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全日本大学駅伝「テレビ」観戦記。
TEXT=長友亮太


「さて問題です。学生駅伝といえば?」と質問したら、多くの人が「箱根」と答えるだろう。自分もそう答えたくなるところ。しかし、箱根駅伝には関東の大学しか出られないことをご存知だろうか?そう、予選会までテレビ放映され、お正月の日テレを2日間に渡ってジャックする大きな大会だが、実は箱根駅伝で優勝しても「関東一」なのだ。

じゃあ学生日本一はいつ?どこで決めるの?……それは「全日本大学対抗駅伝選手権大会」。その名の通り、全国の大学の代表(シード校+地区予選突破校の25校)が、大学日本一を賭けてタスキをつなぐレースである。今年第33回目を迎えるこの大会が11月4日、熱田神宮〜伊勢神宮間106.8kmのコースで開催された。6月に行われた関東地区予選を5位で通過した早稲田大学(注)。早稲田のメンバーは全員、2週間前に行われた箱根駅伝予選会に出場した選手。たった2週間のブランクでのレースは正直、精神的にも肉体的にもかなりツライものであっただろう。

まず1区は、大学入学後の不振からとうとう復活の狼煙をあげた中尾選手。第一工大・山梨学院の留学生が飛び出す展開の中、トップに67秒差の9位で2区・森村選手へ、3年生同士のタスキリレー。前回の箱根でも2区を任された森村選手は順位をひとつ上げて8位で中継所へ。「森村ラスト!」と声をかける3区・新井主将。6月の全日本予選突破の原動力となった新井主将は「魂の走り」で前を行く他大学との差を詰め、中継所手前では優勝候補の一角、順天堂を捕らえ、6位で4区・原田選手へタスキを渡す。

この4区・原田の活躍が出色だった。昨シーズンの低迷(全日本大学駅伝欠場、箱根では4区8位)から一転、今シーズンは春の関東インカレ・ハーフマラソンで優勝し、箱根駅伝の予選会でも個人4位と「早稲田のエース」の称号を背負うのに相応しい活躍を見せていた原田が、ここで、早稲田ファンでも目を疑うような快走を見せる。序盤は「順天堂4年生クインテット」の一人、坂井と併走。「順天の近くにいればテレビにも映るよなぁ、原田ぁ」なんて思っていたらCMの後、順天堂の隣りにワセダが居ない!後ろには日大・神奈川。まさか置いていかれた?と思ったら、何と前を走っている!その後も勢いは留まらず、山梨学院・法政まで抜いて、2位浮上!思わずテレビの前で「はらだ――――!!」と叫んでしまった(原田さん、呼び捨てにしてすみません)。

終わってみれば、区間2位の駒沢・神屋選手にも20秒差をつける区間賞。しかも、90年に記録された全日本駅伝最古の区間記録を、18秒も更新する区間新を樹立。走り終わった後には付き人の部員に笑顔で迎えられ、小さいながらもガッツポーズも見えた。今年の箱根では1秒もテレビに映らなかった原田選手だが、区間新のインタビューまで放送される大アピール。インタビューに答える原田選手の顔に充実感が伺えた。

注・関東予選突破校は専修大・帝京大・拓殖大・法大・早大。シード校は駒大・順大・大東大・山梨学院大・日大・神奈川大+推薦校の中大。

 

 
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