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早稲田大学復路総評

「上位争い!あと少しで優勝争い!!」。

文=小池史緒

第78回箱根駅伝 早稲田大学結果
1区 21.3km 中尾栄二(3年) 1時間04分36秒 区間9位
2区 23.0km 原田正彦(4年) 1時間08分35秒 区間1位タイ
3区 21.3km 森村 哲(3年) 1時間04分27秒 区間1位
4区 20.9km 新井広憲(4年) 1時間04分13秒 区間5位
5区 20.7km 五十嵐毅(2年) 1時間15分53秒 区間7位
6区 20.7km 相楽豊(3年) 1時間01分00秒 区間8位
7区 21.2km 空山隆児(1年) 1時間03分33秒 区間1位
8区 21.3km 植竹誠也(3年) 1時間06分57秒 区間6位
9区 23.0km 後藤信二(3年) 1時間10分22秒 区間4位
10区 23.0km 櫻井勇樹(4年) 1時間10分18秒 区間1位 [区間新記録]
往路合計   5時間37分44秒 4位(1分19秒差)
復路合計   5時間32分10秒 2位(3分23秒差)
総合成績 11時間9分54秒 3位(4分19秒差)



早稲田ファンの誰もが「もしかして」と期待して始まった復路


8時、神奈川大学のスタートから復路の幕は切って落とされた。開始早々駒大がトップに立ち、それを順天堂・早稲田・大東大が追う展開。往路優勝の神大は往復優勝に絡むことが出来なかったが、早稲田は常に上位争いに絡み、ファンを熱くさせた。

神大に遅れること1分19秒でスタートした復路、6区は相楽豊(人3)。区間2位の駒大・吉田がすばらしいコース取りで1位につくと、トップとの差は徐々に開いていく。19キロ過ぎには5位の大東大・金子に抜かれるもゴール寸前で抜き返し、区間順位4位で襷を繋いだ。トップとの差は2分34秒。まだまだ優勝争いに絡める範囲だと誰もが期待する。

7区に「スーパールーキー」空山隆児(人1)登場。出だしは大東・神大に離されるがが粘りの走りで追いつき、2校の間に強引に分け入る。3校による3位争いから早稲田・大東大の2校が抜け出して順天堂に肉薄し、順天堂・早稲田・大東大3校による2位争いへ。更に空山の強気な走りで早稲田・大東大による激しいデッド・ヒートへ持ち込むが、残り3キロで大東大・柴田に仕掛けられ2位に3秒差でゴール。空山は駒大・揖斐の三年連続区間賞を阻む1:03:33の走りで区間賞を獲得、チームの順位も3位に押し上げた。トップ差2分21秒。見た目にもあんなに闘志がみなぎる選手は始めて見た。空山の走りは、確実に後続に好影響を与えた。

波に乗った早稲田。8区・植竹誠也(人3)は大東大と2位争いで併走。しかし一方、4位順大・中川が詰め寄り一気に抜かれる。その後早稲田・順大による2位争いになるが11キロで中川が仕掛け、差はどんどん広がる。結局、区間順位は3位と健闘するも、トップとの差は広がり4分22秒に。追えども追えども思うようにトップ争いは見えてこない。

9区。後藤信二(理工3)は「一人でも走れる選手」と言われるように前を見据え快調なペースで黙々と走る。しかし1位駒大・高橋の好タイムによりトップ差は更に開いて5分14秒。後ろからは22秒と中大に詰め寄られ、逆に3位を追われる展開となった。


区間新記録での上位争いで最後まで激走!

後ろに中大を感じながらのスタートとなった10区・櫻井勇樹(教育4)。不安が募るが、それを裏切る快調なペースで、途中区間記録を上回る好タイムを連発。八ツ山橋ではトップ差4分55秒、2位順大に1分差と射程距離。その後もトップ差を着々と縮めたが櫻井の視界の中で順大がゴール。後一歩及ばなかったものの、区間新記録の1時間10分18秒で久々の3位、上位争いに大きく貢献した。

櫻井がゴールテープを切った瞬間、1年越しのリベンジは果たされた。落ちた名門、予選会からの復活。今年からはもう、そんなステレオタイプのイメージに振り回されること無く、優勝を狙う有力校として、再び他校に注目される存在になるだろう。名門からの脱却。多くの早稲田ファンが溜飲を下げた、至福の瞬間であった。早稲田はもう「古豪」ではない。「今」を懸命に走っている。

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