第82回箱根駅伝。往路では山梨学院大学・モグスの12人抜き、一年生ルーキー東海大・佐藤の区間新など各区間でエースが話題をさらった。優勝争いは「山のぼり」の5区で順天堂大学・今井が昨年に続くごぼう抜きで駆け上がり首位に立つととそのままゴールテープを切り、5連覇のかかる駒沢を筆頭に「復路の順大」を追いかける展開で復路を迎えることとなった。一方早稲田は勢いのある選手を送り込むもペースが上がらず往路をトップとの差5分12秒の9位で終えた。復路ではシード権争いに加わることから着実に繋ぐ走りからのシード権奪取が期待された。
堅実な走りでたすきをつなぐ
通称「山くだり」と言われる6区。カーブが急なうえにスピードが速いため、足への負担はもちろんコース取りなどの高度なテクニックが選手には要求される。首位グループではこの6区を効率よく下った山梨学院が2位に浮上するものの順大が快調に首位で箱根の風を切っていった。早稲田については、この区間を任されたのは高橋和也(人1)。順位は一つ落としてしまうものの堅実な走りの10位でたすきをつなぐ。後ろには法政大が区間2位の走りで早稲田の36秒差まで詰めてきた。
7区。選手右から差し込む強い湘南の日差しが選手の体温を上げる。この区間でたすきをあずかったのは原英嗣(人4)。大磯付近で自らのゼミ仲間の声援を受け、9位グループで大東文化・法政大と9位争いを演じる。平塚中継所直前で9位グループを抜け出すと、前を行く東海大もかわしてたすきリレー。区間4位の快走で順位を8位まで押し上げた。一方首位グループでは引き続き順大がトップをひた走り、後続に2分53秒の差をつける一人旅であった。
徐々に差を詰められる中盤
8区。ここまで順調に首位をひた走る順大であったが、戸塚中継所目前にして順大・難波が脱水症状をおこして失速し大ブレーキ、一気に駒沢・亜細亜・山梨学院が順大をかわして戸塚中継所に飛び込んだ。駒大に遅れること2分の間に4校がひしめき合い優勝争いは混戦模様となる。一方早稲田は小島将平(スポ2)がたすきをうけた。ペースが上がらず東海大・法政大にかわされるもののシード権を争う11位とは2分近く引き離し戸塚中継所で待つ河野隼人(スポ3)にたすきを託す。
9区。河野は昨年も9区を走り順位を押し上げて10区に繋げただけに、良い流れで10区につなげることが期待された。一時は後続と差を縮められるものの表情には余裕があり、鶴見中継所まで順位を落とさなかった。首位争いは、今年もここまでひたひたと上位に食い込んできた亜細亜大の山下が自ら志願して走るこの9区で駒沢をかわしてトップに立ち、優勝候補筆頭に躍り出た。
惜しくもシード権を逃す
最終10区では各校の準エース級のランナーが凌ぎを削り、めまぐるしく順位が変わる区間である。早稲田は9位でたすきをつなげるものの、10秒遅れて日体大、続く1分以内にも3校が含まれるなどシード権争いは熾烈を極める。その中で早稲田のたすきを受け取ったのは当日エントリー変更された三輪真之(人1)。勢いのある1年生だけにこのままゴールまで行くことを期待されたが、続く日体大・熊本、東洋・渡辺など力のある選手にかわされると、じりじりと順位を下げ、13位の1時間19分10秒で第82回箱根駅伝の戦いの幕を閉じた。4年連続のシード落ちであった。総合優勝を飾ったのは亜細亜大学。初出場から40年目、29回目のこの第82回箱根駅伝で初の総合優勝であり、東海優位、駒沢の5連覇か、などの下馬評を見事にひっくり返した。飛びぬけたエースがいないながらも各区間で堅実なレースを展開し、崩れる上位校を横目に9区・山下が勝負を決めた。またシード権争いでは、日体大・東洋大の9位グループに城西大・高岡が区間1位の走りで猛追し一時は並ぶものの最後は引き離され15秒差でシード権を逃すなどのドラマがあった。
今季早稲田は10人中4人の1年生がたすきをつなげた。若い力の台頭は早稲田の今後の飛躍を期待させられる。来季も予選会からの厳しい状況となるが、来年箱根の風を切る姿に期待したい。
2006年第82回東京箱根間往復駅伝競走 復路個人記録
区間 |
氏名 |
学年 |
学部 |
出身 |
個人記録 |
区間順位 |
6区 |
高橋和也 |
1 |
スポ科 |
埼玉・春日部東 |
01.01.17 |
16 |
7区 |
*原 英嗣 |
4 |
人科 |
兵庫・加古川東 |
01.04.24 |
4 |
8区 |
小島将平 |
2 |
スポ科 |
大阪・清教学園 |
01.06.39 |
11 |
9区 |
河野隼人 |
3 |
スポ科 |
愛知・中京大中京 |
01.12.51 |
16 |
10区 |
*三輪真之 |
1 |
人科 |
石川・星稜 |
01.15.21 |
19 |
*は当日エントリー変更 |
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