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バスケ部主将藤野素宏6月号 

<バスケットボール部日記6月号>
TEXT=三原学(バスケットボール部主務)


6月9日(日)
 この日は早慶戦。僕にとっては人生最後の早慶戦。今まで一緒にやってきた皆に感謝の気持ちを込めて、戦場に赴く。例年のことながら、今回も接戦。「勝てるのか?」という言葉が皆の頭を過る中、コーチの倉石さんが的確にゲームを分析し選手に伝える。「いいか、冷静にな」。この局面だからこそ単純なことしか要求しないコーチ陣の姿勢に、僕たちは勇気をもらう。

 しかし終盤の局面で、主将藤野が退場。彼がいなくなった今こそ、「力」が試されることを皆が知っていた。そしてこの気持ちは、麻生の同点シュートで報われる。歓喜にあふれる場内。しかし試合は振り出しに戻る。

 

 延長戦、あと五分。ここからようやく「早慶戦」が始まる。一進一退の名勝負を勝ち取ったのは早稲田。94対92。勝利の瞬間、不思議と僕は冷静で「うれしい」とは思わなかった。ただ、バスケットの神様は気まぐれだが、しっかりそこに存在しているということを実感させられた一日だった。

6月11日(火)
 僕は火曜1・2限にバスケの授業TAをやってるんですが、実技生のみなさんが「早慶戦、よかったですね!」って反響がすごかった。見に来てくれたみなさん、ありがとう☆
早慶戦の次は「新人戦」があって、これは1・2年生のみが参加する大会なんです。そのため今日からは1・2年生だけで練習再開。人気のヨシノブくん(注:一年生の高木賢伸選手)も、ちゃんと出ますよ(^^)

6月17日(月)
 いやー、オフだね♪

TEXT=三原学(みはら・まなぶ)
早稲田大学男子バスケットボール部主務。人間科学部4年。
私立安田学園高校卒。
座右の銘は「自己犠牲」
「ただ好きだから(バスケを)続けてこれた」と語る早大バスケ部陰の仕事人。

6月19日(水)
 今日は新人戦の初戦。相手は東京経済大学。試合は勝ったけど、やっぱり1・2年生の即席チームだから、いつもよりぎこちない感じ。明日は大丈夫かな??

6月20日(木)
 青学とのベスト8決め。延長戦の末、青学に勝利をさらわれてしまう。スコアは84対92。勝たせてあげたかった。でも、試合に出たみんなはこれからの選手ばっかりだし、すごくいい経験ができたはず。おつかれ!またがんばろうぜ!

Pick Up!
がんばれ、麻生邦浩!

 早稲田の中心選手であり、今年4年となる麻生邦浩(人科4)が、6月9日の早慶戦を最後に退部することになった。理由は、就職関係による留学への準備のため。

 部員がこのことを知らされたのは、ほんの数日前。突然の衝撃にチーム全体が取り乱さざるを得なかったが、「それなら最後の早慶戦を最高の思い出にしよう」と一致団結した。

 早慶戦当日、全員が麻生お気に入りの背番号「9」を手の平に書き込んだ。「おまえら熱いよ!」いつもの調子で笑う麻生は、今日もここにいる。

 試合が始まれば、当然そこは筋書きのないドラマなはずだ。だが、ゲームは麻生を、そして高校時代から7年間彼とチームメイトであった藤野を中心に展開された。ゲーム後、部室で麻生が最後の言葉「みんなとバスケやれて楽しかったし、今日は本当に一生の思い出だよ」。戦った汗とともに、一筋の涙が流れていた。

 彼が部を辞める選択が正しいかどうかは、わからない。だが、僕らと麻生の間に真の「友情」がある限り、麻生を応援していきたいと思う。

 

 


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