(前ページの続き)−飛びながら考えているんですか?1秒ちょっとの間に?
「毎回毎回、踏み切りが違うんですよ。同じ踏み切りってのは普通できないから、常にズレる踏み切りに判断するために、その時には特に集中していなければならないんですよ。よく、みんなで言うんですよ、『よくあんな短い間にあんなに考えられるよね〜』って。だから、私の中では1秒よりずっと長いですね。いろんなこと考えてますよ。(笑)」
高飛び込みは10Mの高さから落下するとはいえ、時間にするとわずか1.2〜3秒といったところ。生で観るとその早さは予想以上で、回転数を見極めることさえなかなかできない。その間に、判断・修正を繰り返しながら演技を創っていっているということになる。ーで、着水してプールサイドまで泳ぐわけですが、泳ぎの方は得意なんですか?
「ぜんっぜん、ダメなんですよ〜。4泳法泳ぐのも無理ですね。高校の時も1年の頃は水泳部に顔出すように言われて泳いでいたんですけど、ついていけなかったんです(笑)。バタフライなんて、手が水面に出ないんですよ。(笑)」
−プールサイドまでは普通に平泳ぎやクロールで泳いでいるように見えましたが。
「めちゃくちゃですよ、実は(笑)。 一応、平泳ぎやクロールはできるとは思うんですけど、、、。でも、手は平泳ぎだけど、バタ足とか。犬かきが混ざったりとか。遊びで、背泳ぎでリレーするとか言われると、ほんとイヤなんですよね〜。泳ぐのはキライです。(笑)」
たいていの飛込み選手は水泳出身のため、概して泳ぐことに抵抗はない。ただ、彼女はもともと体操をやっており、飛込みを本格的に始めたのも高校1年になってからである。そのような事情もあり、今でも泳ぎは苦手だそうだ。世界水泳に出ていながら泳ぎがキライというのも彼女ぐらいだろう、、、。 初回インタビューでは、日本高飛び界を代表するアスリートである彼女の強い意志と高い競技レベルを随所に感じ取ることができた。しかし、小柄で語り口も穏やかな彼女は、普通の大学生としての印象の方がむしろ強かったように思う。これから年間を通して取材していく上で、そのギャップがどのように見て取れていくのだろうか。彼女の活躍同様、今から楽しみである。
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