2006年1月2日、3日の2日間にかけて行われる箱根駅伝の区間エントリーが、12月29日に発表された。早大は14名の各区間、補欠を合わせてエントリーされた選手のうち、4選手が1年生であるなど若い力が目立つのが今大会の特徴である。また特に往路は自己ベストが高く、今季活躍が目立った選手を多く配置しており、序盤で上位に食い込み、余裕をもってレースを進めたい意思がみてとれる。
なんといっても注目は、1区の阿久津圭司(スポ1)と2区の竹澤健介(スポ1)の1年生同士のたすき渡しだろう。1年生ながら1万メートル28分37秒と早大で唯一28分台を持つ上、勝負強い竹澤は、かねてから各校のエースランナーが集う2区への起用が濃厚であった。その竹澤と並ぶ選手に成長を期待され、箱根駅伝予選会ではチーム内4位と健闘した阿久津を1区に置くことで、レース序盤に出遅れることが多かった例年のセオリーを覆したいところである。3区には坂口享(政経4)がエントリーされているが、平地に強く今季は箱根駅伝予選会をチーム内3位と好走した本多浩隆(スポ2)か11月の上尾ハーフマラソンで自己記録を更新し本来の調子を取り戻しつつある原英嗣(人4)に当日変更される可能性が高い。特に、2年の本多は「まだ長い距離をひとりでペースを作って走るのが苦手」としているだけに、1区、2区の1年生たちが他校の選手がみえる位置で3区につなぐことが、3区攻略のカギになるだろう。
往路のみ小田原中継所の位置が変更され、18.5キロと今大会最短コースになった4区には、藤森憲秀(スポ3)、23.4キロと最長コースの5区には抜群の安定感を持つキャプテンの高岡弘(人4)がエントリーされた。アップダウンに強い藤森は5区への起用も期待されたが、過去2年4区を走った経験を生かし、昨年よりも短くなった新4区をうまく乗りきることが求められる。また、以前のように「山登り」だけではなく、長い距離を走れるといった総合力を求められる新5区は、各校が「花の2区」以上に勝負所と位置づけ、エースを配置する区間となった。5連覇を狙う駒沢大はキャプテンの村上和春、駒沢大に並ぶ優勝候補である東海大は伊達秀晃、前回大会で区間記録を塗り替えた順天堂大の今井正人をはじめ、各校のエースランナーが揃った。2区以上に熾烈な争いが予想される新5区に挑む高岡は、レース状況に対応した的確な判断が求められよう。
復路では、6区と7区が特に重要な区間と考えられる。前日の往路で上位に立つことができれば、スピードが要求される6区、平地での走力が求められる7区で後続のチームを更に引き離す必要があり、出遅れてしまった場合でも復路の序盤で前との差を詰めることで次につなげることができるからである。そういった意味でも、長い距離にまだ適応されていないと考えられていたが、12月に1万メートルを29分29秒にまで押し上げた高橋和也(スポ1)は期待が持てるだろう。高橋の代わりに宮城普邦(一文3)が当日変更されることも考えられるが、どちらの選手でも高順位で走りきることが可能だろう。7区は宇佐美淳(人4)がエントリーされているが、本多か原に変更される可能性が高い。特に、原は2年連続で7区を走っていることからも、原が有力と考えられる。
8区、9区、10区は、昨年度のようにシード権争いに加わった場合、勝敗を左右する区間である。8区は小島将平(スポ2)、10区には石橋洋三(スポ2)がエントリー。ただし、両者とも実力はあるが今季は調子が今ひとつ上がらなかったこともあり、レース展開や個人の調子によっては宮城か勢いのある1年生の三輪真之(人1)に変更されることも考えられる。そして9区は、冷静な判断によって昨年度同区間を4位と好走し、シード権がみえる位置にまで押し上げた河野隼人(スポ3)がエントリー。ロードが得意な選手なだけに、長い距離を粘り強く走ることには定評がある。
例年以上に層が薄いといわれた今季だが、その分ひとりひとりの責任感が増し、大舞台に挑むことができるようになったのがこのチームの強さでもある。各自調整を合わせて、悔いの少ないパフォーマンスができることが、チーム全体が満足のいく結果をもたらすことにつながるだろう。まずは、全区間たすきがつながるように、そして最終ランナーを笑顔で迎えられることを期待している。
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