君たち!そのスポーツは一体なんなんだい?姉さんに教えてくれ!とまぁ落ち着いて考えてみればそれは正真正銘の「卓球」なのだが…私の気持ちはそこまで高ぶっていたのだと思う。関東学生卓球選手権の男子シングルス準決勝は早稲田のエース下山隆敬と久保田隆三(共に社学3)の同士打ちだった。この日初めて卓球を観戦したからかもしれないが、私は目の前で繰り広げられるハイレベルな卓球ショーに釘付けになった。
ここはどこ?卓球のバッティングセンター!?そんなものがあるかどうかは知らないが、そんな感覚に陥るのも無理はなかった。下山マシンが放つ鋭い球でレシーブ練習をする久保田、久保田マシンのレシーブボールでスマッシュ練習を繰り返す下山、だんだんそんな図に見えてきたのだ。なぜその体勢で正確なレシーブができるのか、久保田は幾度となく下山の強烈スマッシュを正確に打ち返した。フワリと浮いた球は当たり前のように下山のコートに落ち、コンッと音を鳴らす。そして下山がもう一度戦闘体勢に入り、これではどうかと言わんばかりに久保田のコートめがけて叩きつける。下山のステップがドンッと体育館に響き、その球はやはり久保田のコートをきっちり弾く。そしてまた久保田が拾い上げる。
あの小さなボールに小さなラケット、小さな相手の陣地コート…私にはその光景が信じがたいものだった。この凄まじいラリーの展開になったとき、序盤は久保田のミスが出たところで決着がついていた。しかし、そのラリーが10回以上続くこともあっただろうか。後半は下山のミスショットが出るまで久保田が粘るようになっていた。
下馬評ではもちろん下山が優勢、過去の対戦経験は数えるほどあるが、身近な下山の存在が今まで久保田のタイトルを阻んでいたと言っても過言ではないようだ。今度こそリベンジ…虎視眈々と勝利を狙っていた久保田の集中力が途切れることはなく、セットオールの大激戦に持ち込んだ挙句ついにリベンジを果たした。試合後、さっきまでほとんど表情を変えることがなかった下山が納得と悔しさが入り混じったような笑みを浮かべて久保田を労っていた。一方の久保田はこの大勝利を大げさに喜ぶような姿は見せなかった。試合後すぐに「疲れたー」と口にしていたが、ついに果たしたリベンジをどうやって喜んでいいのかわからず、込み上げてくる達成感をしみじみと味わっているように見えた。そして、久保田にはこの勝利で間違いなく自信がみなぎっていた。決勝では終始果敢な攻めで相手を圧倒し、うれしい初優勝を収めたのだった。
熱い試合、その熱気で暑い体育館…(汗)今でもそこで感じた熱い思いは鮮明に私の中にある。ちなみに今回、久保田のプレーに関してはレシーブの妙技だけにしか触れていないが、もちろんそれだけで勝てるような簡単な試合ではなかったことを最後に付け加えたい。
関連サイト
卓球部・稲門卓球会公式サイト
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