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TEXT=山田浩平

強敵慶応を撃破し、波に乗った今期のラグビー蹴球部。12月2日の早明戦も苦戦しながらもロスタイムでの劇的な逆転勝ちで11年ぶりの対抗戦制覇、そして14年ぶりの全勝Vという快挙を成し遂げた。次は大学選手権だ。1990年以来の日本選手権制覇へ。「荒ぶる」を歌う日まで応援しつづけよう。


ラグビー対抗戦ハイライト

早稲田、今期の成績

日時
相手
スコア
9/16
東京大
○100-7
9/23
大東文化大
○50-5
9/30
青山学院大
○125-9
10/14
帝京大
○27-16
10/27
筑波大
○62-19
11/3
日本体育大
○85-10
11/23
慶應義塾大
○54-21
12/2
明治大
○36-34

注:大東文化大戦は交流戦、あとは関東大学対抗戦Aグループ

 

今期の早稲田大学は初戦の東大戦100-7の圧勝から連勝を重ねる。青山学院大戦ではチーム対抗戦至上最高得点である125点を奪った。昨年度ノートライ負けの屈辱を受けた帝京大も危なげなく快勝。2年ぶりの全勝対決となった慶応戦は接戦との前評判を覆して54-21で圧勝。ラストの伝統の早明戦は、最悪の出来ながらもロスタイムでの逆転勝ちをし、11年ぶりの対抗戦制覇を成し遂げた。
 メンバー的にも早く、力強い選手が揃った。シーズン当初、清宮新監督が掲げた激しさを中心とした高速・継続・正確・独自性というリングは大きくなり、学生では屈指の攻撃力を誇るフィフティーンを形成している。早明戦では明らかに気迫で圧倒されたが、日本代表クラスを要する慶応にラグビーをほとんどさせなかった早慶戦は今シーズンのベストマッチと言えるだろう。

選手の力を見抜く清宮新監督

 それもこれもやはり清宮監督の選手眼に尽きる。昨年までSHだった羽生をFLにコンバートした。WTBだった山下大悟を本来のポジションであるCTBに、同じく昨年度FBだった大田尾を同じくSOにコンバートした。その他LOだった佐藤喬輔が上村の怪我という緊急事態ではあったがNo.8のポジションに適正を示した。SOだった武川は今年はCTBで山下とコンビを組んでの出場である。違うポジションを経験しているからこそ分かる力をうまく引き出している。その一方で、WTBである仲山・山岡のコンビは昨年度はBチーム、Cチームでプレイしていた選手だ。一瞬にして素質を見抜き、Aチームへの大抜擢。仲山がチーム最多の12トライを奪うなどまさに真価を発揮している。
 そして、清宮監督の選手眼の最たるものがやはりFL羽生、川上の2人だろう。体は両者とも大きくない(羽生173・75、川上171・83)ながらも低く確実なタックルで相手のゲインを許さない。サイズの要求される現代ラグビーのFWのあり方について、一石を投じるほどの活躍ぶりで他校の脅威となっている。小さな体でどうしたら大きな男を倒せるか、という早稲田ラグビーの出発点をまさに体現している。

早明戦の結果をどう考えるべきか

 早明戦の観戦レポートはこちらで見てもらうとして簡単な総括を行うと、チームとしての悪い点がすべて噴出した試合だったと考える。そういう意味で早明戦を経験しておいたことは非常に有意義だった。
 悪い点とはまず気迫の問題である。精神論で片付けるのは億劫だが、早明戦が毎年実力差に関わらず接戦になるのはこの気迫の部分が大きいのではないか。明治は慶応に惨敗(5-31)したのに対し、早稲田はその慶応に圧勝(54-21)していたことを考えれば、早稲田の実力上位は明らかだった。それにも関わらず接戦になったのは明治の早稲田に対する意気込みの差としか言いようがない。明治の主将松原のチームを牽引する気迫のゲインが明治フィフティーンに乗り移った。早稲田は慶應戦でも勝敗が決した後にに見せた気の緩みが、気迫に圧倒されミスに繋がった。早慶戦で惨敗した慶應の上田監督は「選手の気迫の差が」と言い、早明戦で勝った清宮監督も「明治が200%の力を出してきた」と言った。対抗戦優勝に浮かれることなく、常に気迫で相手を圧倒していくことが大切だ。
 しかし、その一方でそういった試合をモノにしたのは非常に大きい。後半の反則数は早稲田が0に対して明治は20とハーフタイムできっちり修正してきた。そういう中で、勝ちをもぎ取ったのは大きな自信になる。その経験は確実に大学選手権でも大きなアドバンテージになるだろう。

そして大学選手権へ


昨期敗れた関東学院大学との決勝で対決だ!!

 

 大学選手権、今年は16日に大東文化大とあたり、23日の準々決勝は中央大学と大阪体育大学の勝者とあたる。順当に勝ち進むと年の明けた1月2日の準決勝は再び慶応大学と再戦することになる。それも勝ち上がると決勝1月12日、国立で学生王者関東学院大学と戦うことが予想される。今シーズンのチームスローガン「OVER THE TOP」はこの関東学院を倒すまで達成できない。当初から左京組の目標は大学選手権の優勝なのだ。
 しかし、楽観は出来ない。負けたら終わりの一発勝負では何が起こるかわからない。慶應は11月23日の雪辱に燃え、チームを立て直してくるだろう。特に慶應は昨年度の大学選手権の準決勝で、法政大学の気迫のタックルに出足を止められ足をすくわれることになったので、その二の舞にならないように必死だ。今年の11月23日の結果は忘れるべきである。今シーズン2度目の早慶戦は最後までどちらが勝つか分からない好ゲームが展開されるだろう。
 そして、慶應に勝つと王者関東学院大学との再戦が待っている。春の練習試合(6月30日)では5-57と完敗した。夏合宿の練習試合では22-36(注:後半関東はBチームではあるが)に差が詰まっている。そして秋の充実したシーズンを過ごした早稲田がどう戦いを挑むのか。FWの関東学院に展開の早稲田という異質のラグビースタイルを持つ両チームの戦いはまさに見ものである。1月12日、早稲田が決勝で関東学院を破って日本一を達成することを祈りたい。

 






 
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