1月2日大学選手権準決勝
日時 |
相手 |
スコア |
9/16 |
東京大 |
○100-7 |
9/23 |
大東文化大 |
○50-5 |
9/30 |
青山学院大 |
○125-9 |
10/14 |
帝京大 |
○27-16 |
10/27 |
筑波大 |
○62-19 |
11/3 |
日本体育大 |
○85-10 |
11/23 |
慶應義塾大 |
○54-21 |
12/2 |
明治大 |
○36-34 |
12/16 |
大東文化大 |
○49-24 |
12/23 |
大阪体育大 |
○58-54 |
1/2 |
慶應大 |
○36-7 |
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36-7というスコアだけでなく、内容的にも完勝という出来で早稲田は慶應を撃破した。早稲田は11月23日に慶應を54-21で撃破してから精彩を明らかに欠いていた。続く早明戦は2点差の辛勝、大学選手権に入っても一回戦・二回戦と対抗戦前半の勢いは鳴りを潜めたままだった。そしてこの2日の準決勝も、レギュラー組が大量復帰してきたことを考えても苦戦は必至と見られていた。慶應も前回対戦の雪辱を期すべく、バックスを入れ替え試合に臨んできた。実力はほぼ互角というのが多数の戦前の予想だったろう。
しかし、結果はご存知のとおり。早稲田のチームとしての完成度はこれまで以上に研ぎ澄まされていた。ディフェンスは組織的に守り、ゲインを最小限に食い止めた。オフェンスは5トライ中3トライをFWが奪うなど、これまでのBK中心の早稲田ラグビーを更に進化させた。慶應はほとんど自分のラグビーをすることなく敗れ去った。
慶應が弱かったのか?いや、そうではない。慶應より早稲田のほうが上を行っていた、それだけのことだろう。要所に1年生が3人レギュラーにいる若いチームだった慶應には来期、この経験を活かしたチーム作りを期待したい。対する早稲田はこれで晴れて関東学院への挑戦権を獲得した。ここで早稲田の真価が問われる。
関東学院とはどういうチームか
関東学院大学は現在5年連続大学選手権決勝進出中、うち昨年度も含め3回優勝している強豪。今年も全く危なげなく決勝まで駒を進めてきた。現在の学生最強チームと言っても異を唱えるものはいないだろう。早稲田は今シーズン2回対戦しており、6月30日は5対57、8月21日は22対36(注:後半相手はBチームだった)でいずれも敗北している。試合の構図としては、王者関東学院大学に、対抗戦・大学選手権などを通じてメキメキ実力をつけてきた早稲田が挑むという構図になる。
関東学院を表す言葉として「学生最強のFW陣」「学生最強のバックスリー(つまりWTB2人とFBの3人のこと)」と言われる。特にFWは近年の学生最強との呼び声が高い。更にHB団もSH春口とSO今村という学生屈指の2人だ。
結論からいうと要するに隙がない布陣だということだ。だからこそ、関東学院は「王者」と冠付けられるし、絶対に負けない。FW戦で常に主導権を握りゲームを支配し、決定力のあるバックスが縦横無尽に走り回る。これこそが関東学院のラグビーである。しかし、だから勝ち目がないというわけではない。完璧なチームなどあるわけがないのだ。
「激しく」燃え上がれ早稲田ラグビー
一方の早稲田はどういうチーム作りをしてきたか。今期はじめのインタビューによると、プレーに関して5つ(高速・継続・正確・独自性・激しさ)の目標を挙げ、激しさを中心としてリングを広げていくと言っていた。ここで重要なのは、「激しさ」というメンタル的な部分を中心に据えたところだ。
今期の早稲田は常にそのようなメンタル部分を考えてプレーしてきたように感じる。メンタルで相手を上回っていたとき、必ず結果は好結果になり、早明戦や大体大戦後半などでメンタル面が後手後手に回ったときに必ずピンチに陥ることを実感したはずだ。次の相手は関東学院、メンタルで相手を上回り「激しく」攻撃、「激しく」ディフェンス。この核がしっかりしていた場合、結果は自ずとついてくる。
