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  2年前の春の日体大記録会、1万メートルのレースを走る2年生が印象に残っている。まだ長い距離が苦手なのか、5千メートル程度でスピードが落ちてしまう。だが1ヵ月後は6千メートル、また1ヵ月後は7千メートル以上勢い良く走ることができた。次の記録会までに必ず記録を伸ばす、日々の努力を想像させる選手だった。その2年生が今季の駅伝主将、高岡弘だ。3年生になってからは安定した力を発揮し、練習でもレースでも常に先頭を引っ張っていた。そんな彼は、どんな気持ちで最後の箱根駅伝に挑むのだろうか。




高岡選手。
 

高岡弘選手プロフィール
早稲田大学人間科学部スポーツ科学科4年
川越高・埼玉県
出身
1万メートル自己ベスト・29分35秒01

――今季はキャプテンの役割も担っていましたが、高岡くん自身はこの1年はどんな年でしたか。
 まだ箱根(駅伝)が終わっていないから何とも言えないけど、前半戦は本当に最悪。でも後半になって、もう1度やってみようと思えたのはみんながいたからだし、そう考えると良い年でした。

――前半が最悪とは?
 (昨年度の箱根駅伝が終わり、チームが新体制になった時)とりあえず何をやればいいのか分からなかった、特に僕の場合。実力のある昨年度の4年生がごっそり抜けてしまったので。とりあえず、春のトラック(レース)前のロードレースが、直接箱根駅伝のスタートになる訳で、「ロードを大切にしていこう」って言ってたのですが、良かったのは一部の選手。自分は(結果が)良くない方に入っていて、ロードもトラックもだめで、半年以上…棒に振ったわけではないけれど、個人的にもがいてましたね。

――結果が出ないと不安になりますね。
 そうですね。結果が出ないことに焦りがあったし、(チームの)みんながついてきてくれなかったら…と思いました。でも(昨年度のキャプテンの)杉山(一介)さんは故障続きだったのにキャプテンとして頑張っていたことを考えると、同じ立場に(自分が)立った時に「すごいな」と思って。だから、走れうようになれば余計にみんながついてきてくれるかなと思って、夏からは気持ちを入れ替えて合宿に臨みました。

初心に返る

2005年箱根駅伝10区。
 

昨年度の箱根駅伝では最終区を区間2位で快走するも、シード権にあと22秒で届かなかった。

――進路のこともありましたしね。
 進路の話を陸上に入れたくないし、後輩にもしてほしくないけど、それがなかったと言えば嘘になる。大学1年生の頃から憧れていた職業があって、その一方で強くなったら(卒業後も)陸上を続けたいというのがあったので。渡辺(康幸駅伝監督)さんにも、「中途半端な力で(陸上を)続けても世界には行けないし、そういう人をいっぱいみてきているし、陸上と仕事、同じくらいやりたいことがあるなら、長い目でみて続けられる方をやるべきだ」って。やっぱりね、(昨年度の箱根駅伝の)10区で区間2番っていうのは、使い物にならないんですよ。2区で区間賞みたいなレベルの人がたくさんいる世界だから。「実力」っていうものがものすごく関わってくる世界ですしね。でも、本当にチームには迷惑をかけたと思いますよ。

――夏以降は成績も上がってきたように感じますが。
 今思うのは、夏の合宿の前までは練習を引っ張っていなかったんですよ。3年生の時、何で1年間安定して調子が良かったかっていうと、(練習の時、集団を)引っ張ってたんですよ。(同学年の)原(英嗣)ちゃんと。あの時は、(昨年の4年生の)篠浦(辰徳・現ヱスビー食品)さんの影響が大きくて、あの人の前で走ることで自信になっていたんだと思います。初心に返って、「俺が最初から引っ張っていこう、どんな練習でも引っ張っていこう」と思ったら、だんだん調子が良くなってきたんです。そういったことが、調子が上がった要因のひとつだとは思いますね。

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(TEXT=近藤優美子、PHOTO=神崎風子、横山真弓)

 

 


 
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