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  米式蹴球部特集「有泉彰人主将インタビュー」
有泉彰人主将のプロフィールはこちらへ。

 創部69年目の昨年、早稲田大学米式蹴球部BIG BEARSは、長年苦しめられてきた法政という大きな壁を打ち破り、ついに関東大学選手権『クラッシュボウル』を初制覇。悲願であった東西大学王座決定戦『甲子園ボウル』に創部以来初出場を果たした。

 あれから5ヶ月。BIG BEARSはまた新たなる戦いに立ち向かおうとしている。『米式蹴球部BIG BEARS特集』初回の今回はLB関谷前主将からチームを引き継いだ今季主将のDL有泉彰人選手に、早稲田でフットボールをやろうと思ったきっかけから春シーズンに控える試合に至るまで、今の心境を伺った。


元々は早稲田に行くつもりはなかったんです

大学入学前から江戸川学園取手高校でフットボールを経験していた有泉主将。今でこそこうして早稲田大学の主将としてプレーをしているが、実は元々早稲田でフットボールを続けようと考えていたわけではなかったという。「高校では部員数も多くなく、決して強いチームではなかったので、大学では強いところでやりたいという気持ちがありました。僕が高校2年のときに立命館大学が大学日本一になったので、それからは実は立命館にスポーツ推薦で入ろうと思っていたんです」。しかし、目指したスポーツ推薦は失敗。それでも立命館でプレーすることを諦めなかった。立命館の一般入試を見事突破。「関東の私大も」ということで受けた早稲田大学人間科学部の合格も手にした。「正直、立命館と早稲田を選ぶときにはかなり悩みました。でも、同じ代で波木(注1参照)という関東を制したQB(注2参照)が入ってくるということを聞いたので、早稲田でも日本一を目指せるのではないかと思ったんです」。

「日本一」という命題

高校時代から夢見ていた「日本一」。有泉主将を始めとする米式蹴球部は、今年のチーム目標を「日本一」とした。「昨年甲子園ボウルに負けて達成できなかった目標を遂行するために。去年とチームは変わりましたし、関東制覇ですら楽勝だとは全然思っていないんですが、目標は常に高くということで」。去年とは同じチームではない。では、一体何が変わったのだろうか。「一番は選手の意識。立命館と戦って、今まで通りやっていては勝てないという、しっかりとしたものが去年いたメンバーにはあるんです」。また、それ以外でも環境面の充実、特にポジション毎に経験豊富なコーチングスタッフが充実したことを有泉主将は挙げた。そんな背景の中、今まで主将としてやってきた成果について聞くと「今年は4年生が引っ張るチームではなく、個人の自主性を重んじています。早稲田は立命館のように特薦(注3参照)で来たメンバーで戦うのではないので、選手層を上げる意味ではスタメン以外のメンバーも置いていくわけにはいかないんです。そのために自主性を重んじたメニューを組み、個人の裁量に任せる時間を増やし、最低限の縛りの中で練習してきました」と語った。

主将として、一人のプレーヤーとして

自主性を重んじることで主将に就任してからチーム作りを行ってきた。その「主将」という役割について、有泉選手はこう面白く分析した。「主将は一番勝ちたいと強く思っているのが仕事で、リーダーシップがなくても、一番プレーが上手くなくてもいいと思ってるんですよ。一番日本一になりたいという気持ちが強いから、僕が投票で主将に選ばれたんだと思いますしね」。全体を見ることが主将の責務の一つではあるが、有泉彰人という一プレーヤーとしての存在も忘れてはならない。4年生になった今年は、DL(注4参照)の柱、ディフェンスの柱として周りを鼓舞していかなければならない。「早稲田のスターでありアスリートは波木なんですが、昨年はオフェンスがある程度点を取ってくれたから勝てたようなもので、ディフェンスは消極的でした。今年はディフェンスから勝とうということで、積極的にターンオーバーを狙っていきますよ。毎試合3つターンオーバーすれば、うちの攻撃力ならば勝てる。とにかく『前へ前へ』です」。(次のページへ)

語注
(注1)波木=QB波木健太郎選手(法4)のこと。今年7月にドイツで行われるW杯日本代表候補に大学生で唯一選出されている。BIG BEARSになくてはならない存在。
(注2)QB=クォーターバックの略。アメフットの攻撃すべての起点でありチームの司令塔。
(注3)特薦=特別推薦の略。BIG BEARSは今年創部以来初めてスポーツ推薦制度を導入し、QB新田洋選手(スポ科1)らが入部した。
(注4)DL=ディフェンスラインの略。OL(注5参照)の選手と対峙するポジションで、ボールを持っているプレーヤーを倒すことが主な仕事。OL以上にパワーとスピードを兼ね備えている選手が多い。
(注5)OL=オフェンスラインの略。オフェンスのフォーメーションでいわゆる「前線」を構成し、QBがパスを投げられるように、相手ディフェンス陣からQBを守るのが主な仕事。

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(TEXT=長友亮太、PHOTO=長友亮太、小森誠之)

 

 


 
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