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    柳谷勝彦 (柳谷鍼灸接骨院院長)
TEXT=神原一光
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# 早稲田のスポーツの拠点「フシミ」で鍼灸接骨院を営む

西武新宿線東伏見駅前から広がる、東伏見総合運動場。「フシミ」と呼ばれるこの施設は、体育の各授業が行われるほか、野球部、庭球部、ラグビー蹴球部、ア式蹴球部などが練習場を構え、早稲田スポーツの拠点だ。その「フシミ」を語る上で、どうしても知っておきたい人物、この2月で開院5年目を迎えたその”センセイ”には、駅前徒歩1分、鳥居をくぐると会うことができる。

柳谷勝彦(やなぎや・かつひこ)
1965年生まれ、前橋市出身。ヘビ年の年男。
柔道整復師、鍼・灸・あんまマッサージ指圧師。「痛いのは、脳がそう感じているだけ。体は気持ちいいんだよ(笑)」



 柳谷(やなぎや)勝彦先生。ラグビー蹴球部、庭球部「御用達」の柳谷鍼灸接骨院(通称:柳谷)の院長センセイだ。選手達は「駆け込み寺・柳谷」のことを聞かれると、口を揃えたように「痛いけれど、必ず治る」と言う。センセイの握力に、ラグビー蹴球部をはじめとする筋肉隆々の男たちが必ず一度は泣かされる。しかし、ひとたび治療が終わると先程まで痛くてどうしようもなかった所が、何事もなかったようにスムーズに動く。「選手たちはまだ若いから回復力がある。僕は治すきっかけを与えているだけで、昔に比べたら、握力ずいぶん弱くなってるんだけど(笑)」というセンセイの「マジック」とも言える治療には「その部分だけの痛みを治すのではなく、体全体のバランスを考えて治療する」という治療哲学がある。

 例えば、「肩が痛い」と来院した選手に対し、肩からではなく背中や腰からほぐしていく。これは柳谷では珍しくはないことだ。選手の体を見ただけで、その選手の生活習慣から寝相や部屋のテレビの位置といったことまでも見抜く。「初めて治療にきた選手がどんな種目でどんな動きをするか、どんなクセをもっているのかということもわかるし、いつも来ている選手がどこを分かるケガしたのか、どこが調子悪いのかが、何も言わなくても一発で分かる」。「体はその人を映す」という言葉を聞いたことがある。まさしくその言葉通りの治療。センセイの治療が、じっと体を見つめることから始まるというのも納得できる。

 人は誰でも動きにクセがある。例えば、腰を回転させる時に左より、右の方が回しやすいといったことだ。「片方しか使えなかったら動きが限定される。両方がバランスよく使えればケガに対する耐久力や筋持久力もつく。スポーツは様々な動きをするから、自分の位置が常に正常にあること、それだけで動きのキャパシティ(範囲)が広がるんだよ」とコーディネーション(筋肉運動の整合、共同作用)の重要性を指摘するセンセイ。しかし同時に「バランスよくコーディネートできることが、必ずしも上達する、勝利することとは結びつかない」とも言う。「トップで活躍する選手や、プロになるような資質を持った選手は動きの”クセ”が時として”武器”だったりするから(笑)」。集団から突出するためには、ずば抜けた個性が必要だ。スポーツの世界で勝ち抜くためには、必ず必要なことだ。「普通の人ならいいけれど、トップを狙う選手をみるというのは、さまざまな意味で難しいんです、でもやりがいがある」。動きのクセを見抜き、その特異性を見抜き、治療する。

 「選手としての人生よりそれからの方が長いのだから、長いスパンでみたとき、僕は選手にどんなことがしてあげられるだろうか、いつもそう考えているんだ」。痛みをただ治すだけではない。やめた後のことも考えて治療する。なにが、柳谷先生にそんな力をつけさせたのか、この言葉にその秘密の一端を垣間見るヒントが隠されているのかもしれない。



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