「1人でやっているとどうしても怖くなってしまうんです」
これが上原あずさ(教2)の今シーズンだ。直属の先輩である土井翔太(平24、スポ卒)や安藤大地(平24、政経卒)が今年卒業し、競走部の棒高跳は自分1人に。これまでのように常に先輩がいる訳ではない。それは上原にとって「マイナスの変化」だった。
だが、そんな状況下において自己ベストを1年8か月ぶりに更新し、インカレ自身初の表彰台にも上ってみせた上原。マイナスの変化に相反するようにプラスの結果が出たのは何故なのか。
そこには部員の応援は勿論、卒業してもなお上原を支え続ける先輩たちの姿があった。その1人が笹瀬弘樹(平23、スポ卒)。棒高跳の早稲田記録を有している笹瀬は上原が目標とする大先輩だ。
笹瀬からのアドバイスは「跳躍でさかさまになった時、バーの手前に脚を持ってくるイメージで」。その助言を胸に試合を迎えた。
試合前・試合直後は思うように身体が動かなかった上原だが、跳躍を重ねるごとにリズムが出てくる。そして大学に入ってからなかなかクリアできなかった3m65と70をそれぞれ1回の試技で成功し、迎えたのは自身未達成の3m75。この高さを前に、上原は笹瀬の言葉を描き続ける。そして運命の時、1本目こそバーを落としたものの気を取り直して行った2本目で見事クリア。表彰台が確定した瞬間だった。
今大会早稲田勢初の表彰台に上がった上原にチームからは祝福の嵐。当日試合に居合わせていなかった笹瀬からも上原の報告に「俺も嬉しいよ」と返ってきたという。先輩への恩に応えることができた上原。「良かった」とほっと一息つけたに違いない。
上原はまだまだ大学2年生。だが、ビジョンは既に明確だ。「大学4年間で4m00を跳びたい」。そのために2年目の今年は3m80(=日本選手権A標準)を狙う。在学中に4m00を超すことができれば、待っているのは早稲田記録の更新だ(現在の女子棒高跳早稲田記録は3m90)。上原の描く青写真が叶う時、尊敬する大先輩にまた一歩、近づく。
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早稲田大学競走部公式サイト
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