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 Realvoice   小林真吾(早稲田大学庭球部)
          
TEXT=神原一光


個性派集団をまとめる庭球部主将の想い。

21世紀初の日本一に向けて絶好のスタートを切った庭球部。学生最後の年、主将としてチームを牽引する小林真吾(人4)は”思い”の強い選手だ。とりわけ話す方ではないが、テニスの話になるとだれも止めることはできない。なにを話していても、最後は必ずテニスの話題になってしまう、”語る”小林の姿が、そこにあった。

小林真吾

小林真吾(こばやし・しんご)
1979年、宮崎県生まれ。
柳川高出身。スポーツ科学科4年。庭球部主将として1年から団体戦全試合出場。2001年、関東学生トーナメントシングルスベスト8。「言葉ではなくて、自分が行動することでチームをひっぱっていく、これが僕のやり方」



春、関東大学リーグ戦で庭球部の一年は幕を開ける。秋に行われる全日本大学対抗王座決定試合の関東予選を兼ねたこの大会は、約1か月かけて行われる。新学期もろくに始まらないうちに、一年の浮沈を賭けた戦いが始まるのだ。そんな怒濤のリーグ戦を小林はこう振り返る。「強く印象に残っているのは、やはり亜細亜戦」昨年、春秋連敗しただけに、全員「勝ちたい」という一心で集中していた」。

 

優勝も日本一への過程にすぎない!

今年、優勝を狙う早稲田にとっての越えなければならないヤマは2試合あった。第2戦の法大戦、そして最終戦の亜大戦だ。「もちろん危機感はあった」王座への2枚の切符を争ったサバイバルレース、まず法大を蹴散らし、亜大への挑戦権を得た。全勝対決で迎えた最終戦、昨年のリベンジを果たす時が来た。そして、思いは結実した。「素直にうれしかった。でも、次の瞬間”王座”に向けてどう戦おうと考える、そんな自分がいた」。優勝が決定した瞬間でさえも気を引き締める。手放しでは喜ばない。いや、喜べない。「この勝利は日本一の過程でしかない」小林の強烈なまでの日本一への執念が垣間見える。


主将になって、変わっていった「意識」

「立場が人を育てる」と言う言葉がある。まさしく、小林の場合もしかりだ。主将に就いてから意識が変わったことがあるという。もともとチームへの意識は高い方であったが、より一層考えるようになったという。「個人戦でも、チームとして全員勝ち残って欲しい、例えばベスト8をうちの選手で独占したいとか、ね」。今までは、漠然と個人ががんばればいいと思っていた。「主将になったからか、4年だからか分からないけれど確かに変わってきました」。今年から、本格的に起用した学生トレーナーの存在も大きいと小林は話す。トレーナーの川瀬基紀(人4)は団体戦だけでなく、個人戦もサポートする。選手とは違った視点でチームを見れる、そんな川瀬の存在がチームの潤滑油になっているのかも知れない。

「”日本一”は強い選手が揃っているだけではとれない。全員で勝利を実感し、涙を流せるような部でありたい。栄冠を勝ち取るために、小林は力を込める。初心者からユニバーシアード候補までが混在する庭球部。そんな「超個性派集団」をまとめる術「どんなレベルの選手でも、本人が”やりたい”といったことは潰さないように認めている。その中で、部に所属しているんだという誇りを持って欲しい」提案はするが、命令はしない。選手はコート上で、サポーターはその周りで、最高の”プレー”をしてくれれば、なにも言うことはない。おのずと結果はついてくるものだ。


日本一になって、本当の意味で学生生活を「満喫」したい!

「楽して勝てる試合なんてない。だからこそ、苦しい時に自分にどれだけ自信を持てるかが大切。日頃の練習の積み重ねです。練習でできないことが、試合でできるわけはないし。あとは、優勝したいという気持ちをどれだけ持ち続けられるか。気持ちが続けば、優勝できる」学生最後を迎えた今、練習でも試合でも、全力を出し切った、という満足感が小林の支えになっている。「学生としては、社会勉強もしなければ。でも最後の学生生活を満喫したい気持ちもある。でも、日本一にならないと本当の意味での”満喫”はできない(笑)」

「日本一への”過程”を大切にする」誰よりもひたむきに、今日も小林はコートに立ち続ける。









 



 
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