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2002/11/2掲載 第5回

バスケットボール部主将 藤野素宏

 明大との接戦を94−91でものにした。早稲田は残り4分逆転を許した時間があったが、藤野は少しも焦ってはいなかった。

藤野素宏主将 

「ボールゲームには流れがあって流れが向こうにいっている時に1点しか取れなかったりしてたから、今度こっちに流れが来たときに逆転できるっていう自信はあったし、攻め急ぐっていうこともなかった。普通だったら3Pに頼ったりしちゃうんだけど、自分たちのペースでやれば絶対にいけるってみんな経験でわかってるから。」

 この試合、ガードは目まぐるしく変わった。4番藤野、12番山本、6番浅野、それぞれの持ち味が試合の流れをつくっていく。しかしベンチからの交代に藤野は首をかしげる場面もあった。自分に対する苛立ちなのか、それとも・・

「確かに調子は良くなかった。俺、首かしげてた?試合でまだ何にもできないで交代されちゃった時とかはそうだったかもね。」

 普段藤野はどんな試合の流れをつくろうとしてコートに立っているのか?

「うちのチームは攻めたがりの選手が多いから1対1をやりたがるんだけど、試合は1対1だけで勝てるわけじゃないしね。だから俺は他の奴らが1対1しやすいように、シュート打ちやすいようにしてやろうっていうのを、試合中の組み立てですごく考えてやってると思う。他のガードは2年生だから、俺にしかできないことはあって、ただ自分のプレーをすればいいっていうだけの存在じゃないから、目立たないところでどれだけ働けるかを大事にしてる。あと俺の一番得意なのはディフェンスだからね。まあ明治戦はちょっと取られすぎだけどね。」

 そこに同じガードの浅野が通りかかった。彼はチームで一番周りに気を配る選手だ。交代でベンチに下がった選手には一言言いに行き、コートに出て行く選手にはポンと叩いて送り出す些細なことではあるが、チームにとって彼の存在は大きいと私は思う。普段話す機会がないのでこのことを浅野に聞いてみると一言、「これが自分の仕事だと思ってますから」と言い残し、その場を去っていった。

試合の模様 

「縁の下の力持ちってことだろ」藤野は言った。まさにその通り。チームは試合に出ている人だけじゃなく、ベンチや練習その他いろんなところで支える人がいて、初めて成り立っていることを浅野の言葉を聞いて改めて実感した。

 そんないろんな人に支えられて存在しているチームは今、一部昇格の夢実現に向けて一直線。入替戦に進んだ。しかし二部リーグ2位通過という崖っぷちで戦っている。入替戦は二部リーグ2チーム、一部リーグ2チームの総当たりで行われるのだが、今の自分達のリーグの一位、二位の勝敗はリーグ戦の勝敗が適用されるため、大東大に負けた早稲田は痛い一敗スタートをしなければならないからだ。一部の拓大、青学に連勝しなければもう後がない、THE ENDだ。しかし彼はこう話す。

「一部昇格は春からずっと言い続けてきたことだからもちろん全力で戦うけど、俺はもし負けて一部に行けなかったとしても、ものすごくは落ち込まないと思うんだよね。一部昇格はチームの目標ではあるけど、それが自分のすべてじゃない。俺は4年だから今年一部に昇格してもそこで戦うのは後輩だしね。むしろ、これからあるリーグ関係なく戦う選手権の方が勝負だと思ってる。俺らが作りあげてきたこのチームが強いチームとやってどこまで通用するのか試してみたい。」

 藤野の目はもうその先を見ていた。そして、もっと先も見据えている。

「この先もバスケットを続けたいという気持ちにはなった。今しかできないことをやろうってね。」


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(TEXT=杉崎有紀・PHOTO=杉崎有紀、長友亮太)

 

 


 
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