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  Realvoice年間プロジェクト 

2009/6/21掲載 

競走部 江里口匡史 第1回

  1年間をかけて選手の“等身大の姿”に迫る企画「RealVoice」。2009年度に追いかけるのは、競走部の江里口匡史(スポ3)選手。高校時代から注目を集めた逸材は、大学入学後も全日本インカレ二連覇を果たすなど、自慢のスピードに更なる磨きをかけ、日々躍進を続けている。そして数々の世界大会が開かれる2009年、彼は一体どんな走りで新たなステージへの扉を切り開いていくのか。また、100mに懸ける彼の素顔、そこに込められた想いとは?
 第1回目となる今回は、今シーズンのこれまでを振り返ってもらうとともに、目前に迫った日本選手権への決意、そして、今までの競技人生や自分自身の「走り」について語って頂いた。



江里口匡史選手プロフィール
熊本・鹿本高校出身
スポーツ科学部3年
自己記録:100m 10秒34
200m 20秒88
 

――まず、2009年度シーズンのこれまでを振り返ってみての感想は? 
 シーズンが始まって二ヶ月位ですけど、最初の一ヶ月は週に一回ぐらい試合に出ていました。今年は関東インカレで100m、200m、リレーに出るって事前に決まっていて、3種目全てで結果を出すためにシーズンの最初から準備してきたので、結構試合数が多くて、あまり練習とかは出来ず、試合の調整をして試合に出てまた疲労を取ってまた調整してっていう繰り返しでした。それが五月になって関東インカレ本番になったときも、2週目は息切れしたというか力尽きた状態になっていたので、この二ヶ月を終わって満足のいくというか、自分の思い描いていた流れではまだ来てないというのが正直なところですかね。

――関東インカレの結果については?
 日本選手権の前で自分の力を判断できる基準というのは関東インカレの結果だと思っていたのですが、タイムでも順位でも自分の中で納得できない部分が多かったですね。

――関東インカレで思うような結果が残せなかった原因は?
 疲れもあったと思うんですけど、2週間にわたって試合に出ていく「タフさ」というのが足りなかったのかなと思います。元々、昨年も一昨年もケガであまり練習を積めてなかったんですけど、今年の冬は気になるケガもなく練習自体は積めていました。なので、(今年は)いけるかなという感触はあったんですけど、やっぱり実際に今年のインカレで走ってみると、2週間精神的にも肉体的にも自分を追いつめて競技していかないといけない中で、まだまだ大事なところで力を発揮する実力はなかったのかなと感じてます。

――走り自体の感触はいかがでしたか?
 第1週目は100mを3本だけだったんですけど、感触は良くて、スタートから中盤も走れている感じだったので、予選、準決勝と軽くいけました。決勝もその流れで中盤までしっかりスピードに乗せてそのまま最後までゴールしようと考えていたんですけど、予選、準決勝の割に決勝がすごい悪い感じになっちゃって…。調子も悪くなかったはずなんですけど、決勝で自分の思い描いていたレースが出来なかったっていうのがあります。

 

関東インカレで優勝した4継チーム。

――100mの決勝では、優勝した安孫子(充裕、筑波大)選手に先行される展開になりましたが、心理的な影響はありましたか?
 予選、準決勝と安孫子と一緒の組で走ってたんですけど、正直あそこまで決勝でスタートから出てくるっていうのはちょっと予想外だった部分もあったので、多分自分の中でも予想外のことで焦っちゃって硬くなった部分があったと思いますね。そこで自分の流れが作れずに、「気がついたらレースが終わってしまってた」というような感じでした。やっぱりそこをもっと自分の世界に入り込んで行けないと、いざスタートした時に周りを見て自分が慌てて失敗に陥るっていうパターンになってしまうと思うので、周りに影響されずに自分の走りに集中するってことが出来なかったのがあのレースだったと思います。

――それでも4×100mリレーでは優勝を果たしました。リレーについての評価はいかがですか?
 今回の関東インカレで唯一評価できるのが、4継の決勝の走りだと思いますね。リレーで1走だったので、もちろんスタートからトップで行くっていうことは考えていました。スタート前はすごく集中できていて、周りも特に気にならずただスタートの音と自分の体を反応させるだけに集中して、音が鳴ったと思った瞬間、そのまま動いて地面を押して進んでいったっていう感じがあったんですよ。自分の中でもあれは納得のいく走りだったと思えるので、ああいうレースを100mでもしなきゃいけないなっていう風にレース後に思いましたし、そういうものを自分で意識して出来るような選手にならないと、常に結果を求められるという時に結果が出せないだろうなっていう感じがしました。

――話は戻るのですが、以前4月の織田記念での予選(追い風参考記録ながら10秒20をマーク)の走りが良かったという話を聞きました。
 今まで、あまり自分は「型にはめる」っていう走りをしなかったんですね。以前はスタートから中盤は自分の中で意識せずに自然体な感じで出てそのまま加速していくっていうイメージだったんですけど、織田記念の前から中間疾走になってからのイメージをちょっと変えていたんです。今まで足の回転がやや楕円気味、オーバーストライド気味になっていた感触があったので、それをもうちょっと縮める意識で、その足の回転を楕円よりは円に近付けるイメージで走ろうと考えていました。練習でもそういうイメージを持って取り組んでいたので、スタートしてその自分の描いているイメージ通りの動きが出来るかどうかあの試合で試そうと思っていました。それがすごく良く出来て実際結果も出たので、走りの感触自体も良かったんですけど、「タイムが出ちゃった」っていうよりは、「自分で出してやった」っていう感覚が強い一本でした。あの走りが今後の自分の基本、基準となる走りになると思うので、今もアップ前のイメージとかは大事にするようにしています。

――ユニバーシアード(7/7〜12、ベオグラードで開催)の代表にも選出されましたが。
 シーズンの最初から特にユニバーシアードの出場権を獲得するために走っていたわけではなく、自分の中での一番の目標は世界陸上なので、ユニバーシアードはその過程でないといけないと思っています。でも、選ばれたのは自分としても嬉しいことなので、本番ではその先につなげられるような走りと結果を出したいなと考えています。


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(TEXT、PHOTO=岡崎聡)

 

 


 
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