# 究極という名前を持つスポーツで日本一を目指す
究極という名前を持つこのスポーツは、そもそもアメリカの大学生の遊びから始まったそうだ。早稲田ソニックス主将・山木さんはこう説明してくれた。
「アメリカンフットボールとバスケットボールを混ぜたのをフライングディスクでやってみようとしたのが初まりなんです。ただ、タッチダウンの代わりにディスクをキャッチすると。」
山木伸允(やまき・のぶちか)
早稲田大学商学部3年、主将。166センチ 60キロ。座右の銘は「時空しく渡らず人空しく渡る」。
スポーツをすることとは即ち自己表現の手段であると言い切る、いかした男。サークルとしての競技実績は2000年度学生選手権3位。
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ディスクを持ったプレーヤーはあらゆる方向にパスを出すことはできるが、それを持って走ってはいけない。身体接触は一切禁止されておりファウルとなる。ディスクが地面に落ちたり、コート外に出たり、インターセプトやブロックをされたら、その場で攻撃権が相手チームに移る。アルティメットの基本的なルールは以上の通りだが、初心者が苦労するのは最も基本的なフライングディスクの扱いなのだそうだ。
「アルティメットと球技の違う点は、競技に使用するフライングディスクの方向や滞空時間が風に大きく左右されるところです。」
山木さんは言う。
「ほら、サッカーとか野球は学校の休み時間にやりましたよね。でも、フライングディスクは投げなかったじゃないですか(笑)。つまり初めは誰も、このスポーツをするための身体感覚がないんですよ。だからこのディスクに慣れるところから始めるんです。」
ここで僕は、以前から疑問に思っていた質問を山木さんにぶつけてみた。なぜこのスポーツは「究極」と呼ばれるのか。
「まず、走る・跳ぶ・投げるというスポーツの三大要素を満たしていることが挙げられて、それを説明とする場合が多いですね。でも、これは僕の意見になりますけど、僕はアルティメットの特徴は体の自由度の高さにあると思っています。つまり、人間の動きがほとんど制約されないことについてはスポーツの中で究極かな、という気はしますね。」
高校生まではラグビー部に所属していた山木さんの気持ちをアルティメットに向かわせたのは、スポーツの醍醐味を凝縮したようなその魅力と、「どうせやるなら日本一を狙いたい」という気持ちだった。
まだ、全国で40チームくらいという規模ではあるが、昨年度、男子は学生全国三位。今年の目標について聞くと、「やるからには優勝を目指してます。」と答えてくれた。
アルティメットに対する認知度は数年前よりはるかに高まっており、競技人口も順調に増えてきている。愛ゆえにであろうか、山木さんの話にもアルティメット界全体を視野に入れた発言が目立った。
「マイナーなスポーツだからこそ、社会人も学生も含めてアルティメット界全体で発展していかないといけないと思うんです。社会人とも学生大会の上にある全日本選手権で対戦するんですけど、強いですね。社会人の人たちは、ほとんど土曜日しか集まって練習できないらしいんです。でも、学生にもうまくなって欲しいということで、教えてくれますし、学生は社会人を目標にしてがんばるわけです。今は全体がいい感じで膨らんでいる気がします。」
練習する環境としては決して良いようには聞こえないが、若いスポーツが故の苦労であろう。日本に入ってから、それほど時間の経っていないこのスポーツには、未来を感じる要素がたくさんあるように思われた。最後に新入生に向けてのメッセージを頂いた。
「スポーツを面白くするには、自分でやってみないといけないと思うんですよ。だから、ちょっと変わったスポーツを試してみようか、という感じで来てもらえればいいですね。」
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