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 2010箱根駅伝直前インタビューの第2回に登場して頂くのは、今年飛躍の2年目を迎えている矢澤曜(教2)選手。前回の箱根駅伝で1区区間賞を獲得すると、今シーズンに入ってもその勢いはさらに加速。関東インカレでは5000mで4位入賞、出雲、全日本大学駅伝ではともに1区を走り区間上位で繋ぎ、抜群の安定感でチームに大きく貢献した。前回の箱根を機に、今やチームの顔へと成長した矢澤選手に、この1年間での自身の変化や今シーズンについて、そして勝負の箱根への決意を語って頂いた。





 
矢澤曜選手プロフィール
  教育学部2年
  多摩高・神奈川出身
  自己記録  5000m:13分50秒01
        10000m:28分45分56

――まず始めに、今シーズンを振り返っての感想は?
 振り返ってみて、全体で見ると立ち止まることなく一歩一歩上ってこれているんだろうなと思います。

――関東インカレを始め、今季はトラックシーズンから大活躍でしたね。
 いや全然。5000mについては4番っていう結果で良かったんですけど、10000mについては良くなかったんで。やっぱり、チームの代表として出るからにはきっちり(調子を)合わせなきゃいけない試合だったんですけど、満足な結果を残せなかったので、そういうところでやっぱりまだまだだと思います。

――関東インカレ、日本インカレでは5000m、10000mの2種目に出場し、チームの主軸としてフル回転でしたが、コンディショニング等の面で大変だったのでは?
 そうですね。でも他の大学の選手も当たり前のようにやってますし、例えば東海大の村澤(明伸、1年)君とかは、5000mと10000mの両方に出てレースも引っ張って、結果を残してるんで、後輩ですけどそういうところは盗まなきゃいけないというか、見ていて刺激を受けます。

――他校のエース級の選手と走ることで感じることは?
 やっぱり『エンジ』を着て代表として出させてもらっている以上、(他校のエース相手に)勝負しに行かなきゃいけないという気持ちはあります。ただ、相手が誰であろうと同じ学生ですし、頑張らなきゃいけないなと思いますね。

――1年生の頃に比べて、自身の成長を感じる部分は?
 やっぱり『精神的な面で成長』したかなと思います。去年は、「一年生なんだから思い切りいけばいいよ」っていう周りの支えが大きかったなというか、そういう風に言ってもらって、自分が思い切っていって走れてた結果が去年でした。今度は後輩が入ってきて自分が二年生という立場になると、「一年生だからいいよ」とは言われなくなるじゃないですか。二年生としてチームの中での役割というか、必要とされる走りが出てくるわけで、そういう走りをしようと思った時に、去年までと同じ気持ちだとうまくいかないと感じたんで、そういったところで成長したなと思います。

――走りの面で成長を感じた点は?
 去年はちょっと不安定さがあったかなと。自分の気持ちに任せて、すごい盛り上がった気持ちでバァーって突っ込んでいって、それが成功する時もあれば、あんまり上手くいかない時もあったりとしたんですけど。今年に関しても、それが直ってるかっていうとそこまで直ってないんですけど、二年生になって任せられる役目っていうのが変わったことで、ある程度精神的な面で自分をコントロールするっていうか、意識して自分にとって今一番必要な走りを考えられたり、冷静に状況を見られるようになったとは思います。

――10月の出雲駅伝での自身の走りへの評価は?
 外から見ると、留学生が二人で、その次は柏原(竜二、東洋大)選手でその次の4番なんで悪くはないというか、渡辺(康幸)監督の中でもそれなりの評価をしてもらって、役目を果たしたって言ってもらえたんですけど、自分の中ではある程度役目を果たせたっていう一方で、ちょっと課題の残るレースでした。やっぱり結果的には、柏原を先に行かせて2kmから一人で走るっていうか、ついて行くことをしなかったんで。それは駅伝というチーム競技なんで、失敗した時のことを考えると必ずしも間違っている判断ではないんですけど、そういう冷静な判断の一方で、しっかり勝負しに挑戦しに行くような気持ちもなきゃいけないんだろうなっていうのがあるので、すごい微妙な判断なんですけど、そういう挑戦をしていかないと自分の中で殻を破れないというか、もう一つ上のレベルを目指すのには必要だなと思いました。

――11月の全日本大学駅伝では、その積極的に勝負しに行く姿勢が見えたレースでしたが。
 全日本については、渡辺さんにもチームの流れとかを考えた上で、「(前に)ついて行け」って言われて背中を押してもらえたので、だったら行ってやろうって。行けるところまで行ったんですけど、でもやっぱり後半失速して、まあそこは完全な力不足だったなと思います。


 

11月の国際千葉駅伝では、憧れの大先輩と語る
昨年度の主将・竹澤健介選手と同じ区間を走った。

――積極的に勝負しに行ったことへの感触や手応えは?
 やっぱり力不足を痛感するところだったとは思うんですけど、手応えはありましたね。後半ダメでしたけど、7km、8kmまではいけるんだとかっていう、そういう感覚を自分の体で体感できたのは大きかったと思います。あとは後半しっかり粘れるか粘れないかっていうのを、練習で自分の体でものにして、箱根では積極的で最後までいけるような走りをしたいですね。

――積極性は特に意識するところですか?
 やっぱり成長していくというか上のレベルに行くことを考えると、出雲みたいな走りをしてたんじゃそのまま先にはいけないというのを高校の時に教えてもらって、そういう積極性を大事にして、常に強くなっていける選手でありたいですね。

――最近では1区のスペシャリストと評価されることも多いですが、1区への思い入れやこだわりは?
 そんなにこだわりは自分自身としてはないですね。確かに1区に関しては、大学に入ってから三大駅伝でもう四回走ってますし、高校の時も1区はよく走っていて、色々なレースを経験しているので、そういう中で他の区間よりもちょっと経験という面ではあるのかなとは思います。でも別にスペシャリストってことはないですね(笑)。

――先日の国際千葉駅伝では、久々の1区以外の区間での出場でしたね。
 やっぱり1区の時とは全く違う、前にいる選手をずっと追いかけなきゃいけないレース展開で、すごい難しいなっていうのは感じたんですけど、でもすごく良い経験にはなりました。ただ、タスキをもらうことに関しては、ちょっとタイミングが分からなくてブランクを感じたんですけど(笑)。

――日本学生選抜(総合2位)での出場でしたが、チームの雰囲気などは?
 まあ楽しかったですよ。結果が良かったっていうのもあるんですけど、短い間でもチームとしてのまとまりみたいのも出来たんで。それで、柏原なんかとも結構仲良くなっちゃんたんですよ(笑)。そうやって、駅伝って目標が一つになるとまとまれるので、面白いなと思いました。

――柏原選手とはどういう会話を?
 これまではお互いというか僕の方が意識してたからか、試合前のあいさつ程度で、そんなにしっかり関わりを持とうとしてなかったんですけど、今回同じチームになって宿舎とかでずっと一緒だったんですよ。箱根とか普段は敵なんですけど、今回に限っては同じチームで戦う仲間なんで、そういうのを通してライバルというよりも、最後帰るときは「箱根一緒に頑張ろうな」みたいな感じで言っちゃうぐらいになりましたね。

 

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(TEXT=岡崎聡、PHOTO=鈴木雄介、岡崎聡)

 

 


 
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