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 12月5〜7日に千葉で行われた全日本新体操選手権で、見事4位に輝いた井上実美選手。早大体操部新体操部門の数少ないメンバーのエースであるが、所属クラブ「飛行船クラブ」での練習を中心に活動している。早稲田で新体操をするのは、学生新体操界では稀なケース。インターハイを制した彼女が、なぜ早稲田を選んだのか。全日本を振り返りながら、彼女の競技への想いに迫る「エース特集」第4回。





 
井上実美選手プロフィール
スポーツ科学部3年 文京学院大学附属高出身

2004 全日本ユース選手権個人総合優勝、インター    ハイ個人総合優勝
2006 全日本選手権個人総合4位
2007 世界選手権団体7位、インカレ個人総合優勝、    全日本選手権個人総合5位
2008 全日本クラブ選手権シニア個人総合4位、イン    カレ個人総合4位、イオンカップシニア個人総    合9位、全日本選手権総合4位

――先ず、今月上旬の全日本選手権を振り返って下さい。
  今年の総仕上げとしての、最後の大会でした。個人総合の方では緊張もあって多少ミスが出てしまったんですけど、種目別決勝ではもう順位が全部出ていたので、何もプレッシャーがかからない状況で、自分が一番見せたい部分をしっかりできました。この一年はあまり思うような成績を出すことはできませんでした。でも成績だけではない部分で、自分の個性である「表現のある新体操」を追求して、そういうのを出せたかな、自分の色を作り出せたかな、というのはあります。やっぱりメダルが欲しかったので、一歩届かず悔しかったです。でもそれ以上に種目別では今年自分がやってきたことが出せたので、まぁ満足…ではないですけど、しょうがないかな、というか。個人総合でそこを出し切れなかったのは、自分の弱い部分だとは思います。でも今年は試合を重ねるごとに色んな課題が見えてきて、それを一つ一つクリアして全日本に向けてやってこれたので、苦しみながらも前に進んでいったシーズンだったと思います。

――井上さんの色とは?
  今の大学生は、ダイナミックで激しくて強い演技をする人が多いんですよ。そういう選手がすごく沢山居る中で、私が目指しているのは、「繊細で美しい表現のある演技」。女性らしさとか優しさを、手具と音楽と体の動きが一致した演技であらわす。ボールだったらボールの、フープだったらフープの、一つ一つの種目の中に自分のストーリーがあるものを目指してます。やはり競技なので、難度とか技で点数が決まってくる部分もあるんですけど、それプラス芸術が新体操にはあります。その部分を、自分はポリシーとして大事にしています。

――全日本へ向けて、どのような練習をしてきましたか?
  今年の全日本は来年の三重での世界選手権の予選にもなっていて、目標は世界選手権に出ることでした。(全日本の)上位8人を1月3日から国立スポーツ科学センターでの合宿で選抜して、5人くらいに絞るそうです。その5人を来年のグランプリシリーズとかにどんどん出していって、三重に向けての強化を始めるらしいです。そこくらいは入っていきたいな、と思っていて。前は(世界選手権に)4人出れたものが、来年からどこの国も2人ずつになってしまったみたいなんです。本当に厳しい面もあるんですけど、日本開催だし出たいという気持ちがあったので、そこに向けての調整の仕方でやってきました。


 
小2で新体操を始め、中3で現在の所属クラブに移籍

――全日本で見つけた具体的な課題とは?
 本番一本での集中の仕方。個人総合は、予選ではすごく集中した演技ができたんですけど、(本選で)緊張とかで少し気持ちの弱さが出てしまって、難度のぐらつきがあったんですよ。逆に種目別は、難度的にはガツンと自分のやりたい新体操を出せたんですけど、ちょっと軸のブレがあって。(難度の正確性と精神面の)2つがうまくガチッて重なった時に、一番良いパフォーマンスができるので、そこへの集中力の持って行き方が今後の課題かなと思います。集中力と気持ちの強さっていうメンタル面ですね。何も考えなくてもできるっていうゾーンに入るまで集中と気持ちを高めないと、できないので。練習してきたものをどこまで出せるか、どこまで自分を高めて試合に出れるか、っていうのが課題ですね。

――早稲田でのご自分の立場をどのように捉えていますか?
  競技が全く違うので、新体操部門と体操部門は別々に練習をしています。早稲田の方では練習を一緒にしていないので、エースという感じはしないんですけど、私の所属クラブ(※飛行船クラブ、高橋麻理子選手(スポ2)も所属)では、ずっとトップでやっているので、「引っ張っていかなきゃいけない」という気持ちはあります。全日本では4位でしたけど、セミナショナルの代表なので。同世代の子は麻理子ともう一人の大学1年生の子しかいないので、「きついよね、辛いよね」とか言いながら励まし合っていて。やっぱり彼女がいるから、自分も頑張ろうと思っていけるし、多分私が頑張ってるから向こうもそう思ってくれてるし。お互いライバルでもあって、いい刺激になっていると思います。ジュニアの時から団体で一緒に組んだり、選抜で一緒に海外も行ったり、小さい頃からずっと一緒にやっています。「こういう新体操やりたいよね」という気持ちは同じ所にあると思います。

――エースという立場を意識しすぎて、辛くなったことは?
  そうですね、私は成績や結果を求められるようになってくるので。そういう目で先生や周りの方が見てくれていたので、結構厳しいことを言われたこともありました。プレッシャーも、掛けられている思いもすごく感じるので、辛くなったりもします。それがエースの、トップに立つ人の大変な部分でもある。逆に言えば期待されてるということなので、私は「嬉しい」と考えてやるしかないと思っています。

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(TEXT=田辺里奈 PHOTO=神崎風子、田辺里奈 )

 

 


 
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