日本代表と主将、二つの顔を持つ久慈主将の素顔を追いかける、特別インタビューの後編です。　　（前編はこちら）
名門クラブの廃部など、日本のアイスホッケー界に迫りくる危機。久慈主将の考える「今日本のホッケーに必要なこと」とは――？

―世界選手権では、予選でオーストリアに敗れ、日本代表は三大会連続でオリンピックへの出場権を逃してしまいました。今後、出場するためには何が必要だと思いますか？
僕がそこまで考えてもいい人物なのかはわからないですけど、正直とにかくアイスホッケーの人気が出ないと。五輪に出場しないと人気は出ないのかもしれないですけど、まずは日本にアイスホッケーを浸透させないことには、オリンピック出場はかなり厳しいと思います。今の段階でどうこうしようとしても、結局は日本中が応援してくれているようなスポーツでないと、上にあがっていくのは難しいと思います。技術云々よりも。まず環境なのかな、というのは今更ですけどすごく感じますね。

やっぱりホッケーを見るきっかけがない人が、多いと思います。日本中にホッケーを知ってもらわないと、良い結果は地元開催でないと難しいかな、と思います。オリンピックに出ないから人気が出ないんじゃないか、と言っているようでは、ずっとこのまま何も変わらないのかなと思います。
やっぱり強いところは、ホッケーがとても人気のある国ばかりです。日本でも野球とかサッカーなど有名なスポーツ(の選手)は、海外で活躍しているしスポンサーもすごく多いですよね。

―海外のアイスホッケーを取り巻く環境は、どのようなものだと感じましたか？
とにかく観に来るファンの方の数や、ホッケーを好きな方がすごく多いです。日本にもいるのかもしれないですけど、やっぱり日本の人口を考えると、ほかの国の方が応援の人たちは多いと思います。東京はリンクも少ないですし。東京は、両手で数えるくらいのリンクがあってもおかしくないところだと思います。やはり大都市が盛り上がらないことには…。アメリカにしろ、ドイツにしろ、やっぱり大きなメインリンクと小さな練習用リンクがたくさんあるという環境なので。そこが第一に挙げられるところだと思います。
あとはやっぱり、たくさんの子供がホッケーを観に来ているということです。大人も、観るだけでなくて、遊びのホッケーをやっている人が多いです。

―アイスホッケーを題材にしたドラマがありましたが、効果はあったのですか？
正直ないですね(笑)。まぁ『プライド』観たよ、といわれたくらいです。やっぱり、ドラマで浸透させるのは難しいかなと思います。アイスホッケーはすごくお金のかかるスポーツであって、(選手の)親もすごく大変なので。サッカーのような道具が一つ二つですぐにできるようなスポーツではないんですね。やっぱり今の経済状況では、難しいのかなと思います。でもそんな中でも、何かきっと出来ることは色々あると思うんですね。でもなかなか、ドラマや映画だけじゃ難しい所はあると思います。

―久慈さんがＮＨＬに行ったらきっと…
(笑)。頑張ります、はい。

―ご両親はご活躍にどうおっしゃっていますか？
僕はお母さんっこで、母親の言うことは結構聞く方で、父親の言うことは聞かないんですけど(笑)。母親は常に「自分の好きなことをやりなさい」と言ってくれてます。まずは、自分の体のことを気にしなさいといわれます。今回(ニューヨークに)行くときも、自分が行かなきゃいけないと思うんだったら行かなくちゃいけないだろうし、経験したり行動したりすることに意味があるということを言ってくれています。一人の“影のアドバイザー”として、母はすごく大きな存在だと思います。
父は本当にしゃべるのが大好きなので、会話をするとすぐ「うるさい」となっちゃうんですけど(笑)。野球をやっていたので、言ってることはスポーツを通して言えば間違ってはいないので、気持ち的な問題などでは父からもアドバイスをもらっています。
この場だけですけど、二人とも本当に「自慢の息子だ」ということは言ってくれていみあす。僕は鼻を高くして天狗になるのではなく、生んで育ててくれた親への孝行として、少しでもホッケーで返せたらいいな、という気持ちがあります。元気にプレーしている姿を親に見せたい、という気持ちは強いです。

　　　　　　　　　　　　　　ソチを見据えて
　
―アイスホッケーを始めたきっかけとは？
姉が、幼稚園のときにホッケーをやっていて。「お前もやれよ」みたいな流れになったのがきっかけです。それが3歳のときでしたけど、結局端の方でスティックで雪を集めて雪だるまを作っていたっていう(一同笑)。ビデオにも残ってるんですけど。実質ホッケーを始めたのは4歳からです。幼稚園のアルバムを見ると、「将来の夢はアイスホッケー選手」と書いてあるので、その頃からホッケーが好きだったみたいです。

―2014年のソチ冬季五輪に出たい、という気持ちはありますか？
やっぱり出たい気持ちは、本当にあります。選んでいただけるように、ですよね。僕はもう物心ついたときから、とにかくオリンピックに出てメダルを取ることが、夢であり目標であるので、今はソチを目指して、自分のレベルを上げるしかないと思っています。まずは選んでもらう・もらわない、ではなくて、自分のプレーをどこまでソチのレベルまであげられるか、というところです。

―時期的にも丁度いい目標なのでは？
そうですね、年を考えても。チャンスだと思います。 　　　

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