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早大にとって和田の存在は計り知れなく大きい
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そして迎えた今季第3節の対法大3回戦。それまで433奪三振の和田はこの日も快調に三振を重ねる。1安打無失点に抑え続け9回裏、澤村に同点ホームランを打たれるも、法大の主砲・後藤相手に見事444個目の三振を奪取。登板56試合目での記録達成。しかしその直後、河野にサヨナラホームランを打たれ、記念の試合を白星で飾ることはできなかった。試合後の「奪三振記録よりも、試合に負けてしまったのが…」とのコメントが、記録に溺れない和田の謙虚さをよく表していた。
私は今春、リーグ開幕前に和田投手を取材する機会があった。その際に彼は“奪三振”についてこう語っていた。「最初から三振を取ろうとは思っていないんです。2ストライクまで追い込んだら狙っていこうかなとは思っています。自分は狙ったら全力で投げるタイプですね。ピンチで三振が欲しいケースでは三振を狙いにいきますが、基本的に打たせて取った方が投球にリズムが出て、バッティングにも繋がります。だから、三振は取れればいいかな、と思うぐらいですね」。意識せずに取り組んだ結果が奪三振記録の更新に繋がったといえるだろう。
この記録達成には自身の努力や素質はもちろんのこと、同年代のライバルたちの存在も大きい。立大の多田野、法大の土居、そして慶大の長田。和田を含めた彼らは互いに認め合い、闘争心を燃やしてぶつかり合ってきた。近年稀にみるハイレベルな投手が4年生となる今年、和田はライバルと競い合うことによって、着実にステップアップしていった。また早大の場合、藤井以降3年連続でプロ野球選手を輩出してきたという経緯がある(藤井投手以下、鎌田投手、江尻投手)。和田はこの3世代に渡る先輩たちを常に見て練習を重ねてきた。この記録はライバルや先輩なしには決して達成できなかったと言えるのではないだろうか。
通算奪三振記録を達成した今、目の前にあるのは52年ぶりのリーグ戦春秋連覇だけとなった。残るは11月2日3日の早慶戦のみ。優勝すれば、明治神宮大会に出場が決定する。和田が神宮球場で次々に三振を取る勇姿を少しでも多く見るためにも、優勝は必要十分条件であるのだ。(文中敬称略)
和田毅投手 リーグ戦全成績(2002年10月28日現在)
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試合
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勝数
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負数
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回数
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奪三振
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自責点
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防御率
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99年春
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99年秋
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4
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0
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0
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5
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4
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1
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1.80
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00年春
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10
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5
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4
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59 2/3
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88
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18
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2.72
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00年秋
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8
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4
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1
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46 1/3
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62
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8
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1.55
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01年春
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10
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5
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2
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62 1/3
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80
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11
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1.59
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01年秋
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10
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4
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3
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67
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71
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8
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1.07
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02年春
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10
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4
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1
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64 1/3
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95
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4
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0.56
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02年秋
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8
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4
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2
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51
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66
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3
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0.53
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計
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60
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26
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13
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355 2/3
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466
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53
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※99年春季はベンチ入りせず登板なし。02年秋季は早慶戦前の第6節までの成績。
注目すべきは1年次にはほとんど奪三振を記録していないこと。和田の奪三振記録は2年春からの2年半余りでの快挙となる。ケガなくフル回転したことも大きい。 |
2/2
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