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2009/6/21掲載

競走部 江里口匡史 第1回




前のページより)


 
江里口匡史選手の主な実績
  07、09年関東インカレ 2位
  07、08年全日本インカレ 優勝
     07年日本選手権 5位
08年日本選手権 7位

――陸上競技を始めたのはいつですか?
 小学校に陸上クラブがあって、小学校4年生の時から所属はしていたんですけど、2kmとか3km位の小学生のマラソン大会に出場したりと長距離走ばっかりだったんですね。短距離の試合に出たのは、5、6年生の時にそれぞれ一回出ただけです。なので、あまり小学生の頃から陸上をやってたっていう感じはなくて、クラブ自体も遊び感覚でやることが多いところだったので、競技がつくような陸上を始めたのは、中学生からですかね。

――数あるスポーツの中で、陸上競技を選んだ理由は?
 元々自分のいた小学校の中で足が速かったし、球技もあんまり得意じゃない感じがしていたので。走ることは好きだったので、陸上が一番向いてるかなっていう感じがして陸上部に入りました。

――陸上を始めた頃から、ずっと100mをやっていたんですか?
 そうですね、今考えてみればずっと100mをやってましたね。1、2年生の頃は100mしか出たことなくて、3年生の時に初めて200mを走ったんですけど、すごいキツくて(笑)。あの足に乳酸がたまっている感じが嫌で嫌で、それ以来とにかく長い距離を走るのが嫌だって思ったので、ずっと短い距離だけをこだわってやってました。中学生の頃は、自分が100mに向いてるっていうよりは、どちらかというと、100mが一番走った後に疲労感がないし、キツくないからやっていたという感じでしたね。

――今までで印象に残っているレースはありますか?
 高校で言うと、一番印象に残ったのは3年生の時の国体ですかね。あの時は末續(慎吾、ミズノ)さんが一緒に熊本県の代表として出てくださって、4×100mRで同じチームで走ったんです。僕が中学生の頃から末續さんはテレビで見続けてきた存在だったし、自分の中で一番憧れている選手でもあったので、その人と同じチームで走るってことが嬉しくて、そして優勝することが出来たので、それが一番記憶に残ってます。あの時はチームだけでなくて、一緒に来ていた国体の熊本県選手団のみんなもすごく喜んでくれて、あの一体感というかみんなで喜びあったのがすごい印象的でしたね。やっぱりああいう瞬間があるから、自分は今も陸上をやっているんだろうなと思います。

――やはり、同郷の先輩でもある末續選手には憧れがありましたか?
 ありました。僕が中学校3年生の時にパリの世界陸上があったんですけど、そこで初めて日本人短距離選手として初の銅メダルを獲得したんですね。その時テレビで見ていたんですけど、それを見て初めて陸上選手っていうのがカッコいいなと思いました。この人のように自分も速く走りたいなって思って、そこから自分の中で陸上に一途になったというか、一直線になっていった感じはありますね。

――陸上選手として転機となった時期は?
 僕の中で一番意識が変わったなと思ったのは、高校2年生だと思いますね。高校2年生でインターハイに出て、それが人生で初めての全国大会だったんですけど、7位に入賞して、その時「こんなもんで入賞できちゃうんだ」っていうか、「もっと上に行けるんじゃないか」って思って、そこから陸上競技に対しての考えや、行動が変わったと思います。練習でも自分で考えて色々試してみたり、先生に対して色々な疑問をぶつけるようになったのもその時期からだったので、あそこで一度結果が出たことがその先に影響を与えたなとは思います。


 

長距離走は昔から嫌いだったという。

――100mへのこだわりは?
 今は単に距離が短いからっていうわけじゃないんですけど(笑)、やっぱり陸上競技の花形なので。一番短い距離、100mをいかに速く駆け抜けるかっていうところに魅力を感じますし、今まで積み上げてきたものもあるので、こだわりは自分の中でありますね。

――陸上競技を見ることは好きですか?
 好きですね。昔から陸上競技しかやってないような人間なので、つい自然と見てしまいます。レース展開を見て単純に面白いなとか、レース前の選手達の心境を考えたらどうなんだろうなとか、予選の流れを見てこういう選手は精神的に優位なんだろうなとか色々考えたりするのが面白いので、競技している時だけじゃなくて、その背景とか結果とかを見て色々照らし合わせながら見るのが好きですね。

――昨年の北京五輪はどんな思いで見ていましたか?
 北京五輪といえば、やっぱりリレーですよね。リレーのメダルは本当にすごいなと思いましたけど、やっぱり自分も走りたかったなっていう思いがどこかにあったので悔しかったですね。実際代表にも選ばれてないので、全く手の届かなかったっていう結果で終わっているんですけど、見た時の気持ちはその後の行動に影響を及ぼすと思うので、他人事じゃなくて自分に置き換えて考えていました。すると自然と悔しさっていうものも出てきたし、自分の気持ちは日本代表になるってことをどんどん欲していると思うので、今年はもうテレビで見るのは御免です。

――陸上競技の魅力はどんなところだと思いますか?
 陸上に詳しい人でも詳しくない人でも、単純に見て楽しめる部分があるっていうことだと思います。もちろん知識がある人は色々な見方が出来るので面白いと思いますけど、知識がない人でも、例えば100mの決勝を見たら、やっぱり単純に見て速いじゃないですか。槍投げとか投擲種目でも、人間がこんなに物を飛ばせるんだみたいな驚きがあると思うし、見る側からの陸上競技の魅力で言えば、そういう点じゃないですかね。

――競技者側としての魅力としては?
 記録の更新って、やっぱり100分の1秒でも更新したら嬉しいんですよ。自分が求め続けて積み上げてきたものが結果として出た時の達成感というか、そういうものっていうのは嬉しいですね。勝った負けただけじゃなくて、自分の中での基準を作ってそれをクリアしていくのが、タイムや記録で目に見えるというか、誰にでもわかる指標があるので自分でも判断しやすいですし、客観視できるところが魅力の一つだと思いますね。

――江里口選手自身の性格は、陸上競技に向いていると思いますか?
 どうですかね…(笑)。陸上しかやってないので、自分が他のスポーツをやってるってイメージがどうしても出来なくて。例えば今の自分が他のスポーツに行ったとしても、絶対向かないと思うんですよ。要は、自分のことしか考えずに、周りを見ず前だけしか見てない状態でずっと競技してきたので、自分が陸上競技に向いてるというか、自然と「陸上競技向きの性格になっている」と思いますね。

 

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(TEXT、PHOTO=岡崎聡)

 

 


 
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