセダウィルウィンプロジェクト代表、早稲田スポーツ新聞会所属。日刊スポーツ新聞社で取材記者としてアルバイトをするなど、スポーツ記者としての経験は豊富。自身もスポーツを熱心にする。
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