注目は、1区を走るであろうと思われていた中尾がメンバーから漏れたことである。集団での走りには定評があり、昨年もトップと15秒差といういい流れで2区につなげた実力者だけに、中尾が走れないことは非常に大きい。その穴を埋めるべく1区に起用された篠浦の頑張りを期待したい。スローペースになりがちな1区で、持ち味である後半のスピードで早稲田の流れを作って欲しい。
花の2区には森村が配置された。森村は2年のときにも2区を走り区間12位と沈んだが、この時は佐藤敦之(現・中国電力)の故障によって代役として走ったもの。1万メートルで一流選手の証といわれる28分台を出し、実力で2区の走者となった今回。松下(駒沢大)、モカンバ(山梨学院大)といった各校のエースがそろう区間で、そのリベンジを果たして欲しい。また、箱根最大の難所である5区の山登りには3年連続で五十嵐がエントリー。1年の時は9位、2年では体調不良の中での7位と安定した走りをしている。3回目となる今回は経験を生かした積極的な走りをしてもらいたい。
「早稲田のスーパールーキー」としてデビューした空山は再び7区に登録された。前回箱根における区間賞、春のインカレ5000メートルで優勝とその実力は折り紙つきであるが、秋シーズンに入ってからは出雲で区間12位、伊勢でも区間10位といまいち冴えがみられなかった。ルーキーの時にみせた、選手と選手のあいだを割り込んでいく、がむしゃらなまでの力強さのある走りを期待したい。
今年のチームは9区の「裏エース区間」に経験者の後藤をもってくるなど、かつての往路重視の作戦ではなく、往復路通して総合的に戦おうとしている。箱根経験者が5人しかおらず、経験という点では不安が残るも、そこはチーム全体で補っていくよりほかない。「古豪復活」から再び「名門」へ向かって。臙脂の絆を繋ぐ彼らを応援しよう。
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