『点の取れるFW=高森』と並んで早稲田に欠かせなかったのが、炎のタックラー、羽生(理工4)川上(教3)の両FL陣だ。今季の早稲田ラグビーの象徴とも言える存在となったこの2人。昨季もレギュラー争いを繰り広げ、互いにスキルアップし、スーパールーキーNO8佐々木(人1)とともに不動のFW第3列を形成。今季川上は怪我で夏場まで大きく出遅れたものの、シーズン中は、両者とも鋭い出足で相手をファーストコンタクトで止めるシーンを幾度となく見せてくれた。
高森、羽生、川上らFW8人が頑張りを見せたスクラム。それをバックアップしたのが、後方に控えるBK陣。特にSH田原(人4)SO大田尾(人3)のHB団は、『継続ラグビー』を真骨頂とする早稲田の生命線となった。スクラムからボールを受ける田原が繰り出すパスは今季さらに安定度を増し、それを受け
る大田尾は広い視野からボールの出しどころを的確に判断し、アタックの起点を作る司令塔の役割を十分すぎるほど果たした。FBからSOにコンバートされた昨季はプレー中に戸惑う場面もあったが、SOというものを理解してきた今季、田原との連係プレーは学生最高レベルといっても過言ではなかった。特に、大学選手権決勝で見せたサインプレーを日本選手権で社会人相手にも使い、トライに結びつけたことは、サインプレーが戦術として定着してきた証だ。今年はパスではなく自らアタックする機会も増えた大田尾の成長は、早稲田の大きな脅威となった。
上記では書ききれなかったが、山下組には、他にも個々に自分の持ち味を出し活躍した選手・スタッフが多くいることを忘れてはならない。
主将・山下が決まってからちょうど一年後の2月11日、来季の新体制が発表され、主将に大田尾、副将には川上が選ばれた。清宮監督3カ年計画のラストシーズンを迎える2003年。今までは目標だった大学日本一が最低条件へと変わり、社会人に勝てるチーム作りが命題となる。1年目は『改革』、2年目は『進化』、そして3年目は…。来季も早稲田のラグビーから目が離せない。(文中敬称略)
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