女子
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで進化する女子部
早稲田の女子は、ほんの数年前までは関東リーグの1部と2部を行き来していたチームだった。だが今年、その女子部が初の関東リーグ制覇、そして初の全国の舞台へ勝ち上がって来た。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いとはこのことだ。
今回女子部は「無心」「果敢」という2文字を掲げて王座に挑んだ。この言葉は王座への特別練習に入る前に部員からテーマを募集し、全員で決めたという。「初めての王座ということで不安もあったが、もちろん優勝を目指してやってきた」主将の加藤は語る。
女子の王座は関東リーグと違い、シングルスの数が減るため、さらに1試合1試合が重要になる。(注・関東リーグはダブルス2、シングルス5の計7試合。王座はダブルス2、シングルス3の計5試合)そのため、先に行われるダブルス2試合を制せるかが勝敗のカギを握ると考えられた。
練習ではダブルスの練習を重点的に行った。試合の分析など、高橋和子監督(昭38卒)や田村伸也コーチ(昭51卒)の指導のもと、徹底した練習や取り組みをしたことで、「王座の大舞台でも動じることなく、選手達はのびのびプレーできたように思う」(加藤)。
女子はここ数年、強力選手の加入でチームの層を厚くした。その中でも、高校総体ダブルス優勝の山中麻央(人1)の加入は早稲田にとって大きかった。女子にはあまり見られないセンス溢れるボレーテクニックとフットワーク。その山中の活躍もあって初戦、準決勝、決勝ともダブルスで2勝し、リードできたことがその後のシングルスにも勢いをもたらした。
圧勝での日本一!そして・・・
決勝の神戸松蔭女子大学戦、ダブルスNO.1がファイナルセットタイブレークにまでもつれ込んだが、「勝利の方程式」を死守。シングルスでは、NO.3の福井由佳(社学1)とNO.2の大見映理(人2)が粘りと根性で相手を圧倒、元気のよいプレーを見せた。大見は今大会全勝で最優秀選手になった。NO.1でインカレ準優勝の波形純理(社学1)は、今大会調子はあまり良くなかったが、彼女の存在なしでは「日本一」はなし得なかった。
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表彰式後、岐阜メモリアルセンターは「都の西北」の大合唱。
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終わってみれば、波形のケガでの棄権を除けば1試合も負けなしという圧勝での日本一だった。もし、ダブルスの1試合が負けていたら、この結果は得られなかったかも知れない。それほど「ダブルスでの勝利、勢いが団体戦では大切ということを実感した」という。
「応援があったからこそ勝てた。応援してくれるみんなのために絶対に勝ちたい」と話す選手達。「選手のプレーに感動し、頼もしいと思った」というサポートメンバー達。選手はサポーターを、サポーターは選手を信じ、「無心」「果敢」で戦った。強力選手の加入で日本一まで登り詰めた女子部だが、少しも選手達は孤立していない。「昨年、男子の試合を応援しに来て、来年は絶対、私たちもここに来たいと思って頑張って来た」という女子部。わずか部員15人だが、全員で戦い切ることができたからこそ、成し遂げられた日本一だ。
最後に、加藤は日本一の「その先」に目を向けた。
「女子日本一の本当の力が試されるのは、追われる立場になった時からです。これからは、本当に厳しい闘いになると思いますが、後輩たちならきっとやってくれると信じています。」
21世紀最初の大学王座は早稲田大学のアベック日本一という快挙で幕を閉じた。2003年に創部100周年を迎える「ワセダ最強の体育局」庭球部、その伝統の1ページに新たな歴史を刻んだ。
悲願のアベック日本一。早稲田の黄金時代がついにきた。
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