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ア式蹴球部の目指すもの、そして早慶サッカー定期戦
   TEXT=渡邉華(ア式蹴球部 女子マネージャー)

 一年前は,国立競技場の観客席で,豆粒ほどの大きさのイレブンを応援していた。まさか4ヶ月後に彼等と共に泣き,笑う日々がやってこようとは予想しておらず,まして1年後にあの国立の熱気と興奮のステージを創り上げる立場になることなどは想像もつかなかった。

 私がア式に入部したのは,昨年10月。当時チームは関東大学リーグ2部で引き分け試合を重ねていた。わけもわからぬまま、気づけば2部リーグ最下位。そしてさらに下部組織である東京都リーグ1位との入替戦を迎えたのだった。負けることなど想像できなかった。しかし,結果は都リーグへの降格決定。入部したての私ですら翌日瞼が腫れていたのだから,選手たちは…と考えると,そこには筆舌に尽くし難い悔しさ・苦しみがあったはずである。選手は決して多くを語らないけれど,それぞれの心に秘めた思いは,熱い。

 そんなわけで、今年の早稲田は東京都リーグ1部での戦いを余儀なくされた。S級ライセンスをもつ藤原新監督の指導のもと、「常に試合の緊張感をグランドで…」をモットーに、関東大学リーグ復帰を目指し、練習に励む毎日である。私も、世間が想像するようなタオル手渡しの爽やかマネージャー…ではなく、ひたすら事務系仕事の毎日だが,練習に励む選手の姿に,今日も一日頑張ろうと思う。

 このような状況下で行われる今年の早慶サッカー定期戦。思えば、早慶両校の間には因縁めいたものが存在する。4年前,前年優勝とは打って変わって低迷気味だった早稲田は、当時2部にいた慶應との入替戦に敗れ,関東大学リーグ2部へと降格した。そして、今や早稲田は都リーグ、慶應は関東1部と完全に立場が逆転している状態だ。

 かつて、日本サッカーがアマチュア中心だった時代…釜本氏や松永氏ら早稲田大学ア式蹴球部出身者がJSL(日本サッカーリーグ)で活躍していた頃,早慶サッカーは天皇杯と凌ぎを削る一大イベントであり、当日は国立のスタンドが超満員だったという。だが、JリーグもJ1・J2と組織が確立され,ナショナルチームの躍進も大きく取り上げられ,日本サッカー界が日々発展を続ける現在…。そのなかで、大学サッカー、ひいては学生スポーツの真価がとわれているのは、当事者の我々としては考えずに入られない問題である。

 





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