日時 |
相手 |
スコア |
9/22 |
ケンブリッジ大 |
○30-18 |
9/30 |
同志社大 |
○31-5 |
10/7 |
流通経済大 |
○56-10 |
10/14 |
中央大 |
○99-0 |
10/21 |
東海大 |
○79-3 |
10/28 |
専修大 |
○54-0 |
11/3 |
日本大 |
○44-6 |
11/17 |
大東文化大 |
○69-17 |
11/25 |
法政大 |
○32-15 |
12/16 |
京都産業大 |
○75-14 |
12/23 |
明治大 |
○42-31 |
1/2 |
法政大 |
○38-23 |
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試合のポイント
第一のポイントはFW戦だ。関東学院のFWは常に相手を圧倒する力強さがある。あの明治ですら関東学院FWのプレッシャーに押された。早稲田としては「いかに耐える」かが最大の課題となろう。スクラムではいかにスムーズにSH田原までボールが出せるかだ。ただ、早稲田FWはスクラムだけが仕事ではない。今期は積極的にライン参加し、攻撃力アップに貢献している。
第二のポイントはラインアウトだ。11月23日の早慶戦ではほとんどキープしていたマイボールラインアウトが、ここ数試合乱れに乱れている。特に関東学院LO斎藤と北川はそれぞれ190cm、195cmの長身、NO.8山口主将も189cmもある。一方、早稲田LO左京主将、高森が最長身で184cm(LO桑江が出てこれば190cmだが)しかない。この2人をかいくぐり、いかにマイボールラインアウトをキープできるかがポイントだ。HO中村の安定性に期待したい。
第三のポイントはディフェンスである。ディフェンス力は早稲田のほうが関東学院より強い。ただ、前述したように関東学院のバックスリー(WTB三宅、水野、FB角濱)の攻撃力は学生屈指。しかし慶應戦で見せたような組織ディフェンスが出来れば光は見えてくる。いかに展開を早め早めに止め、バックスリーに仕事をさせないかがディフェンス面での最大の課題だろう。
第四のポイントはHB団の出来だ。早稲田SH田原・SO大田尾、関東学院SH春口・SO今村の対決は非常に見ものだ。ただ、早稲田の2人が今期ずっとコンビを組んでいるのに対して、関東学院の2人は怪我から復帰して間があまりない。特に今村は学生屈指の実力を誇るがまだ顎の怪我が完治しておらず、不安要素を持っている。常に判断力を要求されるポジションだけに少しのミスが大きく広がる可能性がある。そういう面で早稲田の2人は意思疎通が確立している部分で若干のアドバンテージか。
第五のポイントは展開力である。「接近、展開、連続」という言葉に代表されるように早稲田は伝統的にヨコに強く、それは今年も変わらない。フィールド全体を大きく使うライン展開力は早稲田が上。FWまで参加するラインにCTB山下、FB西辻という決定力のあるバックスが絡み、トライを演出できるか。
最後に
早稲田には大学選手権で優勝したときのみ唄える部歌がある。それが「荒ぶる」だ。最後に唄ったのは12年前である。是非とも12年前に味わった美酒に酔いたいと思うのが、早稲田ファンの嘘偽り無い心境である。
しかし、下馬評では関東学院有利との声が圧倒的に多い。関東学院が圧勝することはあっても早稲田が圧勝することはなく、もし早稲田が勝つとしたら接戦だと言われている。勝つのは容易では決してない。だからこそ、勝った時の感動はこれまで以上だろう。
一年間、早稲田ラグビーを応援してきた。ノーサイドの笛が吹かれた時、どんな結果が待っているだろうか。泣いても笑っても結果は12日に出る。
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